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① 偶然出会ったのに必然的に出会えない

い、痛い……。身体が全体的に痛い。肘とか、ひりひりする。どうして?

あれ? 私、地面に伏せてる? 何が起きてるの?

「あら、あなた大丈夫?」

あ、誰かに声を掛けられた……って、え??……エリザベース!?

「…………」

「…………」

ど、どういうこと? でも、これ、この背景、雰囲気、前にも……。

「大丈夫かい?」

ラインホルト様!?……このふたりがいて、マリーヤが転んでて、ラインホルト様がさらっと抱き起こしてくれて、これってもしかして、あの時の……。

「あの時だピコね」

どういうことこれ!

「ゲームの章スタートはいつも自分の部屋から始まるって決まってないピコ~~。今まではたまたまピコ」

そうなの!? あ、ラインホルト様がすごく見つめてくる!

「大丈夫です、ありがとうございます……」

えっとえっと、ここどうすればいいんだろっ!? まだ混乱して……。

「あなたとは初めて会ったような気がしない」

きゅん。(実際言われた側になると高威力っ……)

なぜなら我らは前世より契りを結んだ運命の恋人だから~~ですよね!? こんな美形な人に言われたら、ヤー、フォーリンラブ。です! なんて浮かれてる場合じゃないわ。何を言えばいいんだっけ。あ、そうだ、ラインホルト様に伝えなきゃ、私があなたの探していた初恋の人ですって。でもこの時点でそんなこと言ったら、ただの自信過剰妄想女じゃないの~~! なんかいい伝え方は……?

「あら? あなた、転んだところ、怪我をしてるわ」

そうそう、肘がひりひりしてて……。

「私のハンカチーフで拭いて差し上げるわね」

そうだ~~!これこれ!! エリザベース(私)がそれを出してくれるんだった! ここに乗っかればOK! あとは演技力の見せどころ。

「あっ! これ、私が子どもの頃エリザベースにあげたハンカチーフ……!」

さぁふたりとも、耳かっぽじってよ~~く聞いてるのよ!

「まさか、あなたはエリザベース!? 私、マリーヤよ。ほら子どもの頃……」

ああ、ラインホルト様は私の顔を見つめることに集中してあまり話を聞いてないみたい。まぁ後でエリザベースからよく話を聞いてちょうだい。さぁ次が大事なセンテンスよ!

「このハンカチーフ、あなたが怪我をした時に私が取り出して、そのままあなたにあげたのものだけど、まだ使ってくれていたのね!」

今伝えれらるのはこれくらい。私はまだ状況がよく分からないし、ボロ出たら困るから、いったん下がろう。

「馴れ馴れしくしてしまって申し訳ございませんでしたっ!」

ダーッシュ!



ふぅ。

「ちょっとピコピコ! いくらなんでもあんなところから始まらなくてもいいでしょうよ! 余裕なさすぎ!」

「ボクもびっくりしたピコ~~。実はエリザベースの時にびっくりしたんだピコ」

「へ?」

「だって、マリーヤのそばにいるこの自分と対面したから~~」

ああそっか。私は相手のピコピコは見えないけど、ピコピコには見えてたのね。

「自分に挨拶するわけにもいかず~~」

だからソワソワしてたんだ。

ん? そういえば私なんか右手に握ってる。開いてみたら。

「なにこれ。ピック?」

「確かにコインと似てるピコね~~」

「マリーヤ仕事してるのに、まだ落ちてる小銭拾ってるの?」

「クセになっちゃったかもしれないピコね」

「そんなんじゃ伯爵令息のパートナーなんて~~」

「お金持ちと結婚すればへんなクセも治るピコよ」

だといいんだけど。

「さて、そろそろラインホルト様がマリーヤを探し始めた頃だから、出ていって告白されちゃおう!」

あれ?でも彼、マリーヤを見つけられなかったって言ってたなぁ。マリーヤである私が積極的に見つかろうとしてるのに、なんで……。

「マリーヤ、何こんなところでサボってるの!!」

えっ誰、まさかパートリーダー?

「あんたはこっちで掃除よ! ちゃんと日給分働きなさいよね!」

ああ~~そうだ、仕事中なんだから、そんな自由はなかった……。エリザベースが好きにできたのは、ひとえにお気楽お嬢様だから……。


はぁ、電化製品ない頃の掃除は大変よね。

「マリーヤの最近の状況、調べてみるピコ。ええ~~と、なになにぃ~~」

あらピコピコ、険しい顔になっちゃった。

「どうやらマリーヤは、さる裕福な家庭で末期老人の介護を住み込みでやってるピコ」

「えぇ……また介護? まぁ経験者だしね……でも今給仕の娘だけど」

「介護の休みを週1でもらってて、その休みには他のバイト入れてるピコ。こういうパーティー会場での給仕とか」

うわぁ……ハードに働いてますね……労基のない時代じゃ当たり前なの?

「一応聞くけど、なんでそんなに?」

「おじいさん像の彫刻のローンが……」

「クーリングオフしてって言ったじゃん!」

「もう期間が過ぎちゃってたピコ~~」

ああもう役に立たない!

お金持ち伯爵にプロポーズされる運命がすぐそこに待ってるのに、こんなねずみだらけのところで下働きさせられてるなんて~~。

「まさにシンデレラだピコ!」

「無事シンデレラになれればいいんだけどね……」

結局ずっと裏の裏で働いてたから、ラインホルト様が見つけられるわけなかったのよ。

次の日からはまた介護の日々だけど。休みの日にはバイトを入れずにおいて、しかしラインホルト様が参加しそうなパーティーにメイドのフリして潜入作戦決行よ。

「バイト入れなくて大丈夫ピコ? ローンは……?」

「出世払いで!」

「出世するかどうかも分からないのに……」


 というわけで何回かやってみても、ちっとも彼が見つからない~~。疲れたよもぅ……本物のメイドだと思われてこき使われるし。

「そりゃメイドのフリしてれば当たり前だピコ」

「衣装がないんだから、令嬢のフリもできないし……ってエリザベースのドレス着ればいいんじゃない!?」

「プレボの中、この奇抜赤青ドレスしかないピコ」

「プレボの役立たず――!! エリザベース、オフの日はまともなドレス着てたじゃない!」

「使ったことある判定にならないピコ。キリがないからね」

「ねぇ、なんでラインホルト様見つからないの? パーティーに出てないのかな?」

「監視カメラハックするピコ。……うーん、ラインホルト様の出席率100%だピコ」

「なのになんで!?」

「あ―、彼も血眼になって給仕マリーヤを探してて、見事に一定距離を保ったまま追っかけっこしてるピコね~~」

なにそのある意味両思い。

「次は動かずに待っていたらどうピコ?」

「そしたら今度は彼もちょっと落ち着こう作戦使ってきそう」

「両思いだからねぇ……」





お読みくださりありがとうございます。

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