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【第五話】『俺』は『俺』として生きていく

相互関係って大切ですよね。

今回もみなさんの暇つぶしになれれば嬉しいです。

ただいま朝の5:30。二度寝しようと思いつつも寝れずに思い切って布団から出てきた

御歳 43のヒキニートであるこの俺は今外を訳もなく歩いている。


この時間帯は人がやけに少ないので鼻歌でも歌いながら近所を徘徊する。

昼になれば俺の存在自体が公然わいせつ罪に問われかねないため、

こうして気を抜いて散歩ができるのは今くらいだ。


俺は昇り始めた太陽を背に、今後の活動方針について考えていた。

不本意ではあるが、少なくとも俺のVtuber人生は大きく傾いた。

それがいい方に傾いたか、悪い方に傾いたかはまだ分からない。

しかし今までの活動方針とは大きく変えなければいけないのは事実である。


今まで通りただのメスガキキャラを演じるだけじゃダメだ。

今は「視聴者を笑わす」必要がある。


「笑われる」のではなく、「笑わせる」。

これは俺にとっての譲れないプライドなのかもしれない。


今回の件では肯定的な意見が多かったものの、もちろんキャラ崩壊は

免れなかったがために批判的な考えを持つ人も多いだろう。


それでもまだ俺についていってくれるリスナーが、たくさんいる。

彼らもあの件で少なからず驚きはしただろう。

しかし、あの人たちはそんな俺を受け入れてくれた。

だから、なんとしてでも、見ている人を楽しませたい。


「……みんなの正直な意見、今回の配信で聞いてみるか。」


そして配信予定を上げた。配信時刻は昼の12時〜。


【今後の活動について。】

 というタイトルだ。


それまで暇をつぶしたい俺は散歩を続ける。


そんな散歩の途中、登校中の高校生といったところだろう。

男女の幸せなペアを見かけた。

俺もあんな時があったな、そんな青春時代の記憶が脳裏に浮かぶ。

懐かしの思い出と共に、カップルの会話内容を盗み聞きする。


「ねえ、みゆきは優しいけどさ、もっと自分の思ってることを言ってもいいと思うんだ。」

「えぇ〜?例えばどんな感じに?」

「こうしてほしいってことは素直に言ってほしいし、嫌な事は嫌って言ってほしい」

「そっかぁ〜、かずくんは優しいねっ、

 でもかずくんも色々抱え込んじゃダメだからね?」


間もなく2人は朝っぱらからハグをかまし、後ろで会話内容を聞いていた俺は

どうしようもなく気まずくなったため、右折して2人の視界から外れるようにする。




…そうか。

「お互いが正直になれば、良い相互関係が保てる…つーわけか」

カップル共、いいことを教えてくれてありがとう。一生幸せに爆発しろ。






そして配信予定時刻の12:00。

待機人数は昨日よりはるかに多い15万人。

この15万人のリスナーが俺のこれからを賛成してくれるのか、はたまた反対してくるのか。

どちらにせよ、俺は俺の意見をあいつらに伝えなければならない。



最初の挨拶は、ボイチェンをONにして。


「にーはおよわよわ奴隷ちゃんたちい♡きてくれてありがとお♡」


○かわi、、、って中身考えたら吹いたww

○待ってましたーーー!

○今度の活動についてってなんか意味深だな…

○え、ぶっちゃけ前のがぶより好きだから引退とか言い出すなよ…?


そして今回は真面目な話が故に、ボイチェンをOFFにする。


「そうだ。今日はそのことについて話そうと思っててな」


○アバター可愛いのに声ゴリゴリ男wwww

○Vtuberの新時代ktkr

○多様性って素晴らしい

○↑ほんそれ


「え〜、色々賛否は分かれるとは思うが、今まで通り金好きメスガキ設定を

 通すのは俺的にもリスナーさん的にもあれだと思ってるんだ。

 だからこれからは口調は素のまま、今の感じで行こうと思ってる。

 もちろんメスガキ配信またやってほしければまたやるぞ。それでなんだが

 この意見についてお前らがどう思ってるか聞きたい。どうだ…?」


○またメスガキ配信してくれるなら大歓迎wwww

○いいぞ、もっとやれ

○とまるんじゃねえぞ!!!

○↑ネタが交錯してるwwww

○お前のやりたい通りでいい!お前のがどんな選択をしても俺らはついていくからな

○個人的にギャップ系Vtuber面白いから続けてクレメンス


「…よかった。お前らの意見を聞くことができて嬉しい。

 やっぱお互い正直に打ち明けた方が……ぐすっ…」


○おいおいおい泣くなってw

○引退案件じゃなくてよかったよ…

○俺らもお前に助けられているんだぞ、そのことを忘れるな

○↑それな

○↑ほんそれ


お前ら…どんだけいいやつらなんだよ。中年の涙腺はもう限界だ。


「ありがとう、みんな。じゃあ今日はゲーム配信してくぞー!」


○まってましたーー!!!

○最高wwww

○お前好きwww






俺がリスナーに助けられてばっかだと思っていたが、

彼らも俺のことを慕ってくれている。相互関係とはこのことなのか。

今日の晩酌は、いつもより少し多く飲んだ。

これを書いているときに、

自分はこれを読んでくれている方々のおかげで今こうして小説を書けているんだなと思い、

同じようにこれを読んだ読者さんが「明日も頑張ろう」だとか、

どこかで心の支え的な感じになっていただけているのであれば

私と読者さんの相互関係が築き上げられているのかな、と思います

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