3話→学園へ!
衛兵が遠くなったあたりで俺はアリスに尋ねた。
「なんで入学なんかしたんだ?」
俺の一言にアリスはくすっと笑う。
「はやとはこの世界の人じゃないからわからないと思うけど学園の街は、基本的に入学希望者か教師希望者、あと商人くらいしか街に入れないんだよね。つまり街に入るには学生になるのが一番手っ取り早いの。」
「なるほど、でも、誰でも入学できるもんなのか?」
「いや、それはないよ。そっちの世界では誰でも入学できるの?」と、アリス。
「いや、できないが。ならなんで?」
「大丈夫、この街には、その・・・・奥の手があるから。」
とアリスはニコニコしている。
何がそんなに楽しいのか。
「でもあれだな。アリスはともかく俺みたいな変なの入れるなんて」
俺は自嘲気味に笑う。
「何言ってるの?はやとは服はあれだけど顔はなかなか良いから見逃してもらえたんだよ。」
まぁ確かに、昔から妹や従妹から顔はいいんだからあんまり女の子に話し掛けちゃダメ。と言われていたのだ。
・・・・あの二人の戯れ言かと思っていたがアリスのイチオシもあるのだ。
少しは自信持つかな。
・・・・・・いや、その前に顔とかで通れんのか?どんなセキュリティしてんだよ。
などと思いつつ辺りを見渡す。
学生の街、ということだけあってさっきから同じような服装の人とよく会う。
たぶん学生服だろう。
「なぁ、アリス。」
俺はふと思いついたことを言ってみたくなった。
「ほぇ?何?」
「やらないか?」
一時の沈黙。道を歩く音と回りの声だけが耳に入ってくる。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ?」
アリスは顔を真っ赤にして狼狽える。
可愛い、可愛い。やばいくらい可愛い。
「すまん、冗談だ。」
「じ、冗談?も、もう。そんなの解ってたよ」
と言いつつ赤い顔を冷やすように手でパタパタと扇ぐ。
俺がなぜ変なことを口走ったか、というと前いた世界で、所謂オタクと呼ばれる部類に入っていた俺はニコ○コ動画をもちろん見てた。
悪いのはあいつだ、さっきすれ違った髪をオールバックにしてるアイス売り。
なんかあの顔見ると兄貴の顔が頭に浮かんできた。
つまりあんなことを口ばしらせたのはあいつなわけで。
つかさっきの台詞やばいな。男が女の子に言っていい言葉じゃない。
自重、自重。と自分にいい聞かせる。
そうこうしてるうちに、街の中心部あたり。つまり学園の門の前に着いた。