野良パーティでVCつける?つけない?
ゲーム回です。
2023/10/31 最後の呼び方について修正しました。
「よし、弱って来たな。罠置きまーす」
よし、捕獲成功っと、15分で1体か……いい野良パーティだな。
「寝起きにはゲームに限るな。ばっちり目と脳が覚める」
朝からゲーム、学生時代の夏休みだからこそできる特権だな。いつもならギルドのみんなと狩るところだけど、誰もログインしてないし、絶賛野良狩り中だ。
「索敵ナイス……どれどれ?お、いい所に1体いるな」
今の俺は純アタッカー、サポートできないからこそしっかりとダメージを出せるがこういうサポートをしっかりとこなしてくれるとついついフレンド登録をしたくなる。朝だからか、だれもVC入れてこないしチャットで感謝っと。
「お?日本ドラゴンか……」
怒り狂る大地の守護龍、厄介だな。見た目は基本的には亀だが、背中に山があり、とにかく巨大だ。動きはあまり早くはないため攻撃モーションは分かりやすいが、それが何だという巨体さで、STRに任せて甲羅に張り付いているならともかくある程度距離が離れていると振り回される尻尾や手足による攻撃を貰う。何より厄介なのはこいつの2種類もある全体攻撃だ。1つは踏み鳴らしによる地震、そしてこっちが特に厄介な噴火だ。
「どうする?やるのか?……まじか、やるのか」
こいつはいわゆる後衛殺しのモンスターだ。予備動作をしっかりと見る必要のある攻撃を回避しつつ、回避不可能な地震や噴火で受けたダメージを回復しなければならない。加えて、噴火と同時にマグマが地面にまき散らされるためDOTダメージまで加わるうえ踏まないように意識を割かないといけない。しいて言うなら、単体攻撃で火力高いのがないからタンクにヒール回さなくていいくらいか。
「だが、それがいい!これはゲームなんだし逃げてちゃ面白くねぇよなぁ!」
っと、DPSのやることは一つ!甲羅にしがみついてひたすら攻撃!
「っち、DOTダメージが結構いたいな」
火山を直接つかんでるからかしがみつき中はじわじわとダメージを食らう。とはいえ、掴んで攻撃が安パイなんだもんでしょうがない。がんばヒーラー。
「斬る斬る斬る斬る斬るみーべいべー」
いいぞいいぞ、削れてる削れてる。やっぱりみんなうまいな。
「噴火来るな」
はーい溶岩来るよーみんな逃げて―。よし、タンクも避難終わったな。
こうなると近接職はなるべくダメージ食らわないようにするしかない。
「ん?敵ひるんだ?おいおい、まじかよ」
ヒーラーとバッファーが殴ってるだ……と?
確かに俺とタンク被弾してないからあんまヒール要らないけどさ、すげーな。
怒り狂る大地の守護龍、こいつを倒すには2パターンある。一つがこのまま溶岩が晴れるのを待ってまた攻撃するというのを繰り返し倒す。これがまぁテンプレ。そしてもう一つがこの溶岩中、防御力が下がるのを利用して後衛火力職で攻撃する方法。
「おー倒した。やるやん」
素材はまぁ、しょっぱいな。そうそう、いい素材が出ることはないからしね?
「あ、落ちるのね?さすがに疲れたのかな?」
「彩雫くーん、ご飯できたよ!」
よし、俺もちょっと休憩するか。
「今行くー」
バキバキになった体をほぐしながら、あくびをしてキッチンに出る。
いい匂いだ。これは、サンマの塩焼きにみそ汁、おしんこ、玉子焼きか。
「これぞ日本の朝食だな」
「いいサンマあったからついつい買っちゃった」
「秋のイメージだけどな」
「うん、秋に比べると劣っちゃうかもだけどしっかりと脂ものっていて美味しいよ?」
「ほおー……そんじゃあ、頂きます。うん、美味い」
「良かった!うん、美味しい」
「……んで、どうしてうちにいるので?八重さん」
「夏休みだし、生活リズム崩れちゃうかもって心配で起こしに来たのだけど……」
「なるほどね?起きてたと……鍵は?」
「月城くんがくれて」
「あいつ!覚えてろよ?でも、あいつとてそうそう簡単に鍵なんて渡さないだろ」
「彩雫くんの反応を動画にとって送るならいいよって。ほら、今もあそこのスマホで」
「あんにゃろ。はぁ、まああいつはこんど一回絞めるからいいや」
「駄目だった?」
うぐ、そ、そんな捨てられそうな目で見るな。
「正直、朝飯用意してもらって助かったよ。ただ、今度からはうち来るとき絶対にピンポン押せよ?」
マジで心臓に悪いからな?今回はたまたまヘッドホン付けてて音が全然聞こえなかったから、いきなり声だけ聞いて八重さんだってわかったけどさ、誰かわからない足音とか物音が聞こえてきたらめっちゃ怖いから。
「じゃあ、明日も来る!いい?」
「いいぞ、ひとりじゃさみしいしな」
賑やかな方がいいだろ。
こうして雑談しながら飯食って適当な話するのは一人暮らしだと一番足りない栄養素だ。いかに人とあまり反すのが好きじゃない人であろうとも人間は集団生活する生き物であるからして一人でいると不安になってしまうもんだ。何てったって去年がそうだったからな。
「去年も一人暮らししてたって言ってたよね?」
「高校生1年目、楓が家に来る以外で人と話すのはそれこそ、椎名さんとかセントレアみたいなゲーム上でしかなかったから夏休みは心細くなったもんよ」
「それなら、今年は安心してね?」
「安心してるよ、去年は家に来るような友達は楓だけだったけど、椎名さんにセントレア、高宮さんそれに八重さんもいるしな」
「むー」
「何?あー八重さんが来てくれるのもありがたいけど、やっぱりみんなで居るのも楽しいだろ?」
「うん、楽しい。彩雫くんのおかげで私も混ざることが出来た。でも違う」
「え?違うの?」
俺、鈍感系じゃないと思ってたんだけど、鈍感だったみたいです。
「名前、ずっと思ってた。月城くんだけ「楓」って名前で呼んでる。私も彩雫くんのこと名前で呼んでるのに」
あーそういう。確かに、同じ友達なのに八重さんは苗字呼びってのもおかしいな。いや、でも……でも?別に問題はない。なら、下の名前で呼んでもいいはずだ、よな?_
「えっと、百合さん?」
やばい、ドキドキする。
「……百合」
「それはまじで勘弁してください。やっぱ、八重さんの方がしっくりくる」
「むーしょうがないけど、今はそれで我慢しとくもん」
「我慢しといてくれ、ほら、ご飯食べるぞ。せっかく作ってくれたのに冷めちゃあもったいない」
まったく、心臓に悪いったらありゃしない。
下目遣い……あざといと分かっていてもときめいてしまう。




