23話→精霊の瞳!
「で・・・・用事って何すか?」
理事長室に着いた俺は思わずため息をつく。
何でかって?
理事長が机に突っ伏して寝てるからに決まってるだろ?
人を呼んどいてぐっすり眠るなんて・・・本当に理事長か?つか立派な大人としてどうかと思うが・・・・・・
「り、理事長。起きてください。」
俺を連れてきた女の子が理事長を揺さ振る。
「う・・・?飯か・・・・?」
「違います。いけたにはやとさんを連れて来ました。」
「・・・・ん?あぁ、そういえば頼んでたな。」
理事長は一つ大きな欠伸をして背筋をのばす。
「さて、今日呼び出された訳わかるか?」
「・・・・いや、わかんね」
俺は理事長の言葉に首を横にふる。
「だろうな。まぁ、大したことじゃないんだが・・・・・・そうだな。昨日のカップル限定の大会とやらで優勝したってのは本当か?」
「・・・・まぁ、一応。」
なんだ?僻みか?
理事長の癖に僻みなのか?
「おい、はやと。聞こえてるぞ。私が僻むと思ってるのか?」
理事長は口をひくひくさせている。
魔法学の時間を潰された怨み晴らさでおくべきか・・・・・・
「いえ、理事長は“まだ”結婚してないみたいだし 」
まだを強調してみた。
理事長のこめかみに青筋ができる。
図星か。
流石に気にしていたみたいだな。
「違うよ。理事長は理想が高いから、出来ないんじゃなくてしないだけ。」
そう言ったのは俺を連れて来た女の子。
「お、おい。書記長それはないんじゃないか?わ、私は別に・・・・」
「いえ、理事長は理想が高いというより変ですね。普通の人なんて興味ないって言ってたじゃないですか。」
「う・・・・」
理事長が言葉に詰まる。
おいおい、理事長ってばどこのSOS団団長だ?
「理事長、もう年なんだし諦めたら・・・・」
俺の言葉に理事長が咳払いする。
まぁ、見た目は20歳くらいにしか見えないし実年齢なんて知らないが。
「私はまだ22歳だ。それより話の続きだが・・・・」
「誤魔化した・・・」と呟いたのは俺を連れて来た女の子。
毒舌だなぁ。
というより、22歳で理事長なんて凄いな・・・・どうなってるんだこの学園は・・・
「えっとだな。話が逸れたが、本題はお前が貰った優勝賞品にある。」
優勝賞品?あぁ・・・・
「コレっすか?」
俺が首から下げてた青いペンダントを出す。
昨日ルミナスから貰ったんだよな。
「そ、それは・・・・」
「あぁ、あれは精霊の瞳だ。」
女の子の呟きに理事長が答える。
「精霊の瞳??」
「・・・精霊の瞳。その名のとおり精霊の目。それはかなり高度な魔力蓄積石で、安くても金貨170枚くらいはするはず・・・・」
俺の質問の答えたのは女の子。
「あぁ、申し遅れた。私は生徒会書記長をしている2年のミウ・ランド・クルセイダーという者だ。呼ぶときはミウで頼む。」
「あ、よろしく・・・って金貨170枚!?」
この世界の通貨は金貨、銀貨、銅貨である、というのはグリムから教えてもらったことだ。
通貨を知らないと不便だし。
ちなみに、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚。
学校の教職員の給料が金貨2枚くらいらしい。
これもグリムから聞いた。
と、考えると現実世界の金に変換すると・・・・確か教職員の給料が20万前後らしいから、1700万円か? 計算ミスとかじゃないよな?
1700万・・・・パソコン買ってエロゲ買って漫画や小説を好きなだけ買えるじゃないか・・・
「どうした?そんなににやけて・・・・」
「気持ち悪い。」
理事長とミウからの指摘。
そんなににやけてたか?
まぁいいさ・・・
「理事長、換金所は?」
俺の言葉に理事長がニヤッと笑う。
「換金か・・・まぁいいが、その宝石の本当の価値を聞け。精霊の瞳。そのアイテムは世界最高位の魔力保存機関だ。」
「魔力、保存機関?」
俺の疑問に理事長がコクッと頷いて答える。
「あぁ。その宝石に魔力をたっぷり吸わせる。すると青から血の色みたいな真っ赤になるんだ。で、その保存した魔力を例のアレに移すと・・・・・・」
「アレって・・・魔力増幅の?」
「・・・あぁ。」
俺はミウの方を見る。
ミウが理解したように頷いているのを見る限り、他言無用のその件を彼女も知っているらしい。
「なるほど、この精霊の瞳とやらで魔力貯めてその機械に魔力を移せば早く元の世界に帰れると?」
「理解が早いな。その通りだ。」
理事長が関心したように笑う。
「ちなみに魔力ってどうやったら貯まるんだ?」
「・・・・粘膜接触による魔力吸収・・・」
ミウが顔を赤くしながら答える。
粘膜・・・それって・・・・
「まぁ、つまりヤるかキスするか、だな。」
理事長が何の抵抗もなく言いやがった。
「・・・他に手段は?」
「ない、な。」
まじかよ。何そのエロゲ的展開。嬉しいような悲しいような・・・・人としては色々ダメな気がするんだが。
「具体的にどうすればいいんだ?」
「・・・・その精霊の瞳を所持したまま行為に及べばいい。」
恥ずかしそうに答えるミウ。
恥ずかしいなら答えなきゃいいのに。
「ちょっと待て。理事長、いいのか?俺がそんなことして」
俺の言葉に、理事長がニカッと笑う。
「許可する!!ヤってよし!!」
あー?まぁ、その行為をしなきゃいいんだよな?1年くらいでどうせ貯まるんだろうし。
「・・・・まぁ、気が向いたら。」
俺は苦笑いしながら適当に返事をする。
「・・・・不潔」
ミウがそう呟いてるが俺のせいじゃないよな?
「・・・よし、用はなくなったから授業に戻れ」
シッシッと手で俺を追い払う理事長。
俺は来る時より重くなった足を引きずりながら理事長室を後にした。