表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
らぶゆっ!  作者: 璃瑠@
42/92

40話→タイムリミット!



翌日、少し睡眠不足な頭を無理矢理覚醒させて台所にむかって料理を作る。



作り始めてしばらくすると、アイリスが台所に来てアリスと姫様達の料理を作りだす。



で、二人で料理に関する意見を交換したり世間話などをする。



それが最近の日課になっていた。



学校が休みの日も朝早く起きて料理をする。



それがとても楽しかったし、息抜きにもなった。



今日もいつも通り世間話に花を咲かせていたのだが・・・・・・



「俺、もうちょっとしたら元の世界に帰れるかも」と意識もせずに口から出てしまったその一言から、アイリスの様子がおかしくなった。



どういう会話からそんな話になったのか、ということは、アイリスの悲しそうな顔を見てしまった俺の頭の中から消えていた。



今はただ、アイリスの悲しそうな顔を喜んだ顔に変えたい。



そう思いながら色々と話をふる。



いつものアイリスなら、すぐに元気を戻して笑顔を見せてくれるのだが、今日はなかなかそんな様子を見せない。



「なぁ、アイリス。何でそんなに落ち込んでるんだ?」



俺の質問に、ようやく口を開くアイリス。



「すみません。私、メイド失格ですよね。はやと様に仕えさせてもらっているのに心配かけてしまうなんて・・・・・・でも、大丈夫です。もう、大丈夫」



アイリスはつくったように笑うと、何もなかったかのように料理作りを再開した。


そんな笑顔を見てるとなんだか痛々しくて・・・・・たぶん、原因は俺だ。



なんとなくだけど、アイリスは俺に元の世界に帰ってほしくないんだろう。



ぶっちゃけ俺も、友達なんかと別れるのはかなり辛いからな。



アイリスの気持ちはわかる。



でも、元の世界には思い残したことがまだある。



だから、嫌でも帰らないといけない。



「アイリス・・・ごめん」


ただ謝る。寂しくさせてしまうことへの謝罪。この世界に残ることはない、という決意を固めるための言葉。



「・・・・・」



アイリスはただ頷いた。



理事長に聞いた話だと、あと4、5回魔力をペンダントに蓄積させれば、保存容量満タンになって今すぐ帰れる。



蓄積をせずに、今の状態の魔力量でも今日からあと一週間足らずで帰れるらしい。



「あと一週間、そんだけしか時間ないけど逆に考えれば一週間もあるんだ。アイリス、その、よかったらあと一週間だけよろしく頼む」



俺はそう言うと、アイリスに頭を下げる。



「頭を上げてください」



そう言って俺の方を見つめるアイリス。



「私は、はやと様が大好きです。それは、その気持ちは絶対に変わりませんから」



そんなアイリスの言葉に、俺は照れたように頬をかく。



「ありがとうな。なんか相談できてよかった。あと、他のみんなには内緒な?俺、人の悲しむ顔って好きじゃないんだよね」



「む、それって私なら悲しむ顔を見ても平気ってことですか?」



ぷくっと頬を膨らませるアイリス。



「・・・・・・そうかもな」



「はやと様ぁ!」



怒ったようにポカポカと叩いてくるアイリス。



やっといつものアイリスに戻ったな。



そう思いつつ、そっとため息をつく。



さて、あと一週間、頑張るかな。












(はやとが・・・・・・帰る?)



いつもより早く目が覚めてしまったアリスは、はやととアイリスの会話を聞いてしまった。



はやとが元の世界に帰る。


その言葉が頭の中で何回も繰り返され、その度に胸がギュッと締め付けられる。


そして不意にある考えが頭をよぎる。



あのことを言おうと。



はやとの周りにはその気持ちをはっきり言っている女の子もいる。



それでもはやとは揺るがずに、元の世界に帰ろうとしている。



ぼくが言っても同じこと・・・・・・そう思っていても言わなきゃ伝わらない気持ちもある。



言おう、ちゃんと言わなきゃ。



好きだって。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ