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些細なきっかけ

シリアス0です。ですので、ストーリーの起伏が少なく、物足りないと感じる人もいると思いますがぜひ頭を空っぽにして気楽に読んで頂けると嬉しいです。

「―――以上、気を付けて帰るように。それじゃあまた明日」


「八重さん」


 今日も退屈な日常がまた終わる。クラスメイト達はたった今、今日が始まったと言わんばかりに楽しげに騒いでいる。でも私には関係ない。今日はお稽古も無いし、帰ったら勉強をするだけ。多少変化のある学校の方がまだ楽しいと言える。


八重百合(やえのゆり)さーん」


「ん?どうしました?」


 クラスのにぎわっているグループの女の子。いつも通りなら多分遊びのお誘いだろう。


「やっと気が付いた!私今日部活休みでね、この後カラオケ行くんだけど一緒に行かない?」


「アイドル研究部でしたっけ?休みだったのですね。ですがすみません、この後お稽古があって……」


「ううん、大丈夫わかってたから!それじゃあまた明日ね!」


 ()()()()()ね。いつも断ってばかりなのにどうしてここまで誘ってくれるんだろう。本当にいい人たち。……なのに私はどうして断ったんだろう。今日はお稽古も無いし、どうせ帰ってもやることは勉強だけ。いや、わかってるつまらないからだ。だからこそ心から楽しんでいる彼女たちに混ざりたくないし混ざるべきじゃない。


「はぁ早く帰ろう」


 こんな憂鬱な気分になるのは雨だからだろう。じめじめするし頭は痛くなるし梅雨の季節はあまり好きじゃない。


 ん?あれ?傘がない。


「いつもは入っているのに雨の日に限って傘が入ってないのはどうして……」


 昨日かばんの整理をした時に入れ忘れたのかな。


「はぁ、どうしよう」


「ほい、これ使って」


 誰だろう?というか傘……


「え、あ、あの」


「それじゃあ!」


「あなたは?!」


「俺は家近いから大丈夫!じゃあ!」


 行っちゃった……風邪ひかないといいのだけど。下心で傘を貸したって感じじゃなかった。そういう感情を向けられることには慣れているけど、彼のは純粋な気持ちだった。だからこそ心配してしまう。


 それに――――どうしてそんなに楽しそうなんだろう。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「――――それではまた明日会いましょう、さようなら」


 聖櫻高校2年B組のホームルーム。先生が何か色々と話しているが、俺、三矢彩雫(みつやさいだ)にはそんな話の一切が頭に入っていなかった。もし俺のことを見ている人がいたら俺が想像の世界へと旅立ちはやる気持ちとテンションが上がりきった故の表情を抑えようとしている滑稽で、先生が見てたら「こいつ話聞いてないな」とすぐわかる表情を浮かべていることが分かるだろう。


 だが!それもしょうがない。何たってFFの新作が発売されたんだから!昨日少しやったが、冒頭からわかるストーリーの良さ、そしてストーリーを支えるハイクオリティなグラフィックとサウンド。はぁぁぁ、考えるだけでテンションが上がってくる。今の俺なら100メートル9秒58で走れる。目指せウサインナット。目指せマイホーム。


「よっし楓、俺」


「『先帰る』でしょ?わかってるよ。F(フェイタル)F(・フェアリーズ)7の話散々昼に聞いたから。彩雫のことだから大丈夫だろうけどちゃんと明日も来いよ?」


 さっすが親友、俺のことをよくお分かりで。


「すまん!じゃまたな」


 月城楓(つきしろかえで)こいつとは中学の時からの付き合いになる。金髪イケメンで常に笑顔を崩さない良い奴だ。……良い奴?……腹黒で性格は悪いがまぁ悪い奴ではない、うん。


 昼休みは購買で買ったパンを口に頬張りながら以上なほど高い俺のテンションでずっとゲームの話してたのにずっと聞いてくれてたやつだからな。申し訳ないとは思ってる。でもやっぱゲームが面白すぎるのが行けないな。いい所で寝なきゃだったし。


 昨日は異常域でモンスターに襲われ特殊マスクが壊れてしまった俺を助けるために先輩が自分のマスクを預け、俺を逃がしてくれたところで終わったからな。くぅ、先輩は一体どうなったんだ?俺に任せて先に行けとか行っていたし、もしかすると……。


 家に帰ったらどんな風にゲームを進めるか、キャラ育成はどうするか。そういえばソシャゲのデイリーやってないな。などと考えながら放課後となり部活へ向かう生徒や雑談ながら帰る生徒で一層騒がしくなっている廊下を通り抜けロッカーへと足早に向かう。


「あーニュースで午後は雨降るとか言ってたな、傘……あったあった」


 前の方にいる女子生徒同様に雨音を聴きながらカバンの奥底の方に眠っているであろう傘を手探りで探す。


 最近はニュースどころか天気予報さえ見ないやつも多いが、一人暮らしをしている俺からしたら、見ないなんて愚行できるわけもない。……洗濯物が全滅したときの絶望はダイヤモンドを持って溶岩に飛び込んでロストするときよりもきつい……。駄目だ。雨だからか思考がネガティブになる。ポジティブに行こうポジティブに。


 そういえば、昨日FFで異常域に向かった時も雨だった……昨日は助けられず見捨ててしまったが今日こそは助け出す!先輩、生きててくれよ、必ず助け出す。攻撃パターンも何となく掴んだし次は勝てる。


「さて、帰ろ帰ろ」


「はぁ、どうしよう」


 俺がロッカーに入る前からカバンを探っていた黒髪ロングの女生徒は傘が見つからず困ってかついつい嘆きの声を零す。結構な雨が降っているため落ち着くのを待つかどうか考えている故のつぶやきだろう。

 いつもであれば特に何も感じずただ過ぎ去るだろうし、ここで何か声をかけるというのもまた絶対しないであろう。―――だが今日はいつもとは少し。そうほんの少し違った。


「ほい、これ使って」


 俺は家が近いからな、傘ささなくても風邪ひく前に風呂入れるだろうし、女性は濡れると色々あるだろう。……メイク落ちたり。


 先ほどカバンから取り出した黒いシンプルな折り畳み傘をさも当たり前に、歩くのと変わらないような自然な流れで女子生徒へと押し付ける。


「え、あ、あの……」


 良いことしたなうん。さて、早く遊びたいし走って帰るか!


「あなたは?!」


「俺は家近いから大丈夫!じゃあ!」


 雨の中びしょ濡れになりながら走るのなんていつ振りだ?ふっ、ウサイン・ナットになった俺の実力見せてやろう。


「うぉぉぉぉぉ!」


 はっはっはぁ!雨の日に走るのマジで気持ちいい!テンション上がるわ!風になった気分とはまさにこのこと待ってろせんぱ〜〜〜い!


 これがいわゆるゲーム脳というものだろうか。呼吸をするとダメージを負う異常域で自分の特殊マスクを外し俺を助けた先輩。雨に濡れ風邪を引く可能性があるにもかかわらず自分の傘を女子生徒に渡した俺。どちらも大小はあれど自己犠牲による人助け。明らかに影響を受けたうえでの行動だろうが、一般男子高校生は普通やらない。


 ―――だがそう、この時の俺はマックスハイテンション。ただちょっとした気まぐれに行動しただけで頭の中には常にゲームのことしかなく、人生というゲームそのエンディングを決める。とても大きな大きなフラグに気が付くことができなかった。


「……いいな」


 ―――何でもできるが故に何にも興味を抱かなかった女子生徒。学校で1番人気の女子生徒。そして奇しくも男子生徒三矢彩雫が傘を渡した女子生徒は同じ人物で、その女子生徒……八重百合の興味を引いたたった一つの物になったという八重百合の人生を変える大きな大きなフラグに。









FFフェイタル・フェアリーズ~運命に導かれし妖精たち~


《ユグドライエ》――妖精の住む世界。名もなき辺境の村で生まれたユリウスは夢の中で声を聴く。

『大いなる輝きを持つもの 破滅が近づいています 旅立ちなさい 導きのルーンと共に』

家族を守るためユリウスは旅立つ。大都市ミズガルズ、エルフの里アールヴ、工業地帯ムスペル、海底都市ニヴルと世界各地を回る。冒険者として剣を振るい、ある時は傭兵として盾となり人助けのため身を焦がす。

その先にあるのは破滅か希望か……そうすべては導きのルーンのままに。


直感的アクションバトル×ストーリー

Lvによって開放されるスキルスロットの数クエスト等でスキルを覚えモンスターと戦おう。モンスターに勝った?負けた?あなたの行動でルートは変わる。あなただけのストーリーを見つけよう。


税込11800円


簡単に言うとファイナ〇ファンタジーとモン〇ターハンター、NieR:Aut〇mataを合わせた感じです。これ以降あまり出てきません。

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