50話→夢の中で!
記念すべき(?)50話目です。 ここまで読んでくれた人ありがとうございます。 これからも、頑張りますね。応援してくれるとありがたいですm(__)m 璃瑠@
久しぶりの我が家。
3ヵ月も居なかったわけだから自分の部屋は色々と埃が蓄まっているだろう。
そう思い、家の2階にある自分の部屋へと足を進める。
ガチャ。
自分の部屋のドアを開けると、前より小綺麗になっていた。
普通ならありがたいとか思うかもしれないが、思春期の真っ只中な俺としては部屋を勝手に掃除されるというのは死刑宣告にも近いくらい嫌なことだった。
だってほら・・・・・。
本、とかね?
わかる人はわかってくれると思うが・・・。
俺はその本が見つかってないことを祈りながらゆっくりと部屋に足を踏み入れて・・・・・・・・撃沈した。
だって、机の上にその本が積んであるんだぜ?
いろんなとこに隠していたのに・・・・。
本の数から察するに全部見つかってますね、はい。
帰ってきて早々にあっちの世界に帰りたくなった。
しかも俺の本からは、性癖もとい俺の属性がいとも簡単に割り出せてしまう。
だって、表紙を飾るのは猫耳巫女のコスプレをした人ばかり。
・・・・・ごめんなさい。猫耳巫女たまりません。
俺は、家族に属性を知られたことに打ち拉がれる。
そして、フラフラと自分のベッドに倒れこんだ。
ベッドからは甘い匂いがした。
なんか匂い消しでもしたのか?
てか俺ってそんなに臭かったか?
自分の新たな事実に再度ショックを受けつつ、部屋全体を見回す。
所々片付いているけど、ほとんど前と変わらないままにしてくれている。
たぶん、世間では俺は死んだと思われているだろう。
けど、母さんとかはきっと生きてるって思って部屋をそのままにしてくれてるんだ。
その気持ちを知れただけでも、こっちの世界に戻ってこれてよかったと思えた。
と、それも束の間。
あることに気づいた。
俺はそれが事実でないように祈りながら部屋の中を探す。
ない、ない、ない・・・・。
俺の希望〈ギャルゲ〉がなくなってるぅぅぅぅ!?
きっと売り捌かれたんだろうな。
さっきの気持ち前言撤回。
戻ってこれてよくなかったです。
俺は頭の中が白くなるのを感じながら、フラフラと家の玄関に向かう。
今は、一人で落ち着きたい。
そう思ったから。
家から出て向かったのは、昔馴染みの公園。
虐められて落ち込んだ時とかよく来てた場所だ。
俺は公園の中に3つくらいしかない遊具の内の1つ。
ブランコに腰をかけて、ゆっくり揺らし始める。
考えるのはアリス達のこと。
最後に見た、彼女達の泣きそうな顔。
それを思い出すたびに胸が苦しくなる。
空を仰いでそっと呟く。
「また、会いたいな」
青い空はどこまでも続いていて、別の世界だけど彼女達、グリムやケンも。
みんなが同じ景色を見上げてくれていたらいいなぁと思った。
似合わずしみじみしていると、何だか吹っ切れた。
もちろんゲームのことだが。
俺は大きく息を吸い込む。
家に帰ってみんなを待とう。
そう思い、帰路についた。
家に着くと、とりあえずシャワーを浴びた。
たぶん、もう外に出ないしな。
シャワーを終えて自分の部屋に戻りベッドに倒れこむ。
なんか、色々と疲れた。
そう思ってるうちにゆっくりと睡魔に誘われた。
夢、夢を見た。
アリスやチョコの泣く顔、悔しそうに唇を噛み締めるリリィ。
みんなそれぞれ悲しみの表情を浮かべていて、俺は本当に胸が張り裂けそうになる。
今すぐ抱き締めて慰めてやりたい。
そう思っても、何もできない自分が腹立たしい。
はやと、はやと、と名前が呼ばれるけど返事をしてやることも出来ない。
俺は胸を痛めながらその様子を見ることしかできなかった。
その時、声がした。
「・・・・・・また・・・会える」
それは聞き覚えのある、ユアの声。
ユアは俺の方を指差してこう言った。
「・・・それが何かわかる?」
そこで暗転。
俺は夢から覚めるのを感じながら、ユアの言葉の意味を考える。
(それ?ユアが指差していたのは、俺じゃなくて何か物みたいだったが・・・)
そこまで考えると、頭が覚醒し始めた。
まぁいいさ、ゆっくり考えよう。
そう思いながら。