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らぶゆっ!  作者: 璃瑠@
86/92

84話→体育祭、らすとっ!



「海巳・・・」



「はぅ・・・・もう一回」


さっきからこの会話の繰り返しである。



まだここに入って2分も経たないというのに、2週間くらいずっと居たみたいに疲れた。



これは、リアル精神と時の部屋じゃないか・・・。



海巳ね・・・・いや、優の姉さん曰く俺が『海巳姉』と呼ばなくなった日数分言わないと許してくれないらしい。



たぶん言わなくなったのが中等部に入って最初らへんだから・・・・5年以上は経っているな、確実に。



このまま優の姉さんに付き合ってたら精神的に死ぬかもしれない。



俺はなんとしてもここから脱出しようと頭をフル回転させる。



「あ、あのさ優のねぇ「海巳」・・・海巳」



優の姉さんは俺にどうしても海巳と呼ばせたいらしい。



「なぁに?はー君」



ニコニコと楽しそうに笑う優の姉さん。



「あのさ、俺ちゃんと海巳って呼ぶからそろそろ出してもらえないかな?」



「・・・・・・ダメ〜。はー君すぐ嘘つくし」



そりゃあ、嘘も方便。



人間誰しも嘘くらいつくじゃん。



まぁ、優の姉さん含め貞操のピンチになった時以外はあんま嘘はつかない・・・と思う。



「じゃあさ。どうやったら出してもらえんの?俺は早く出たいんだが」



俺の言葉に、う〜んと何かを考え始める優の姉さん。


「・・・よし、じゃあさ、はー君が私の言うこと1つだけなんでも聞いてくれるならいいよ?」



・・・・・・俺に死ねと?


「それ以外は・・・」



「却下」



即座に拒否られてしまった。



「・・・・・・・1つだけだぞ?」



俺は渋々と承諾してやった。



大丈夫。いざとなったら逃げればいいんだよ、逃げれば。



優の姉さんから解放された俺は、久しぶりにも感じる太陽の光を肌いっぱいに受け止める。



生きてるって素晴らしいね。



どうやら、他の人達はもうゴールしてるみたいだ。



優がゴール近くで倒れているし。



そんなこんなで着々と時間は経過して、体育祭の最終競技。



クラス対抗二人三脚が始まった。



俺としては、練習通りにやればかなり上位狙えると思うんだが。



俺たちのチームの色である黄色の紐で、俺と夏凪の足を結びスタートラインに立つ。



「はやにぃ、かなとはやにぃの仲の良さを皆に知らしめてやろうね!」



「おう!練習したからには絶対勝とうな!」



俺は夏凪に励ましの言葉を送り、一緒に走るやつらを見る。



みんな男同士のペアか女同士のペアだ。



羨ましそうにこっちを見ている。



パンッ!



ピストルの音とともに、声を掛け合って足をすすめる。



「いち、にっ、いち、にっ・・・・・」



最初はすこしぎこちなかったが、どんどんと息が合ってきて、それに伴い走るスピードも速くなる。



「はやにぃ、なんか二人になるの久しぶりだね」



夏凪が走りながら声をかけてきた。



俺は苦笑すると、足元に気をつけながら「そうだな」と返事をする。



「前までは思わなかったよ。はやにぃの周りにこんなに沢山の女の子が集まってくるなんて・・・」



「それは同意だな」



俺自身も、思ってなかった。



運命とはまた不思議なものだな。



ギャルゲ好きな俺が、まるでギャルゲの主人公みたいにラブルジョアになる。



これがまさに運命の悪戯ってやつか。



まぁ、悪戯されすぎな気もするけど。



「でも、はやにぃ。かなは誰にも負けないからね?はやにぃを絶対に振り向かせてみせるから」



・・・・・・今のはある種の告白か?



まぁ・・・ねぇ・・・・。


「俺たちは兄妹なんだぞ?」



「大丈夫だよ。血は繋がってないし、母さんも認めてくれてるから」



ぇ・・・・母さん公認なのか?初耳なんだが。



「それに、かなは、はやにぃのこといっぱいいっぱい大好きだし」



「・・・・・そうか、俺はまだ自分が誰を本当に好きなのかわからないからな。決めるのは時間がかかるぞ?」



俺と夏凪は、喋りながらも、1位でゴールテープを切った。



「うん・・・・はやにぃが優柔不断なことはよくわかってるから、大丈夫だよ」


夏凪が足の紐を解きながら呟く。



「・・・そっか」



俺は紐解きを頑張ってる夏凪の頭を2、3度撫でる。



「っと、この紐はかなが記念に貰うね」



そう言って、解いた紐を片手に応援席に走っていく夏凪。



少し顔が赤くなってた気がしたけど、まぁいいか。



・・・・おっと、もうちょい自重しないと夏凪の評判が下がってしまう。



俺なんかと仲いい兄妹なんて思われたら、夏凪の変な噂が流れたりするかもだし。



それは嫌だからな。



俺は軽く深呼吸をして、高等部生活最後の体育祭を頭に焼き付ける。



色々あったけど、今までで一番楽しかった体育祭。



全競技はきつかったけど、参加できて良かったと、俺は一人で微笑んだ。



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