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④ パパママ坊やの3人家族旅行?

「湖に来たけど、ここで何をするピコ?」

「斧を落とす!」

「「!?」」

「金の斧を投げ捨てたら湖の女神さまが出てきて、『あなたが落としたのはこの金の斧ですか?きれいなジャイヤンですか?フランポフルト行きのチケット&スイート宿泊券ですか?』って聞いてくるから! 正直に金の斧って言えば全部もらえるから!!」

「は、早まるなピコ~~!! ミチェイルもオロオロしてないで止めるピコ!」

「えっ? えっ??」

 ふたりが邪魔して投げ捨てられないわ!


「そんなところで何をしてるんだい?」

 そこで木々の向こうから出てきたその人は……。

「ピータン……」

「誰?」

「マリーヤの元カレピコ。これは何かある予感~~」

「あなたこそ、こんなところで何をしてるの」

「俺の仕事場をこんなところとは何だよ」

 ああ、大工だったっけね。あなたもそんなところって言いましたが。

 それにしても、やっぱりあっちで会ったのはこのピータンだよ。まったく同じだもん、顔も声もなにもかも。ひどいバグだけど、彼と踊ってる間ふわふわしてとっても気持ちよかった。すごく優しくて、正装もかっこよくて……。またあんなふうに優しくしてくれないかなぁ。

 あ、なんかピータン私たちをじろじろ見てる。

「君にそんな大きな隠し子がいたとは、恐れ入った」

「誤解よ!! この子迷子でフランポフルトの隣町まで送り届けなければいけないの」

「ああ、俺も近いうちフランポフルトに出かける予定だ」

「え? あなた汽車賃出せるの?? 金持ち??」

「おじいさんの葬儀にあれだけの精進料理を振る舞える君のが、よほど金持ちじゃないか?」

 そのおかげで今、貧乏が過ぎるのです……。

「俺はしばらく貯金して、それなりの旅費が貯まったのさ」

「! あ、あの、明日行かない? そしてそのついでに私たちの切符代分、貸してくれないかしら?」

 ピータンが疑いの目で私を見てる。

「君に返せるアテはあるのかい?」

 鋭い~~。

「じゃあ、これっ、これを担保に!」

 私は斧3点セットを差し出した。

「おお! これはすごい!! 美しい!! 俺たち大工の間じゃ憧れの品だ!」

 分かる人には分かる値打ちなのね。

「そりゃ金銀の価値は誰でも分かるピコ」

「いいよ、この2点くれるなら、ふたりの切符も明日一緒に買おう」

 鉄は見事スルーされた。まぁともかく。

「やったぁぁあ!」

「そしたら早く帰って旅支度するんだな。明日の朝は始発で行くよ」

「「は~~い」」

「って、ミチェイルどこに泊まるつもりなの?」


 んで結局、残ったベッドにミチェイルが寝て、私はヤギ小屋の干し草の上で寝ることに!!(涙)

「ベッドでミチェイルと一緒に寝れば良かったんじゃ?」

「男性と同衾なんてお母さんに言い訳できない!!」

「ちゃんと躾けられた良い子だピコ~~」



 さて、朝がきた。駅でピータンと待ち合わせよ。

「おはよう。マリーヤ、ミチェイル」

「おはようピータン!」

 あら、ピータン、サンタクロースの袋みたいなのふたつ、両肩に担いでいるわ。何が入っているんだろう。

「マリーヤ、旅に出るのに手ぶらなのかい?」

「ええ」

 持ち物なんもありませんから。

「ちょっと片方持ってくれないかな?」

 渡された袋は大きさの割には重くなく……。

 ピータンは大工が使うポシェットの中からお金を出して、私たちの分も切符を買ってくれました。

「あら? ミチェイルは?」

 隣にいたはずなのに、いない。

「あっちで鉄オタみたいなことしてるピコ~~」

「そうだ、子どもを連れての旅って、極めてめんどくさいものじゃない!? まず3時間の車内旅なんて、もつかな……」


 不安に思いながら汽車に乗って。

「わ――いわ――い! 汽車!!」

 はっ。今気付いたんだけど、これ私たち家族に見えない? パパママと息子!みたいな。

 やだやだそんなふうに見られてたらどうしよう~~。

「のりえ顔赤~~いピコ~~」


 しばらく汽車に喜んでいたミチェイルなのだけど。

「うわぁぁぁあん! つまんないよぉ! 誰か遊ぼうよぅ!!」

 30分もしないうちにこうなのよね。そりゃそうか。

「マリーヤ」

「なぁにピータン」

「この袋の中に使えるものがあるよ」

「え?」

 袋の中をがさがさがさ。

「あ、木でできた迷路のおもちゃ! しかもこれ、自分で迷路の壁を自由に差し込んで、何パターンも作れる系の迷路!」

「こういうこともあるかと思って、昨夜作ったんだ」

「ピータンが作ったの? こんな凝った物を!? すごぉい!!」

「俺はプロフェッショナル大工だよ? 朝飯前だ」

 大工というか工芸家の職人技だと思いますが。迷路に転がす木の玉も完備。

「はい、ミチェイル、おもちゃよ」

「わぁ面白そう!」

 これでだいぶ時間がつぶせるわね。

「これに飽きたら、まだあるから大丈夫だよ」

「え、ピータン、もしかしてこの袋の中……」

「全部木の玩具」

 ええ~~??

「ピータンの家にあったの?」

「いや、昨日あれから作り始めて。作り始めたらまぁ楽しくなってきてしまったっていうのもあるけれど」

「だってこれ全部作るのって……」

「ああ、気付いたら朝になってたよ」

「寝てないの!?」

「ああ」

 にも関わらずなんて爽やか。マリーヤの見立てどおり、基礎体力半端ないわね。

「私はミチェイルにベッド譲ってヤギ小屋に寝てたから、あまり眠れなくて……」

「俺の肩にもたれて寝ていいよ。ミチェイルは俺が見てるから」

 ピータン優しい~~! じゃあ遠慮なくっ。男の人の肩にもたれかかるなんて初めて~~! きゅん。あ~~汽車に揺られて気持ちいいzzz。





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