6話→自己紹介!
俺が入学したサブリミナル学園は、驚きの連続だった。
王族の部屋だけあって、メイドさんらしき人が起こしてくれる。
起きた時には朝飯も準備されているし、その朝飯の味もかなりうまい。
教室も綺麗に掃除されていて、元いた世界の教室とは家のトイレと公衆便所くらいの差はあったと思う。
俺はアリスと一緒に教室まで来ていた。
なんせ道わかんないし、アリスは何度か来たことあるっぽかったしな。
「この学校すげぇなぁ。」俺はしみじみと呟く。
「そうだよね。ぼくも他の学園の街にも行ったことあるけど、たぶんここが一番なんじゃないかな?」
「そうなのかぁ、っと、俺とアリスの席は・・・・離れてるな、残念。」
教室に入った俺は座席表を見て苦笑いをする。
アリスが近くにいた方が心強いんだがしかたないか。
「ぼくも残念〜。はやととずっとお喋りしてたかったんだけどね」
アリスも残念そうに笑う。
俺はアリスと別れて自分の席へ向かった。
俺が席に着くと、横の席の男子生徒が話しかけてきた。
「お、隣の席か。俺の名前はグリム・トラ・バリュー。呼ぶときはグリムで」
「あ、えっと、俺は池谷 葉雇。よろしく。」
隣の席のやつ、グリムか。フレンドリーな奴だな。
「はやと?変わった名前だな?」
「そうなのか?まぁ、知らんが。それより・・・・」
俺は教室を見回す。
「女子の割合多くないか?」
そう、男子は俺と横の席のグリムを含め三人しか見当たらない。
「そりゃそうだろ。このクラス、入学試験で五万以上の魔力数値出さないと入れないし。女子の方が魔力高いのは世界の常識だろ?」
魔力?魔力・・・・俺にそんなんあるのか?
つか女子の方が高いのにこのクラスにいる男子って、所謂天才ってやつなのか?
「へぇ、なら、このクラスにいるグリムや俺、あそこにいる男子はすごいのか?」
グリムは呆れた顔で俺を見る。
「あたりまえだろ?だって男子入学者が1000人近くいた中で3人しかいないんだぜ?」
ほぅ、そりゃあすごい確立だな。
「なら男友達ってのは大切にしなきゃな。グリム、よろしくな。」
俺は右手を出す。元の世界じゃオタクの俺と仲良くしてくれるのは、同じオタクだけだったからな。
普通の友達はなかなか新鮮だ。
「こちらこそ、よろしく。」
グリムはニカッと笑うと、俺の手を握り返してきた。
「ではでは、自己紹介を始めたいと思います〜。」
担任のエレナ先生が、出席番号順に自己紹介するように促す。
エレナ先生は、頭には所謂犬耳というものがついている。
グリム曰く犬族〈ドッグ〉という種族らしい。
回りをよく見ると、同じように犬耳があるものや、猫耳がついているものまでいる。
俺、猫耳属性あるんだよね、どうでもいいか。
自己紹介は、出席番号、名前、趣味、種族を言うらしい。
種族って俺は何を言えばいいのか・・・・・・。
「出席番号一番、ミウ・トルテです。趣味は料理です。種族は猫族〈キャット〉です。よろしくお願いします。」
頭を下げたときに揺れる猫耳が半端なく可愛い。
やっぱ猫耳っていいよね。癒される。
「出席番号二番のアリス・ドラグ・テラです。趣味はお散歩です。種族は真竜人〈ドラゴン〉です!よろしくっ!」
アリスの自己紹介に教室が騒めく。
「ドラゴンって、まじか・・・・しかもテラは王族の証・・・・・すげぇ」
グリムが感嘆の声をあげる。
「なぁグリム。ドラゴンってそんなに凄いのか?」
俺の言葉にグリムは首を傾げる。
「はやと、お前知らないのか?この世界の常識じゃねぇか。」
グリム曰く、この世界には身分制があって、一番上がドラゴン。次がドラゴニスと魔族。で、三番目が残りの種族と分けられているらしい。
つまり、ドラゴンの王族は最高位の種族ということだ。
なるほど、俺はこの国で一番位が高い人と知り合いなのか。
「てか、はやと無知すぎだろ。」
グリムはゲラゲラと笑う。
仕方ないじゃないか。俺、この世界の人じゃないし。
「出席番号十二番。ルナ・ミルト・ドラゴニスです。趣味は裁縫。種族は半竜人〈ドラゴニス〉です。よろしく」
またまた教室が騒めく。
「ドラゴニスのお姫様と同じクラスとは・・・・幸せだぁ」
グリムが涙を流している。
「そんなに幸せなのか?」
俺の一言に、グリムがやれやれと肩をすくませる。
「俺もドラゴニスなんだが、姫様なんて話でしか聞いたことなかったんだぜ?それが同じクラスになれるなんて夢のようじゃないか」
まぁ、普通は喋ったりできないんだろうな。姫様だし。
部屋が同じということを知られたら大変なことになりそうだ。
「おぉう!!姫様四人と同じクラスとは、なんという奇跡なんだぁ」
グリムの声でふと気付く。いつの間にか姫様四人とも自己紹介が終わったらしい。
次は、もう一人の男子の順番だ。友達になるかもだし、話をきいとこう。
「出席番号二十五番、ケン・シロウです。趣味は特にないです。種族は犬族〈ドッグ〉です。よろしく」
ブッ。俺は思わず盛大に吹いてしまった。
何だって?ケン・シロウ?なんのジョークだ。
しかも顔はショタ顔。似合わねぇ。
俺は笑いを堪えながら、ケン・シロウの顔を見る。
アハハハハハハハハハ、笑い止まらん。
俺は心の中で大爆笑する。
笑いがおさまる頃には順番がかなり進んでいた。
次の次が俺か。
「グリム、お前自己紹介したか?」
俺の一言にグリムがショックを受けたようで、「ひどい、あんなに目立つ自己紹介したのに!?」とか言ってる。
「すまん、すまん。ちょっと色々あってな。」
俺はグリムを宥める。
と、俺の順番が回ってきた。
「えっと、出席番号三十五番。池谷葉雇。趣味はエロゲ、種族はにんげんです。」
俺の自己紹介で、教室が今までで一番騒めいた。