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就職。

服飾系の大学を卒業して、アパレルメーカーに就職しました。

楽しくて、残業も苦にならなかったけれど

ある日、実家から電話。

『お父さんがガンだって』と。

妹は県外に嫁いでいるし、弟は独身。

母は身体が弱いし、車を運転出来ないので、悩んだ末、実家に帰ることにしました。


30歳の誕生日の事でした。


実家のある街は、小さな街。

職場は、スーパー、食品工場、縫製工場くらい。


とりあえず、今までの知識を生かして、縫製工場に就職しました。

街でも有名なブラックな縫製工場とも知らずに。

そうして、ブラックと知るのも、すぐでした。


ハローワークの紹介状を持って面接に行くと、会議室や、事務所は無く、工場の隅のテーブルに案内されました。

工場長という男性は、小柄で、神経質そうな感じ。

『ここは、お昼を食べるとこだけど』と、言って座りました。

私は、履歴書を差し出しながら座りました。

履歴書を見た工場長は

『えっ?大卒?有名メーカーにいたの?』

と言ったとたん

『仕事が出来るんだね~』と笑顔。

『でも、何故、バイト?』と工場長。

『父がガンで、介護しなければいけなくなるかもしれないからです。

母は、身体が弱いので、無理をさせられないので』

と言うと、さっきまでの笑顔が消えて

『困るんだよね。休みが多い人は』

『でも、求人票には、バイト、パートも可。と書かれていました』

そう言うと、ますますイライラした風になって

『それは本社じゃないの?』と、腕組みをしました。


『わかりました。では失礼します』

と、席を立ったとたん

『後で連絡するから』と、ぶっきらぼうな工場長。



3日後、本社に呼ばれました。

会議室に通され、そこにいたのは社長と名乗る、恵比寿さまのような男性。

『座って』

『はい』

『バイト希望なの?』

『はい。父がガンで、介護しなければいけなくなるかもしれないからです』

社長さんは、うーん。と考えて

『人手不足で、求人しても、なかなか来てくれないんだよね。

だから、うちとしては、働いてほしいんだ』

『ても、工場長さんが…』

と言うと、

『工場長には、僕から言っておくから』

と社長。


『ありがとうございました』

深々と頭を下げて、2日後から働く事になりました。


2日後、工場に行くと、工場長は、面接の時が嘘みたいに、ニコニコ。

『今日から働いてもらう南さんです』

『南です。よろしくお願いいたします』

私が挨拶をすると

『南さんは、大卒で、有名メーカーで働いていたんだ。

バイトだから』

と工場長。


この時、私は

『社長の力かぁ。上には弱いんだ(笑)』と思っていました。


初日は、裁断したものに印をつけました。

間違えたりもしましたが、怒られませんでした。



しはらくして、また面接の人が来ました。

今度は、20代前半の金髪の子。

可愛らしく、工場長は、ずっとニコニコしていて

『明日から来れる?』

と聞いていました。


セクハラもするんだ。


工場長の情報は、ネガティブなものが増えていきました。

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