32話→保健室で!
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
リーダーっぽい男に突っ込む。
しかし、軽くあしらわれてしまった。
まぁ、当たり前といえば当たり前か。
こっちは殺し合い素人なうえに体力も限界にきてる。
俺は地面に倒れこむと仰向けになり、盗賊団をの奴らを睨む。
「お前、なぜそこまでして戦うんだ?」
リーダーっぽい男の問い掛けに、息を切らしながら答える。
「はぁ、はぁ・・・・・・決まってるじゃん。友達を守りたいからだよ」
俺の言葉に納得したように頷くリーダーっぽい男。
今の俺の台詞格好よくね?
死ぬ前にあんな台詞言えるとか、かなりテンション上がるんですけど。
俺は思わずにやける。
「・・・・行くぞ」
盗賊団のリーダーっぽい男が俺を見る。
ふと目が合った。
「お前、いい性格してんな。惜しかったよ。お前みたいな男なら仲間に入れたかった」
男はそう言い残すと、ゆっくり歩きだす。
「お前ら、行くぞ。この学園を潰してあいつらへの弔いにしよう」
「「へい!!」」
その返事とともに男達はリーダーっぽい男の後に続く。
ちょっと待て。
なんで俺を殺さない?
仲間を殺したのは俺だぞ?
と言っても、刀を刺された場所からかなり出血していて、もう少し時間が経てば俺は出血多量で確実に死ぬだろう。
ならばいっそ楽に、今、殺してほしい、と考え男達を止めようとするが、体に力が入らない。
声をかけようとしてもそれすらも出来なかった。
(声出す力すら残ってないとか・・・・・・俺も脆弱だなぁ)
そんな俺の様子に気づいたのか、盗賊団の一人が俺に寄ってきた。
「なるほど、その顔はなぜ頭がお前を殺さなかったのか知りたいんでヤンスね?」
ヤンス野郎か・・・・
俺は小さく頷く。
「たぶん、さっきお前が言った台詞に男気を感じたからじゃないかと思うでヤンス。頭は男気ってのにめっちゃくちゃ弱いでヤンスからね」
カラカラと笑うと、ヤンス野郎は仲間に置いていかれないように走り出した。
(男気・・・か。あいつ実は根はそこまで悪くないのかも・・・・)
俺は、盗賊団が行った方向を見つめる。
じっと見つめていると、段々眠くなってきた。
最後に、一つだけ神様に頼みごとをしようか。
(どうか、友達を・・・・グリムやケン。出来ればみんな死なないように・・・・・・)
俺はゆっくりと目を閉じた。
「・・・・・・やと・・・・・さい・・・」
誰かの声が聞こえる。
俺はまだ生きているのだろうか?
ゆっくり目を開くと、白い天井が見えた。
薬品の匂いがする。
ここは保健室・・・?
ということは、俺は生きてるってことか。
「みんな!!はやとが起きたよ!!」
声がした方を見ると、ケンが目に涙を溜めながらニコニコ笑っている。
ケンの声を聞きつけたのか、誰かの走ってくる足音がする。
「はやと!!てめぇ!」
グリムが俺の目の前に顔を出した。
離れろ、顔が近い。
いつもじゃ見られないグリムの弱気な顔に、心配かけてしまったのか、と少し罪悪感。
「なんか・・・悪かったな」
俺の言葉に安心したような笑顔を見せる二人。
「はやと、心配しまくったじゃねぇか」
俺の頭をポンポン叩くグリム。
「ちょ、はやと怪我人だよ?もっと優しくしないと」
と、言いつつグリムと同じ行動をするケン。
いつも通りだ。
良かった、無事で。
「お前ら、いい加減いてぇよ」
二人の手を振り払う。
俺の手にはグルグルと包帯が巻いてあった。
爪剥げてたしな。
頭を叩かれた痛みと、振り払った時の指の痛みでこれが夢じゃないことを理解する。
「グリム、ケン。あいつら、あの盗賊団はどうなった?」
「あぁ、侵入者のおっさん達の事か」
グリムの話によると、盗賊団の狙いは学園のどこかに隠されているという魔法のアイテムだったらしい。
まぁ、たぶん理事長が開発しているアレの事だと思うが。
盗賊は、黒龍の玉を使ってドラゴニスの生徒を無力化して人質にした。
その際、ドラゴニスの姫達と一緒にいたアリスも捕まっていたが、怯えていて戦えるような状況じゃなかった。
捕まった生徒がガヤガヤ騒いでいると、盗賊団の一人が「おとなしくしねぇと、さっきのガキみたに殺すぞ!」と脅したらしい。
グリムとケンは、生徒会に呼び出されて教室に帰ってきてない俺がそのガキなんじゃないかと訝しんだ。
その盗賊団のやつに、怯える素振りを見せながらそのガキの特徴を聞き出したら、やっぱり俺っぽかった。
自慢気に語る男の言葉は、静かになっていた生徒全員に聞こえていたらしく、俺のクラスのやつらから、「まさかはやとの事じゃないか?」と疑問の声が上がりはじめた。
男は、まるで自分がその子供を殺したかのように俺の言葉を真似して喋り始める。
ケンとグリムはムカついてきて、男に殴りかかったらしいが力を押さえられているグリムと少しびびっていたケンは返り討ちに。
すると、めっちゃ恐い顔をしたアリスがユラユラと立ち上がってリーダーっぽい男に話しかけた。
「殺したって、本当なのかな?」
リーダーっぽい男が首を横にふる。
「いや、性格には瀕死状態だな。まだ息はあるだろうがあの出血量じゃもう死ぬだろうな。それより、お前、俺とイイコトしないか?」
どうやら、盗賊団のリーダーっぽい男はロリコンだったみたいだ。
その一言でアリスがキレてドラゴン化。で、盗賊団を一蹴。
瀕死の俺をグリムとケンが見つけて今に至るというわけらしい。
「いやぁ、本当にあの時のアリスは恐かったなぁ」
そう呟くグリムの背後に、アリスがいることをグリム本人はまだ気づいてなかった。
ちょっとバトル的な感じ書いてみたけど、向いてないなぁと思いました。 書ける人が羨ましいですねww