19話→カップル!
「第53回!カップル限定!ドキワクッ!?もっと身近にあなたを感じたいよ大会始まるぜぇぇぇぇぇい!」
俺が連れてこられたのは商店街の中にある、ある店の前だった。
「おい、ルミナス。なんかカップル限定とか言ってるんだが・・・俺とお前そういう仲じゃないよな?」
「・・・・そうです。けど、私は優勝賞品のアレがほしいんです。だから、少しの間だけ彼氏になってくれませんか?」
ルミナスが俺の手をつかんで、目をうるうるさせる。
くっ、こっちを見るな!
「いや、しかし、やっぱりこういうのはちゃんとしたカップル達が・・・・」
「大丈夫です。参加カップルの殆どが私たちみたいな即席カップルですから。」
なるほど。
やけにカップルが多いと思ってたらルミナスみたいな考えのやつが結構いるんだな。
「だから、お願いします!!」
うぅ・・・上目遣いは卑怯だ・・・・太もも触った件もあるし・・・・・・しょうがないか
「わかった。参加してやってもいいが、負けても文句言うなよ。」
「ありがとうごさいますっ!!」
ルミナスは耳をパタパタ動かしながら喜ぶ。
ちなみに、優勝賞品は青い宝石が埋め込まれたペンダントのペアだ。
ルミナス曰く、あの宝石は1つでかなりの値段がするらしい。
「ま、出るからには頑張ろうぜ。」
「はいっ!!」
俺とルミナスは、大会の受付をすませるために歩きだした。
「さぁ!みんな!準備はいいかい!?今年は人数が多いからかなり人数減らさせてもらうよ!!」
司会の人はDJ風のおっさん。
似合ってないな・・・
「とりあえず、6ペアくらいに絞るよ!!最初のお題はジャンケンだ!えー54ペアくらい参加しているらしいから、適当にジャンケンして勝者を決めてくれ!」
なんだこの司会。適当すぎるだろ。
周りにいた奴らは、それぞれ近くにいたカップルとジャンケンをしている。
俺達もジャンケンを仕掛けられたが、ルミナスのジャンケンの強さが半端ない。
仕掛けてくるやつを、片っ端から相手にして負けなし。
やばすぎだろ。
「さぁて!そろそろ6組残ったかな!?」
いつの間にか、俺らは予選を突破したらいしい。
俺何もしてないんだが・・・
「さぁて!6組決まりました!!じゃあ、いきましょうか!!1回戦、本物のカップルならイチャイチャできるよね!?みんなに見せつけて、熱い4組が2回戦進出だぜ!!」
俺はルミナスを見る。
「これ、無理じゃね?」
「いえ、私なら問題ありません。」
なにぃ?やっちゃっていいのか?カップルでもないのにイチャイチャと。
いや、しかし、やろうと言ってるのは向こうだ。
俺に非はない。
目一杯この状況を楽しむしかないよな!?
「よし、なら頑張るかーーーーーー」
「おぉっと!?2組辞退しましたねぇ。というわけで残りの4組は2回戦進出でぇす!!」
むむ・・・・俺らみたいな即席がまだ残ってたのか。
しかし、イチャイチャ・・・・・・・安心したような、残念なような。
ルミナスは「ラッキーですね」とか言って笑ってるがこっちは内心辛いです。
イチャイチャしたかったです。
「では、2回戦始めるぜ!!カップルということは、告白が成立したということだよな!?というわけで、その告白シーンを今ここで再現してもらおうか!!熱い告白をした2組が決勝進出だぜ!!」
「おい、今度こそ無理なんじゃないか?」
「いや、大丈夫です。問題ないです。」
いや、問題あるだろ。
色々と。
「無理だと思うが・・・」
俺の呟きにルミナスは何も反応しない。
どうやら賞品のことしか頭にないらしい。
「では、始めましょうか。では、最初のカップルどうぞ!!」
まだ即席カップルが残っていたらしく、1組リタイア。
残り3組で俺たちの順番は最後だ。
前の二組は、ごちゃごちゃと凝った告白をしていた。
次は俺たちの番か。
「さぁ!!最後のカップルどうぞ!!」
俺はルミナスと見つめあう。
ルミナスから動かないとこを見ると、告白は俺からしないといけないのか。
(さて、どうするか。)
俺は頭の中で色々なエロゲの告白シーンを思い出す。
やっぱり気持ちを素直に伝える的な感じがいいのか・・・・
俺は今までやったエロゲの台詞を思い出しながらそう思った。
「・・・ルミナス!!」
「は、はひ!?」
俺が声をあげると同時にシーンとなる。
観客の態度しては満点か。
「俺は、お前が好きだ!!その耳も、体も、何もかもが大好きだ!!だから、俺と付き合ってくれ!」
「・・・は、はいっ!」
ルミナスの返事とともに観客が歓声をあげる。
やはりストレートな告白が一番だったな。
「おお!!なかなか熱い告白だったな!!さて、結果は・・・・1組目と3組目のカップルが決勝進出だぁぁぁぁあ!!」
まぁ、なんとか決勝まで勝ち残れた。
「ん?おいルミナス。顔赤くしてどうした?さっきのは本当の告白とかじゃないからな?」
俺がそう言うと、ルミナスは慌てる。
「わ、わかってますよ!!べ、別に、そんな、私たちは偽カップルなんですよね。大丈夫です。」
何が大丈夫なんだか。
きょどりすぎだろ。
「さぁて、次が最後の勝負だ!!二組とも準備はいいか?!さぁ、最後の勝負はカップルといったらキス。本物のカップル同士だったらキスも沢山できるはずだ!!と、いうわけで、決勝はキスをどれだけ長く続けられるかが勝負だ!!」
「おい、ルミナス。今度こそ無理だろ。俺ら本物のカップルじゃないんだし。」
俺がそう言うと、ルミナスが顔を赤くして黙り込む。
おい、まさか続けるとかアホなこと言わないよな?
「あの・・・・・・はーくんは私なんかとキスするの嫌ですよね?でも、もし少しだけ、ほんの少しだけでもキスしていいなら・・・・・ダメ、ですか?」
何言ってるんだこの子は。
「いや、嫌ってわけじゃないんだが・・・俺初めてだし・・・・・・」
こう見えても2次元ではキスもすませて、童貞卒業してるが、リアルではそういったことはまったくしてない。
「わ、私も初めてだよ、でも・・・・嫌じゃないんなら・・・」
「さて、いきますよ!?準備はいいですか?!」
司会の声が響き渡る。
それとともに、会場が静かになる。
「では!いっちゃってください!!」
その声と同時にルミナスが俺に近づいてきた。
顔が近づく。
20cm・・・10cm・・・・5cm・・・・・・0cm
俺の唇とルミナスの唇が重なったと同時にもう一組のカップルから声があがった。
「き、棄権します。」
その声は、観客の声に掻き消され俺の耳に残った。
・・・・・・これは、キス損というやつか。