46話→悪巧み!
「とりあえず、おとなしくしてくださいね?」
そう言ってニッコリ笑うリリィ。
俺は無駄な抵抗をやめておとなしく座り込んだ。
出口を防ぐように立っている理事長を睨むと、理事長はにやりと笑う。
「これで、逃げられないな」
全てはルミナスとリリィの作戦通り。
そう思うとため息しか出なかった。
昼休みが終わり、無事に夜飯を食べた俺はリリィとルミナスが何もしてこなかったことに安堵していた。
そう、今思えばその油断がダメだったのだ。
俺は、寝る前に風呂に入ろうと思って風呂場に向かった。
そして三つある風呂場のうち、『男湯』と記してあるにとこに入る。
いつもと男湯の場所が違うことも気づかずに。
服を脱ぎ、浴場に足を踏み入れて初めていつもと違うことに気づいた。
男湯にも混浴にも入ったことのある俺が見たことない浴場。
それはつまり、女湯である。
確かに男湯って書いてあったよな?と、頭をフル回転させる。
うん、確かに書いてあった。
間違えたのでなければ、と、今日の昼休みのことを思い出す。
「「覚悟しておいてください!」」
不意に、その言葉が頭の中に浮かんだ。
まさか・・・・・
ガラガラっとドアが開いた音がしたかと思って後ろを振り返れば、そこには満面の笑みを浮かべるルミナスとリリィ、理事長がいた。
「クックック、私の幻影魔法ははなかなかだっただろう?」
ニヤニヤ笑う理事長。
生徒に魔法行使していいんですか?とは言わない。
だって、理事長だし。と自分の中で結論が出てるからな。
理事長は唯我独尊。
これが理事長に対する俺のイメージだったりする。
しかし、今はそんなことよりもっと重要なことがあった。
「三人とも、なんで裸なんすか・・・・」
そう、三人ともタオルを巻かずに素裸なのだ。
俺はさっきから視線を下に向けているが気になって気になって仕方がない。
振り向いたときに一瞬だけ見えた裸が頭に残り、股間のものを押させるのにも必死である。
「はーくん、ここはお風呂ですよ?裸になるのは当たり前じゃないですか」
確かに正論だ・・・・
「くっ・・・・でも!」
「とりあえず、おとなしくしてくださいね?」
と、ここから冒頭の話に戻るわけだ。
理事長を睨んだときに見えた、大人らしい豊満な体はありがたく頂きました。
「はーくん?何で理事長先生の体ばかり見るのかな?かな?」
あなたはどこのお持ち帰り女なのかと問いたくなった。
「はやとさん、私の体だじゃ不満だっていいたいんですか?」
「はやとはよくわかってるな!やはり大人の魅力だよな!」
ガッハッハと笑う理事長と、不満げな視線を送ってくるルミナスとリリィ。
「と、とりあえず、俺、先に上がるから」
体とかまだ洗ってないが後からでも大丈夫だろ。
「なに言ってるんですか?」
そう言って、ペチ、ペチ、と足音をこっちに近づけてくるルミナス。
「ち、近づくなぁ!」
俺は視線を下に向けたまま後ずさる。
「大丈夫ですよ。優しくしますから」
今度はリリィが近づいてきた。
ガシッ。
二人は俺の腕を片方づつ掴むと、俺を引きずり始めた。
「さぁ、体をキレイに洗ってあげますからね?はぁはぁ」
「そうですよ。二人で隅から隅までキレイに洗いますね。はぁはぁ」
なんか、はぁはぁ言ってるんですけどこの二人。
「た、助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺の叫びは風呂場で響いてゆっくりと消えていった。