21話→修羅場!
ぐぎゅるる〜。
腹の虫がなる。
あれから何時間たっただろうか。
俺は、ルミナス、アリス、姫様達4人を前に正座をしている。
「あの、腹減ったんですけど。」
俺が挙手すると、6人が俺を睨む。
「はやと。今の状況がわかってるのかな?」
アリスがさっきより目を鋭くする。
「・・・理不尽だなぁ」
俺はため息とともに呟く。
そりゃそうだろ?
別に誰と付き合ってるわけでもない。
アリスとルミナス。それにチョコとリリィは、まぁ、フラグを立てたかもしれないが、残りの二人の姫様はノリで俺を怒っているらしい。
理不尽この上ない。
だいたいフラグ立てたからって、ここまで怒られる理由がわかんないし。
この状況がもう少し続くのは耐えられない。
腹も減ったし、足の痺れもきつい。
俺は逃げる手立てを考える。
さて、どうしたものか。
「・・・・みなさんは王族ですよね?」
そう質問したのは、ルミナスだ。
4人とアリスは眉をひそめながら頷く。
「・・・じゃあ、なんで異世界人〈にんげん〉に関わろうとするんですか?身分が違うのに。」
ルミナスの言葉には、身分が違う人は私と葉雇に関わるなという裏があるのだが。
アリスは、その裏に気づいたのかルミナスを睨む。
「身分なんて関係ないよ。はやとははやとだしね。それに、はやとはぼくの大事な友達だし。」
アリスの言葉にルミナスは頷く。
「なるほど、わかりました。はーくんの『友達』なら確かに身分なんて関係ありませんね。」
友達を強調したのは気のせいだろうか。
などと思いつつ、俺はゆっくりと腰を上げる。
ルミナスとアリスは睨み合ってるし、他の姫様達はその二人を見ている。
逃げるなら今だろうな。
俺は足音を忍ばせて、ゆっくりと部屋を出る。
そこでほっと息をつく。
「ねぇ、あんた。」
「うひゃあっ!!?」
突然声をかけられて、変な声が出てしまった。
ゆっくりと声の方を振り向くと、姫様の二人、確か名前は・・・・
「誰だっけ?」
俺の質問に姫様の一人。
ピンク髪のやつがこめかみに指をあてる。
「・・・・・・前に名乗らなかったっけ?」
「・・・忘れた」
俺の言葉にはぁーっとため息をつくピンク髪。
「私って、そんなに影薄いかなぁ?」
「・・・・・・俺の中では。」
ピンク髪は、だるそうに呟く。
「私の名前はルナ・ミルト・ドラゴニス・・・・・・はぁ」
名前を覚えてもらえなかったのがそんなにショックなのか。
「で、こっちは・・・・・・」
もう一人の姫様を指差すルナ。
「・・・・・ニル、だっけ?」
俺が呟くと、黒髪のお姫様が頷く。
「その通り・・・・・・私の名前はニル。覚えててくれてありがとうごさいます。」
ペコリと頭を下げるニル。
対して、怒りを顕にするルナ。
「ちょっと!なんで私の名前覚えてなくてニルの名前覚えてんのよ!?」
「・・・可愛いから?」
残念ながら、好きなキャラの名前を覚えるのは得意なんだ。
「そ、それ私が可愛くないって?喧嘩売ってんの?」
俺の胸ぐらをつかんでくるルナ。
「そういうわけじゃないんだが・・・・てかさ、なんで二人はアリス達に混じって俺を怒ってたんだ?」
取り敢えず話をそらすか。
その言葉に、ルナは胸をはる。
「決まってるじゃん。チョコとリリィを応援するためだよ。」
そう言うと、俺から手を離してニルを見る。
ニルも、同意、といった感じで頷く。
「チョコもリリィもあんたに気があるみたいだし、あの子達が異性を意識するの初めてだから応援してやんないと。」
「応援って・・・・俺の意志は?」
「・・・?無視するけど?」
今さらっと酷いこと言ったよな。
俺はそっとため息をつく。
「てか、ルナ。お前も人と付き合ったことあるように見えないんだが・・・・応援とかしてる暇あるのか?自分の彼氏見つける方がいいんじゃ?」
俺の言葉にルナは顔を赤くする。
「べ、別に関係ないでしょ!?」
ルナはそう言い残すと部屋に戻っていった。
それに続くようにニルも部屋に戻る。
ニルは、一瞬だけ俺の方を見てにっこり笑った。
・・・可愛い
取り敢えずアリス達になんと言って謝るか考える。
俺が悪いわけじゃない・・・・・・と思うが、とりあえず謝れば許してもらえそうな気がする。
一呼吸すると、扉に手をかける。
まず、逃亡したことを謝るか・・・・などと考えつつ、扉をゆっくり開いた。