74話→砂浜!
「・・・うぷっ・・・・・・ありがとうな」
俺は、代金はいらないと言うウェイトレスさんの言葉を遮り千円札1枚と感謝の言葉置いて店を出た。
パフェを完食するのに1時間もかかってしまった。
だって、途中から客がポツポツ来はじめて最終的には1人で完食したのだ。
時間はかかって当然だろ?
甘いを通り越して辛いになったのは初めての経験だったな、まじで。
たぶん半年分の甘味は摂取しただろう。
膨らんで、少々きつくなった腹を休めるためにベルトを少し緩めながら適当にうろつく。
気がつくと、島の外れにある海岸にたどり着いていた。
他の島や、本島から入港してくる船を遠目で見ながら海の風を体一杯に受ける。
昔、よく遊んだなぁ・・・・と海岸沿いに広がっている砂浜を苦笑しながら見る。
夏凪と初めて会ったのも梓と初めて会ったのもこの場所だった。
俺はこの島で産まれたわけじゃない。
日本の長崎県に、5歳の頃まで住んでいた。
けど両親が島に住みたいと言い出してこの島に移住することにしたのだ。
胸を高鳴らせながら新しい生活を楽しみにしていた俺は、あんなことが起こるなんて思ってもみなかった。
本当に偶然に偶然が重なって起きた不幸な事故。
正確な事は知らないし、知りたいとは思わない。
ただ、両親とも即死だったらしい。
その事故の日。
行くあてもなかった俺は、この砂浜でボーッと海を見ていた。
涙は枯れて泣くこともできない俺は、ただただ死を覚悟していた。
この砂浜で一人ぼっちで死ぬんだ、と。
そんな時声がした。
「ねぇ、なにしてるの?」
声の方をゆっくり振り向くと、自分と同じくらいの女の子が立っていた。
その女の子は、暖かそうなマフラーを首に巻いて顔をポカポカさせていた。
12月半ばにもなろうとしているこの時期には相応しい格好だ。
対する俺は、長袖だがトレーナー1枚だし半ズボンだった。
俺は女の子を一睨みすると、眉を潜める。
「・・・・あっち行け」
擦れたような声で俺は呟く。
大きな声をあげる元気もない。
女の子は、首を傾げると「ちょっと待ってて」と言い残すと、どこかに去っていった。
俺はため息とともに白い息を吐くと、海に視線を止めてボーッとする。
しばらくすると、女の子が母親らしき人物を連れて戻ってきた。
そこからはあっという間に話が進み、いつの間にか俺とその人達は親族になっていた。
最初は反抗心みたいなのがあったけど、気づかないうちに夏凪達と家族であるのが当たり前になった。
小さい頃、夏凪は海が好きで、夏でも冬でも関係なく遊びに行った。
そうしてるうちに梓と出会い、いろいろあったりした。
俺は海岸沿いから砂浜におりると、寝転がって空を仰ぐ。
空には雲一つない青空が広がっていた。
大きく伸びをすると、制服が汚れることも構わずに、ゆったりと砂に体重を預ける。
波の音が耳に心地よく響いて、ゆっくりと眠りを誘う。
まだ昼になってないし日も高くない。
少しの間目を瞑って、今という時間を楽しむ。
そうしているうちに、いつの間にか眠ってしまった。
チャララ〜♪
聞き覚えのある音にゆっくりと目が覚める。
半覚醒状態の頭で音の源、携帯電話を手にとった俺は、パカッと開いて画面を見る。
ーーーーー新着メール32件。
思わず吹き出しながら、頭が一気に覚醒していくのを感じる。
『はーくん?今どこ?』
『はやにぃ、今どこにいるの?』
夏凪と梓から、同じようなメールが交互に来ていた。
俺は砂で汚れた頭をはたきながら、携帯を閉じる。
携帯の時計は12時12分を示していた。
パフェのせいかお腹は減らないが、体中がドロドロしていて気持ち悪いし一旦寮に戻ることにしよう。
俺は、足早に砂浜を後にして寮に向かった。
なんか1話1話が短くて申し訳ない・・・・。 少しづつ長くなるように努力したいです。 今は話の盛り上がりに欠けますが、盛り上がれるように頑張りますよ〜。 では、引き続きらぶゆっ!をよろしくお願いしますm(__)m




