③ みなさまに支えられてここまでまいりましたわ!
それにしても、かなり細かい作業でツラいですわ……。まだ半分も彫れていません。指にタコが出来てしまいました。
「あ、あの、あなたは……」
ん? また声をかけられましたわ。今度は同い年くらいの娘さんです。そんなに縦ロールが公園で作業着で木彫りは目立つのでしょうか。
「私のおばあさん(職業:入院患者)の話相手になってくださったご令嬢ですよね!?」
えっ。
「あの時は本当にありがとうございました。私のおばあさん、とても楽しい時間が過ごせて喜んでいました。あと隣のベッドのおばあさんも向かいのベッドのおばあさんもですし、というかあの病室のおばあさん全員と両隣の病室のおばあさん全員もみんなみんな、あなたに感謝しておりました!」
どれだけ巻き込んで女子会してたの――!!?
「おばあさんがお礼をしたいと言っていました。私も何かできることがあれば」
「はんこ作ってください、お願いします」
というわけで。おばあさんたちが総出で、木彫りの続きと紙にはんこ押す作業と、穴開けやすくするための針刺しを手伝ってくれることになりまして。
「おばあさんたち老眼こじらせてるピコ~~。自分でやった方が安心できるピコ~~」
「それにしても、いきなり自分に役立つお助けキャラが現れるご都合展開になってるけど?」
「ゲームの世界ってそんなもんだピコ」
「おい、お前!」
あら、また新しいキャラの登場ですわ。今度はちまっこい少年のようですの。
「あなたも何か、私の役に立ちに来たのかしら?」
「や――い! 縦ロール!! お前の母ちゃんも縦ロール~~」
んまぁ! 縦ロールを笑うキャラは縦ロールに泣くことになりますわよ!
「お前ほんとにしょ――もない奴だな!」
なんで見ず知らずの奴にそんなん言われなきゃならないの?ちょっと泣きそう。
「傘はラッパになるし……ラッパ傘と一緒に飛んでくし」
ん?
「でもそんなとこがちょっと気になるっつうか……しょうがねぇから、俺がお前を嫁にもらってやるよ!」
役に立たねええええええ!!!
「やっとエリザベースにも1モテ入ったピコ」
そして当日。無事、晩餐会をジャックしましたわ。
「みんなビンゴカード持ったか――っ!!」
「やぁぁぁぁぁ!!」
マイクがまだ存在しないから、手作りメガホンで司会をしております。
「ニューEークに行きたいか――っ!」
「やぁぁぁぁぁ!!」
「ニューEーク行きチケットなんて用意できるわけないから賞品詐欺だピコ」
「番号コール7回までにビンゴできたら、の賞品なので詐欺ではありませんわ。ちょっとヒヤヒヤしますけど。その後のビンゴ賞品は、“このステージで《上流貴族の主張》を叫べる権利”ですの」
「ああ~~いつの時代もステージ上からの愛の告白は外せないピコね」
「コール番号はこの悪ガ……ちびっこアーチャー・ノレイージが射る矢の当たった番号ですわ」
「これ終わったらデートだぞ!」
「この後誰も誘ってくる人いなかったらね……」
「自信なくすのまだ早いピコ!」
宴もたけなわ。ずいぶんとカップルが出来上がってる感じがしますわ。なのに私は……いまだポツン。
「コブ付きのとこに来るモノ好き令息はいないピコ~~」
やっぱり? ノレイージ、子どもはもうとっくに寝る時間ですわよ。
「まだデートの約束してないから帰らないぞ!」
「あら? こちらへの足音が聞こえますわ」
このコブ付きの元に来てくださる心の広い方がいらっしゃるの……!
って、えええ? まさかの……
「ラインホルト様……」
「…………」
「あら、あなたもいらしていたの? ラインホルト様」
なんだかドキドキするのは久しぶりだからですわよね。
「久しぶりだな、エリザベース」
「こいつ誰だエリザベース?」
「大チャンスだピコ! ラインホルト様とヨリを戻すピコ!」
きっとそれがいちばん安牌だろうな。でも焦っちゃダメだ、あっちの出方を伺おう。
「何か私にご用ですの?」
「ああ。良かったよ、君の持ち込み企画」
あ、褒められてちょっと嬉しい。
「な――エリザベース、こいつ誰だよ――??」
「お楽しみ頂けて何よりですわ」
「いや本当にビンゴなんてよく思いついた。トレビアンだよビンゴ。まずもって名が美しい、あぁビンゴ……」
私を踏んづけた犬の名ですけどね。
「そして美しい数字の羅列、緊張をはらむ駆け引きの戦慄、穴を開ける時のちょっとしたそわそわ感、まさに数字の織り成すマジックアンドコンビネーションうんちゃらかんちゃら~~」
熱く語り過ぎです。どんだけビンゴにハマったの。
「そりゃ何百年も世界中で愛されてるゲームだピコよ? 小さな島国で数万本売れたゲームの比ではないピコ」
中古750円で買えるゲームソフトのNPCが何を言うか!
「な――な――エリザベースぅ~~」
「そういったわけで、君へ労いの拍手を贈りに来た」
まさかそれだけ? ヨリを戻しませんこと~~?
「な――な――な――な――」
うるっっさい!!!
「あとついでと言ってはなんだが、もしよろしければ3日後に開かれる仮面舞踏会に、私のパートナーとして同伴していただけないだろうか?」
えっ! ついでとかおっしゃって、本当は私を誘いたかったんじゃありませんの! まったく素直ではございませんわね!
「3日後とかいうあたり、お前どーせ暇なんだろ感満載だピコ~~。足元見られてるピコ~~」
「私との婚約は破棄されたはずでは?」
「相手のいない者同士、仲良くいこうではないか。入場したら私を捨てても構わないよ」
「いまだ相手いないことバレてるピコ~~」
いなくはないです!(※隣の悪ガキをカウントしたら)
ま、まぁ、いないから張り切ってこういう場に来ているわけですし。
でも婚約破棄を撤回してくれる気はないのですね。それならなおさらパーティーへのお誘いは有難いですわ……。
それにしても、どうしてラインホルト様こそ、いまだお相手がいらっしゃらないのでしょう?
「そういうことでしたらお受けいたしますわ。私は他の殿方に誘われ放題、ですのよね」
さ、今夜はノレイージを自宅に送り届けて、帰宅しましょう。
「エリザベースも送りオオカミだピコ~~」
オオカミになる気配が1ピコグラムもございません。
お読みくださりありがとうございます。
もし万が一、続きが気になるかもしれない??ということもありましたら、ブックマークお願いいたします。
評価、感想、ダメ出しも大歓迎です。




