13話→合宿二日目!
「グリム、大丈夫か?」
戻ってきたグリムは、案外平気そうな顔で苦笑する。
「大丈夫だよ。少し、その、なんだ・・・・こき使われただけだから。」
「こき使われた?何で?」
俺の質問にグリムが嘆息する。
「あぁ、なんかでっかい蜘蛛が部屋にいて風呂から出にくかったらしい。で、男の俺が退治してやった、と。」
ちなみに股間に視線がいったのは、男が女を見ると自然と胸とかに視線がいくのと同じ原理だったらしい(グリムが女子から聞いた話)
「まぁ、難なくて良かったな。じゃあ寝るか、なぁ、ケン。」
「そうだね。結構眠いし」
俺とケンが布団に潜ろうとするのをグリムが止める。
「待て、二人とも。俺を放置して逃げたことの弁解は?」
ニヤリ、と悪そうな笑みを浮かべるグリム。
グリムを説得して、寝付いたのは午前2時をまわった頃だった。
「・・・ねみぃ〜。」
二日目の今日は、合宿所にしかない魔導書を読むこと。
つまりほぼ自習と変わらないわけだが、昨日遅くまで起きてた俺たちにはかなりつらい状況だ。
てのは、ケンとグリムだけ。俺はエロゲ徹夜とかよくあったし、2時から7時まで5時間睡眠でも余裕だった。
「だらしないぞ、二人とも。」
俺が魔導書を片手に二人に笑いかける。
「はやと、元気すぎ。俺もうダメだわ」
「僕もちょっと眠いかなぁ」
欠伸をする二人。
「あ、グリムさん。昨日はありがとうございました。」
俺たちの近くの席を通り過ぎようとした女子のグループがグリムに声をかける。
「ん?あぁ、気にすんな。またなんかあったらいつでも言ってくれ。」
照れたように頬をかきながら、女子たちの方をちらちらと見るグリム。
どうやら、昨日の件でフラグをたててしまったらしい。
「わかりました。また何かあったらお願いしますね。」
そう言うと、女子のグループはどっかに歩いていった。
俺を睨みながら。
俺何もしてないんだがなぁ。
「グリム、脇キャラなんて堕フラグだ。折っちまえ。」
グリムは首を傾げると、なんじゃそりゃ、と呟いて眠りに入った。
横ではケンが熟睡している。
「ん、一点集中か・・・・」
魔導書をパラパラ捲っていると、気になる言葉を見つけた。
魔法名 ーーー 一点集中
現在、見つかっている中で最強の物理攻撃魔法。
魔力を拳などに集中させることにより、その部分の身体能力がかなり高くなる。
この魔法は、別の世界からやってきた異世界人〈にんげん〉にしか使用することの出来ないSランク魔法。
熟練度によるが、極めたものなら、真竜人〈ドラゴン〉の変身体にさえ大ダメージを与えることが出来る。
「俺、これできんじゃね?最強らしいし、出来たらかっこいいよなぁ。」
俺は、独り言を呟くと、拳を目の前に作る。
その部分に体を流れる魔力を集める意識する。
すると、手の甲に小さな魔法陣がうかびあがる。
(何だ?力が湧いてくるな。すげぇ。)
ゆっくりと集中をやめると、体中をかなりのだるさが襲う。
(5秒くらいでやめたのに魔力の消費がやばいな)
その後も何回か繰り返し練習しているうちに今日の予定終了を告げる鐘が鳴り響いた。
二日目はもう1話だけ続けます〜。