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らぶゆっ!  作者: 璃瑠@
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87話→アイリスの作戦、二つ目!



理性という壁を限界までブチ壊されつつも、なんとか暴走することなく風呂場から脱出できた。



俺は先に風呂からあがり、ジャージに着替えると、ベッドに倒れこんだ。



なんか、どんどん積極的になってるよな。



男としては嬉しいことこの上ないのだが、人間としてダメになっているような気がしてならない。



それに、体育祭の時の夏凪の告白じみた台詞に、何も答えないまま欲望に溺れたりしたら、夏凪に本当に申し訳が立たなくなる。



(俺は、夏凪をどう思ってるんだろうな)



ふと考えにふける。



とりあえず、嫌いではない。



むしろ好きの部類に入っていてもおかしくない。



でも、その“好き”は、異性としての好きなのか家族としての好きなのかが俺には判断できないのだ。



そんなことを考えているとアイリスが風呂場から出てきたので、考えは頭の隅っこに追いやり、アイリスに教えるための現代文のことを頭の中で整理し始めた。


とりあえず漢字を覚えまくれば50点以上はとれるはずだ。



机に勉強道具を広げ始めたアイリスは、俺と向かい合うように座るとニコニコしながらペンを握っている。


「はやと様、よろしくお願いします」



アイリスはペコッと頭を下げると、俺に向き直った。


アイリスの顔を見ると、さっきの風呂場での光景が頭に浮かんできた。



「はやと様?顔を赤くして、熱でもあるんですか?」


アイリスが、俺にグッと顔を近付けてくる。



「い、いや、なんでもないよ。本当に」



俺は目を逸らしながら、アイリスの肩を押し戻す。



頭の中で、『煩悩退散!』と呪文のように呟きながら、現代文を教えることに集中することにした。










あれから3時間。



飲み込みの早いアイリスに教えるのは、かなり楽しかった。



しかも、だいたいのことを教えると、お互いに問題を出しあえるようになったのだ。



異世界人のスペックの高さには驚くしかないな。



とりあえず23時を過ぎたので、今日は寝ることにする。



「アイリス、今日はもう寝るか。時間も遅いし」



「・・・そうですね」



む、なんか今の間は怪しいな。



「アイリス、わかってると思うが」



パチッ。



俺が忠告をしようとしたら、突然電気が消えた。



「ち、ちょっ!?アイリス!?なんだ、どうした!?」



俺が慌てふためいていると、肩に誰かが触れる感覚がしてそのままベッドに押し倒された。



窓から差し込む月明かりが、その人物、アイリスの顔を照らしている。



「はやと様。私は、ずっと考えていました。はやと様を想うと、なんだか胸がキュッとして、はやと様の傍にいられるだけで楽しい。この気持ちはなんだろう、と」



こ、これは・・・・夏凪に続いてまさかの告白ですか?



「はやと様が自分の世界に帰ってから気付いたんです。これは、この気持ちは恋というものなんじゃないか、と」



アイリスは懐かしむような目をしながら、俺の顔に自分の顔を少しづつ近づけてくる。



「はやと様がいない日々は、とても辛くて、とても苦しくて。もしまた会えたなら、きっと本当の気持ちを伝えようと思っていました」



「本当の、気持ち?」



「はい。私が・・・・いや、私もはやと様が大好きってことです。最初は、こっちの世界に来たばかりの頃は告白する勇気がありませんでした。はやと様はモテますし、私を選んでくれないんじゃないかって、不安でした」



アイリスの声が、段々と小さくなっていく。



俺は、アイリスから紡がれる言葉を必死で聞き取ろうと耳を澄ませる。



「でも、この前の体育祭の時、夏凪さんがはやと様に告白しているのを見て、負けたくないと強く思いました。だから・・・・」



アイリスはそう言って、俺に抱きついてきた。



アイリスの甘い香りが俺の鼻をくすぐって、なんとも言えない気分になる。



「俺は・・・・夏凪にも言ったけど、まだ誰が好きかなんてわかってないんだ。・・・ごめん」



「・・・・わかっています。はやと様は優しいから、一人を好きになって他の人を傷つけるのが恐いんですよね?」



俺は、アイリスのかなり的を得た言葉に唾を飲む。



確かに、俺のせいでみんなが悲しそうな顔をするのは嫌だ。



「でも、私は我が儘だから・・・・」



そう言ったアイリスの声は、微かだが震えていた。



「・・・泣いて、るのか?」



俺はアイリスの顔を見ようと試みるが、強い力で抱き締められていて体が動かせない。



「はやと様に、私だけを好きになってほしい・・・その為なら、何をしてもいいから・・・・」



そんなアイリスの言葉に、胸が痛む。



優柔不断で何も決めれない自分に、こんなにもアイリスを悲しませている自分に嫌悪感。



俺は抱きついて離れないアイリスの頭を撫でながら、眠れない夜を過ごした。

こんにちは。璃瑠@です。            もうすぐ100話ですね〜。これも、こんな小説に目を通してくれた皆さんのお陰です。  


本当に、ありがとうございます。                     これからも、できるだけ頑張りますので応援してくれると有り難いですねw                  追伸、とうとう100万Hit達成しましたw本当に感謝しますw                   2009年10月28日璃瑠@

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