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③ 生まれて(死んで)初めての両想い&プロポーズ 

 ゼェゼェゼェ。酸素吸入~~プリーズ!

「君は……」

「ちょっと……まだ……待って……」

 頭に酸素が行き渡らないので、何を話せばいいのやら。


 3分経過。

 はあ、やっと呼吸が整ってきましたわ。しかし、酸素が行き渡ったところで何を話せばいいのかさっぱり分かりません。まず、自己紹介すればいいのかな?

「あ、あの……」

 きゃああ正装のピータンこっち見たぁぁ。

「ピータンも頬に照れ線入ってるピコねぇ~~。わくわく~~」

 どうしよう、どうしよう。

「のりえ、ボックスから今まで作ったり使ったアイテム登場したアイテム、何でも引き出して使っていいピコよ」

 ええ~~っと、何がある??

「どんどん引き出しては捨ててるピコ~~。慌てないで~~」

「あの、ピータン。これ、あなたのだったり、しないかしら?」

「……ああ、このジャケットは俺のだ」

 あわわわ~~やっぱり私の運命の人ぉぉお!!

「しかし、どうして君がこれを?」

 モブにもらいました!とか言えない。

「どうして君は俺を探していたの?」

 ええええどうしてだろう~~??

「そっ……そのジャケットを返すためです!!」

「そうか、君は親切だね」

 ピータン笑顔ほんと素敵――! ドストライクの威力っ……。(脱帽)

「そこは“あなたに会いたくて”って言うところだピコ! ジャケット返すためってなんじゃ!」

「俺も君を探していたんだ」

 えっ。

「君ならこの靴、履けるだろう?」

 彼は片方だけの靴を取り出した。

「普通に履けますね」

 みんな履けるもんね。

「でもこれは確かに私の靴ですわ」

 ちょっと、プレボプレボ。出したいものが。

「ピータン、ちょっと後ろを向いていて」

 ピコピコ~~着替えるからフィッティングルームちょうだい。

「そんなの今まで使ってもないし作ってもないし、登場もしてないピコ~~」

 ケチくさいこと言わないでよ! フィッティングルームなしで着替えろって言うの?

「仕方ないピコね~~特別だピコよっ」

 お着替えお着替え。

「ピータン、私を見て」


「これなら私がその靴の持ち主だって、信じてもらえますわよね?」

 蜘蛛座の怪人の仮面、奇抜赤青ドレス、そしてドレスに合わせた片方だけの赤い靴。

「ああ、俺の探していた女性だ」

 やだ、そんな嬉しそうな顔でこっち見ないで。きゅん。

「……まさか、片方の靴を返すためだけに私を探していたとは、おっしゃいませんわよね?」

「自分はジャケット返すために探してたって言ったくせにピコ~~」

「ああ。俺はこの靴の持ち主に……結婚を申し込みたくて」

 えっ……。今、ピータン何て言った? 結婚って言った?? まさか今から始まるのはプロポーズ!!? どうしよう、まだ心の準備が! 準備できてないのに、彼の顔が近付いてくる! すっごい見つめられてる! ああ、彼の瞳に映る私が美しい!!

「俺と結婚していただけませんか? カビローンロン」


 はわわぁ、なんてダイレクトに心に刺さるプロポーズ……


 ん?


 …………。


「カビローンロンちゃうわっ!!!」

「アウチっ!!」

 ああ、足蹴にしてしまいました。でもこれは仕方ないです。私、悪くありませんわ。

「……ああ、いや、すまない。君の名前を知らないから……」

 なんで名前も知らない女と結婚しようとしてるんですか!

「君の名を、教えてくれないか……?」

 あら、ピータンかなりしょげてる。仕方ないわね。

「良くってよ。私は世界が誇る令嬢の中の令嬢、エリザベースでございます!」

 もうエリザベースの地頭で会話しちゃってるけど、結婚するならこれくらいは受け入れてもらわなきゃいけないから、いっか~~。

「エリザベース、君は本当に可愛いな」

 ピータンが目を細めて私を見てるぅ――。

 ん? バサバサバサ? あ、伝書鳩。ピータンちの?

「なんだって?…すまないエリザベース。祖父が危篤だとの連絡が。少しの間失礼するよ」

「あ、はい」

 ピータンが行ってしまわれました。

 はぁそれにしても、私、もしかして人生初の両想い? こんなふわふわな気持ちになるなんて。……あれ? ピータン、そもそもなんでエリザベースのこと好きなの? ん? さっきカビローンロンって呼んでこなかった??


「ここにいたのかエリザベース」

「ラインホルト様」

 お疲れのようです。結局マリーヤは見つからなかったのかな。

「ああ、まるで幻の妖精のようだ、マリーヤ……」

 本人は至ってリアリスティックな子ですけどね。

「いったいどうなさったの、あなたのような落ち着いた方が血相変えて。まさか彼女が初恋のお相手であったりするとか?」

「そのまさかだ」

 えええ~~?? そういえばマリーヤも子どもの頃フランポフルトにいたのだから、会っていても不思議はない?

「どうして彼女だと?」

「このハンカチーフ……」

 ここで私に返されたエリザベースのハンカチーフ……。

 あれ、隅っこにある刺繍は……犬の柄。ていうかこれ、ヨーゼプゥじゃない。マリーヤが自分で刺繍したのかな。

「私は子どもの頃、家の重圧に耐えきれず1度だけ家出をしてね。フランポフルトの下町で迷子になってしまい、不安で泣いていた頃、たまたま会った彼女が付き添って面倒見てくれて……。その時転んで怪我をした私に、このハンカチーフで介抱してくれたのだ」

「ってことはまさか、ラインホルト様……。そのハンカチーフを社交場で落とした私を彼女だと思って?」

「あぁ、うむ、実はそうなのだ。君を彼女だと思い込んで婚約を……」

「ひどいですわ!」

「仕方ないではないか。そのハンカチーフだけがずっと、彼女との思い出の、手掛かりだったのだから。確かに、君には申し訳なかった」

 まぁ人違いは結果的に、ってことだもんね。でもエリザベース、その時とっても喜んだと思うとなぁ。

「ん、そこに来てた誰かが走って行っちゃったピコ……?」

「でもラインホルト様。彼女は平民の……村の娘ですわ。あなたとは身分がまるで違います」

「そのようなこと、私は全然構わない」

「あなたは構わなくても、あなたのお家の方々は構うでしょう」

「誰にも文句は言わせないさ」

 おお~~本気だぁ。

「彼女はしばらくこの街で仕事をしているはずですから、今日見つからなくても機会はまだありますわよ」

「そうか、恩に着る。しかしもう少し探してみよう」

 つまり、これはマリーヤのシンデレラストーリーだ、応援しなくては。

 とりあえず私はピータンを待つんだ~~。もう1回、ちゃんとプロポーズしてもらわなきゃ! カビローンロンじゃなくて。


 あれ、ピータン戻ってこない……もうパーティーの時間も終わりだというのに。

「お家の方の問題で帰らなくてはいけなくなったんじゃないピコ? のりえも今日はもう帰って家で連絡を待つピコ」

「うん……」



 どうしてですの!? 何日待っても、ピータンからの連絡がありません!

「あっ」

「なんだピコ?」

「私、自分の名前しか言ってない! 家の名前言ってない!」

「世界が誇る~~とか余計なことは言ったくせに、家名を言ってなかったピコか」

 だって頭エリザベースだからぁ――。

「でもまぁそれくらい、調べるピコよ」

「エリザベースなんて名前、いくらでもあるからめんどくさいじゃない!」

「ブイヤベースみたいな語感だからそんなにはないピコ」

「こっちから連絡するってのはどうかな!?」

 ピータンって結局、侯爵家の末っ子放蕩息子だったってことだよね? いや田舎で真面目に大工として働く放蕩息子だったね。ああでも侯爵家か……。ハードル高すぎるわ。

「もうちょっと待ってみるピコよ。あの時、お爺様が危篤って言ってたピコ。いろいろ忙しいかもしれないピコ」

「うん……」



お読みくださりありがとうございます。

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