22話→弁当!
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「はーくん、ご飯食べましょう。」
アリス達との一悶着があった次の日の昼休み。
クラスが違うというのに、ルミナスが俺のクラスに来た。
アリス達には謝りまくってなんとか許してもらえたんだが・・・・
また嫌な予感がする。
まぁ、アリスと姫様達は学校があってる時間は基本的に関わってこないからいいが。
アリスは、俺が周りの目を気にして関わらない方がいいって言ってあるし、姫様達は関わる気がないらしいから助かる。
ちなみにルミナスは隣のクラス。
一定の魔力を持った人しか入れないこのクラスの予備クラスみたいな感じらしい。
魔法の事故とかでクラスに欠員が出た場合とかに、予備クラスからこっちのクラスに入れるとかなんとか。
「はーくん、お弁当作ってきたので食べませんか?」
ルミナスがいつの間にか俺の席の近くまで来ていた。
この学校の昼飯は、ほとんどが学食。
弁当を作ってくる人は稀らしい。
「まぁ、いいが・・・・俺は弁当ないけど?」
「大丈夫です。はーくんの分もありますよ。」
確かにルミナスの手には弁当箱が二つ。
そういえば、さっきからニヤニヤしているグリムとケンがむかつく。
「はやと、熱いねぇ。流石優勝カップル。」
俺とルミナスが変な大会に出て、優勝したことはかなり噂になっているみたいだ。
朝会った時から、二人から弄られっぱなしだ。
いつか復讐を・・・・
「・・・それより、グリムとケンは昼飯どうするんだ?」
「ん?あぁ、どうする?」
グリムがケンを見る。
すると、ケンは鞄の中から大きな弁当箱を出した。
「グリム、良かったらこれ食べない?」
「・・・それお前が?」
グリムの疑問に頷くケン。
「僕、はやとの料理食べてから自分も美味しいの作りたいなぁって思って練習したんだ。」
ほぅ、俺の料理を食べて料理に興味くれるってのはかなり嬉しいな。
「まぁ、なんだ。4人で食べるか。いいよな?ルミナス。」
俺の言葉に頷くルミナス。
足りない席はケンが借りてきてくれた。
俺と違って、ケンはクラスの女子に人気あるしな。
「よし、なら食べるか。」
席をくっつけて、ルミナスから弁当を受け取る。
ゆっくり蓋を開ける。
見た目は・・・・かなりいい。
問題は味だ。
この世界の料理ははっきり言ってあんまり美味しくない。
期待はしないが・・・・
俺はおかずに箸をのばす。
ちなみに、箸は前回この世界に来た人間が広めた文化らしいが。
「・・・ん、うまいなこれ」
俺の言葉に満足そうに頷くルミナス。
「ありがとうごさいます。お母さん直伝なんですよ?」
ルミナス曰く、母親は魔族で、魔族の料理文化はかなり進んでいるらしい。
「直伝かぁ。お、こっちもうまいなぁ」
俺とルミナスの方を見ながらグリムが口を尖らせる。
「そっちは女の子の弁当。こっちは野郎の弁当か。羨ましいなぁ」
ざまぁ
とは、心に思っても口には出さない。
「いいじゃんか。どれ。」
俺はケンの弁当にも箸をのばす。
「お、うまいじゃん。学食より上じゃないか?」
俺の言葉に照れるケン。
「ありがと。たぶんはやとの料理が美味しいからじゃないかな?僕はそれを目指して作ってるんだから美味しくなるのは当たり前だよ。」
「まぁ、確かにうまいけどさぁ。やっぱり女の子の手料理の方が・・・」
愚痴るグリム。
しょうがない。お裾分けしてやるか。
俺はルミナスを見る。
ルミナスは察したのか、コクッと頷く。
「グリム、少しなら食べていいが。」
「お?まじか?ありがと」
ムシャムシャ、箸をのばして次々と俺のおかずを盗っていくグリム。
ケンも遠慮がちに箸をのばすと、ルミナス料理を味わってる。
「ちょっ!!お前ら、俺の分!!」
気づかぬうちに完食された。
こいつら・・・・
そんなこんなで賑やかに弁当を食べて、もうすぐでチャイムが鳴るらしくルミナスが自分のクラスに戻っていく。
ケンとグリムもルミナスとは仲良くなったみたいだし。
「はやと、ルミナスってハーフなのか?」
グリムが腹を撫でながら質問してくる。
「ん、まぁな。何で?」
「いや、俺はなんとも思わないしケンも気にしないとは思うんだが・・・」
ちなみに、ケンは自分の席に戻っている。
「ハーフってのは嫌いな奴多いからな。あんな明るいハーフは初めて見た。」
グリム曰く、ハーフのやつは暗いやつばかりらしい。
原因は主にいじめとからしいが。
「そうなのか?ルミナスは会った時からあんな感じだったが。」
俺の言葉にグリムが苦笑する。
「まじかよ。ルミナスって強いんだな」
確かにいじめられても明るく振る舞えるのは心が強い証なんだろうな。
「あの〜。いけたに、はやとさんって居る?」
もうすぐ授業が始まるというのに、一人の生徒が教室のドアを遠慮がちに開ける。
「・・・・なんすか?」
俺は立ち上がって返事をする。
クラスの女子の視線が前より痛くなってる。
例の大会のせいだろうか。
「知り合いか?」
グリムの言葉に首を横にふる。
「理事長が呼んでるから来てもらっていい?」
理事長が?何だろうか。
「まぁいいか。グリム、ちょっと行ってくるわ。」
「先生には言っといてやる。」
「・・・ありがと」
今日は魔法学の日か。
残念だ。
俺は机の上に出してあった教材を机の中に突っ込む。
さて、変なことにならなければいいが。
重い足取りで教室を出る。理事長に関わると、ろくなことがない気がする。
俺は、呼びに来た女の子の後ろをゆっくり歩きながら理事長室へ向かった。