表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/35

② 元カノと浮気なんて許しませんことよっ!

「の、のぅ……マリーヤ……」

 あ、今の住み込み先の主人である、おじい様の部屋にいたのでした。

「なにかご用ですか、ご主人様?」

「わしのあげた“ぎたぁ”は、使っておるかのぅ……?」

 ギター?

「あ、部屋の隅にあるピコ!」

 あ、それね。へぇ現代のと少し形が違う。

「この時代、ギターはまだレアアイテムだピコ」

「ご主人様、時間がある時に練習していますよ」

「そうかい。弾けるようになったら、聴かせて欲しいのぅ……」

「はい!」

 そんな会話を交わしたので自室に持ってきたけど、私弾いたことないな。ちょっと弾いてみよ。

「いたっ!」

 指! 指痛い!!

「きっとマリーヤもたまの空き時間に練習してたピコねぇ」

 言われてみれば、指先かちかちしてるんだよね、これでかぁ。

「ギターは慣れるまで指が痛くなって大変だピコね」

 楽器はたいてい最初大変だもんね。……そういえば、最近他にもギター弾いてた人がいたような?



 ここのところ給仕のバイトをしていなかったので、また休みに少しは稼ぐことにしたわ。

「やっぱり出世払いが通るほど、この世は甘くないピコ」


 今日は住み込み先の奥様に呼ばれたの。

「お届け物ですか?」

「そう、荷物をそのホテルの住人に届けて欲しいのよ」

「届けるだけで、こんなに頂いても?」

「必ず本人に渡してね」

 本人って言っても、メモにはルームナンバーしか書いてないけど、行けば分かるかな?

「うわぁ、いかにも高級ホテルピコ~~」


 ぴんぽんぴんぽ~~ん。

「お届け物で――す」

「どうぞ」

 その部屋で待っていたのは。

「……ピータン……」

 なんでなんで~~!??


「マリーヤ、元気にしてたかい?」

「ピータン、なんであなたが!?」

 ちょっと待って。これお届け物じゃなくて、もしやピータンの呼び出し? 私がノコノコと届けられちゃったの!? って、ここ、ホテルの一室。そこにはダブルベッド。彼に指矢印元カレ。私に指矢印元カノ。

 イコール……早速、元カノと浮気ぃぃ~~~~!??

「あ~~のりえ、待つピコ! 早とちりピコ!!」

 ん?

「落ち着いて考えてピコ。のりえはエリザベースルートをクリアしてから、マリーヤルートに来た時、あのパーティー会場まで時間が戻ってるピコよ?」

 え? ああ……。

「ルート比較の時間の流れは一定でも順番でもないピコ。ゲームだから」

 ってことは。

「このピータンはまだエリザベースと気持ちを交わしていない頃の彼じゃないかなピコ」

 う~~ん、ややこしい。マリーヤは酒場でピータンと分かれて以降会ってないんだから、こんな風に着飾って高級ホテルにいる彼は、ふしぎなはずだよね。

「ピータン、そんないい服を着て、いいホテルに泊まって、万馬券でも当てたの?」

「うん、まぁそんなところ」

 なわけないでしょ。いつ話してくれるんだろ。

「どうして私の所在が知れたの?」

「風の噂かな。勤労の超絶美少女がそこにいるって」

 その噂、ラインホルト様のところに届いてほしいの……。

「さぁ、好きなものをおごるよ、ワイン?ビール?」

「いったい私に何の用よ……」

 こんなところでこの給仕娘酔わせて手を出そうものなら、婚約破棄ですわよ!

「エリザベース魂の叫びピコ~~」


「再会に乾杯」

「とりあえずかんぱ~~い」

「ぷは~~高級ワインだピコ~~」

 少し飲んだらピータンが口火を切ったわ。

「それが、運命の女性にようやく出会えたんだけど……」

 えっ? それって私のことだよね?

「彼女には決まった相手がいるようなんだ……」

 ! まさか、恋の相談をしに呼んだの?

「やっと出会えたと思ったのに、彼女は他の男と仲睦まじくしていて……」

 ん? 他の男? いつ??

「い、いつ出会えたのその人と?」

「もう1ヶ月以上前のことなんだ。とある場で出会って、求婚したら足蹴にされて……」

 それは仕方ないと思います。

「それでもめげずに猛攻かけようとしたんだけど、少し席を外してる間に、彼女は他の男と……」

 ええ~~? それラインホルト様のことだよね?? ただ彼はマリーヤのことを話したくて私のところに来ただけなのに。

「正直、君に二股かけられたトラウマもあって、諦めようかと悩んでいたんだけど……」

 ああ、それはマリーヤの大罪です。

「でも、どうしても彼女だけは諦められない。他の誰にも渡したくない!」

 きゅ、きゅ――ん。私が聞いていいのかしらこれ。

「それでその後、その彼女のお相手のことを調べたら、伯爵家の令息だった……婚約してるとかしてないとか」

 とっくの昔に破棄されてます。

「また俺は打ちのめされてしまった……。相手は伯爵を継ぐ者……俺はしがない大工だから……」

《第一志望:大工》でしょ!! 誇り持ってやってんでしょ!

「諦めたくない、しかし他人の妻となる人だ……」

「まだ、妻ではないんでしょ!」

 というか完全フリーですよその子。

「猛攻かけても、迷惑にならないだろうか」

 ああもう、その令息とはなんでもないって言ってあげたい。全然連絡来ないと思ったら、これで1ヶ月以上も悩んでたのね?

「お、女は奪われたいのよ! だってそれだけ求められてるって感じするもの。そりゃ、結婚式当日とか直前とかは、家族や親族に迷惑かかるからダメよ。でもそれまでは自由競争だし、とにかく早く動かなきゃ!」

「……マリーヤ、なんだか変わったな。君もいい出会いがあった?」

「ま、まぁね」

 ていうか、なんで相談相手がマリーヤなんだろ。

「そりゃ酒場で散々みっともないとこ見せてきたから、こっちも見せられると思ったんだピコ~~」

 みっともないってなによ!

「ほらVTR~~」

【えぐえぐえぐ私でいいじゃ~~ん】

【えぐえぐえぐ私こんなに可愛いでしょ~~】

 あ~~やだやだもう止めてっ。

「ただ攻勢をかけると言っても、資金力ではライバルにまったく敵わない」

「別に装飾品をプレゼントするだけが猛アタックじゃないけど……」

 まぁ令嬢相手だしなぁ。……あっ、ていうかこの話し合いの結果、ピータンはあのけったいなラブソングを贈ってくれたのね!

「けったいって言っちゃだめピコ~~。確かにけったいだったケド……」

「むしろお金をまったくかけないプレゼントはどうかしら」

「なら、手作りとか? DIYなら自信あるけど」

 じゃあマリーヤにタンスと机を作ってやってください。質から戻ってこないので。

「あー、ううん……もうちょっとロマンチでお願い……」

 ピコピコ、あれ出して! プレボ!

「あら、こんなところにギターが。私、少しかじったことがあって……」

 ベェ~~ン。ベェ~~ン。

「ま、まぁ私は音出すだけで精一杯だけど、ピータンは器用だし、ある程度練習すればいけるんじゃないかしら」

「ギターか……2、3週間でどうにかなるかな」

 でも最初は本当に指が痛くなって、長く練習できないのよね。なんか対策……

あっ。マリーヤのエプロンのポケットに……ピック発見!

「これもセットでどうぞ。2週間でそれなりに仕上げてね!」

 それくらいでエリザベース(私)がお宅訪問するから!




お読みくださりありがとうございます。

もし万が一、続きが気になるかもしれない??ということもありましたら、ブックマークお願いいたします。

評価、感想、ダメ出しも大歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ