38話→予想外の誘い!
今回少し短いです。 すんません。 でも、高校生活最後の体育祭の練習でとっても眠いんです。 ・・・もう、ゴール(眠る)してもいいよね?
「で、今日は何?」
俺の疲れたような言葉に、生徒会長が眉をひそめる。
呼び出しをくらったのは、もちろん俺だった。
久しぶりの授業が潰されたのだが、怒る気にもなれずただ疲れてしまった。
「あなた、また生徒会長に・・・・」
「リノちゃん、大丈夫」
立ち上がって俺に文句を言おうとした女の子を、生徒会長が制す。
お、あの子は確か、前も同じ事言ってた子だな。
あん時は泣かせてしまったからな。
とりあえず謝っとくか。
「では、本題に入る」
俺が謝ろうと立ち上がる間もなく、生徒会長が言葉を紡ぐ。
まぁ、別に今じゃなくてもいいか。
「今日の議題は、理事長が作っているアレのことだ」
・・・・・・なるほど、俺が呼び出されたわかった。
俺がわかったように頷くと、生徒会長も一つ頷いて話を続ける。
「実は、アレが思ったよりうまく出来てるようでな。あと8ヵ月くらいしたら実用できるようになるだろう」
・・・ということは帰れる目処がたったのか?
「会長さん、一ついい?まさか足りないのって魔力だけとか?」
「・・・む、よくわかったな。まぁ、そうだ。魔力を一ヶ所に止めておくのはかなり難しいんだ」
ということは、魔力さえあればいいんだよな?
たぶんだが、俺が持っている“精霊の瞳”を使えばかなり早く帰れるんじゃないか?
元の世界にもうすぐ帰れる。
そのことを思うと不意に頬がゆるむ。
「そうか。帰れる目処が立ったのがそんなに嬉しいのか」
生徒会長が、ウンウンと頷く。
どうやら会長達は、“精霊の瞳”の存在を知らないみたいだ。
あとで理事長室にでも行って、精霊の瞳を使用した場合の完成予定時間でも聞いとくか。
・・・・・・思ったんだが今、授業中だよな?なんで生徒会はみんな揃ってんだろ。
さぼりか?さぼりなのか?
そんなことを思いつつ、早く授業に参加したい、という気持ちで他に用はないか質問する。
「会長、呼び出されたのはその件だけなのか?」
う〜ん。やっぱ自分でも目上の人に対する態度なってないって思うな・・・・・いや、目上に見えない会長が悪いって事でいいか。
「ん?あぁ、そうだな。あとは・・・・・・」
会長が立ち上がると、他の生徒会メンバーも立ち上がる。
「あの時は人任せな発言をしてすまなかった。言い訳をするつもりはないが、女子生徒からの苦情の多さにイラついてたんだ。本当にすまなかった」
会長が頭を下げると、他の生徒会メンバーも次々と頭を下げる。
「いや、別に気にしてないから」
俺は慌てて立ち上がる。
前、保健室で謝ってもらったし改めて、となると妙な恥ずかしさがある。
「それよりこっちの方こそすまなかった。怒鳴ったり壁を壊したり・・・改めて、すまなかった」
俺もお返しとばかりに謝る。
ちなみに生徒会室の壁はキレイさっぱり直っていた。
しばしの沈黙・・・・謝ったことで、何かモヤモヤしたものが取れた気がした。
「はやと・・・・・・今日の夜、暇?」
最初に口を開いたのは意外にもユアだった。
言葉少ないキャラで確定してたからな。俺の中で。
「ん・・・まぁ暇だが」
夜、という単語に少し驚いたが、たぶんユアに限ってえっちぃ展開にはならないだろうな。
「・・・そう・・・・・・なら、夜の10時に・・・・正門で」
そう言い残すと、少し顔を赤くしながら生徒会室を出ていくユア。
言われた俺よりも、他の生徒会メンバーの方が驚いてるみたいだ。
「さすが・・・手が早い・・・・」「まさか、あの難攻不落の砦を・・・・」とか、変な誤解の声が聞こえたが、まぁ聞いてない、聞いてないっと。
その後、妙な雰囲気の生徒会室を後にしてしみじみ思う。
あながち前回来たにんげんが作った、にんげんは女たらし疑惑は嘘じゃないかもしれない、と。