41話→アリスの気持ち!
いつも通りの教室。
しかし、今日はいつもと違った。
なぜなら・・・・・
「・・・・・・」
俺とケンとグリム。三人でいつものように向かい合ってるのに今日は妙な沈黙しか流れない。
「・・・・よしっ!吹っ切れた!」
グリムが自分の頬を思いっきり叩く。
「・・・・・・僕も、大丈夫」
そう言って頷くケン。
「わかってくれて、ありがとな」
俺は、謝罪と感謝を含めて頭を下げる。
そしていつもみたいにグリムが笑い、ケンがそれにのる。
そんないつもの風景に安心したのか、教室の中から幾つか安堵のため息が聞こえてきた。
心配してくれるやつもいたのか、と少しくすぐったい気持ちになる。
なんでこんなことになったのか、というのは簡単な理由だ。
アイリスと同じく、この二人にも知っておいてほしかった。
俺がもうすぐ帰るということを。
この二人なら、悲しい顔をするけどすぐに気持ちを切り替えてくれると確信していたからだ。
「でもさ、一週間ってあっという間だよねぇ」
少し悲しそうにケンが呟く。
「確かに、一週間後には美味い飯が喰えなくなるんだしな」
冗談まじりに苦笑するグリム。
「大丈夫、何個かレシピ残しとくから」
俺は笑いながらグリムに喋りかける。
悲しそうな顔のケンもつられて笑いだす。
やっぱりこの二人は強いな、と染々思う。
それと同時に、元の世界に帰るのを少し躊躇ってしまった。
元の世界では、友達の二人と妹と妹の友達、従妹以外はみんな敵だった。
俺はあまり思い出したくないソレを、記憶の奥底に押し込む。
そして、あと一週間しかない幸せな日々を大事にしようと心に誓う。
まぁ、妹と従妹と交わした『約束』を守るためだけに嫌な世界に戻る俺はかなりお人好しなのだろう。
「はやと、どうした?」
グリムが、ボーッとしている俺の目の前で手を振る。
「いや、ちょっと考え事をだな」
俺の台詞を聞いてニヤリと笑うケンとグリム。
「「いやらしい」」
そんな考えをしてる二人の方がやらしいのは気のせいだろうか。
「ったく、そんなん考えてねぇよ」
俺は二人の頭をこづく。
「冗談だって」
そう言ったのはケンだけでグリムはまだニヤニヤしている。
「グリム、お前、晩飯抜きな」
「ごめんなさい」
瞬時に土下座をするグリムを見て、俺とケンは笑う。
「はいは〜い、みんな席について」
エレナ先生が教室に入ってきて、着席を促す。
もうこんな時間か、と時計を見る。
8時25分。
教室に来て1時間くらいか。
やっぱり、楽しい時間が流れるのは早いな、などと思いつつ軽くため息をついた。
その夜。
この世界に来ての日課となっていた夜の学食作りをしていた。
来てはじめの頃は、ケンとグリム。
たまにアリスしかいなかったが、現在はその3人を含めて30人くらいがいる。
この学校の一クラスの人数よりも少ないけど、30人分の料理を作るのは大変だった。
その中にはアイリスや姫様達もいるわけで、自然と学食が賑やかになるのは当たり前だった。
その後、今日は久しぶりの混浴風呂に入っていた。
特に理由はなく、なんとなく。
星空を見上げながら、ゆっくり肩まで湯槽に浸かる。
やっぱり露天はいいなぁ。
「はやと・・・居る?」
不意にガラガラとドアが開く音がしたと思ったら、アリスが風呂場に入ってきた。
・・・・・・落ち着け、俺。
ここは混浴だ。気にしちゃダメだ。
そう自分に言い聞かせながら、股間の息子を押さえ込む。
べ、別に、風呂場で二人きりだからって変な期待はしてないんだからねっ!と気を紛らわせるために言ってみた。
・・・・心の中でだけど
「アリスか、居るぞ」
俺がそう返事をすると、アリスは「ちょっと待ってて」と言い残して体を洗いはじめた。
俺はその音だけを聞きながらアリスを待つ。
「ふぃ〜」
アリスがお湯に浸かって安心したような声を上げたのはそれから十分くらいしてからだった。
「で、アリス。何で混浴なんかに来たんだ?」
「えっと、はやとに少し話があってね。グリムに聞いたらココだって言ったから」
なるほど、情報漏洩源はあいつか。
グリムとケンとは風呂に入る前に、男湯と混浴で別れた。
だからグリムが知ってたんだが・・・・・あいつ風呂あがるの早いな・・・
「そっか、で、話ってのは?」
俺はグリムの事はさて置き、今はアリスの話ってのが気になる。
「うん、えっとね・・・・・・ぼく、その・・・・・・前から、はやとのことが・・・・」
そこで言葉を詰まらせるアリス。
「・・・俺のことが?」
だいたい言いたいことはわかっていたが、確認のために質問する。
「は、はやとのことが・・・・・・・・・・・・・・・」
アリスは覚悟を決めたように目を閉じると、その言葉を口にした。
はやとを初めて意識したこの場所で。
「ぼくは・・・はやとが・・・・・好き」