【黎明の渦】
他サイトでも同じく上げているモノです。
歴史とかは適当に言葉遣い何かも現代風になっていきます。方言等も語尾に付けるくらいにします。
宜しくお願いします。
本能寺を包む炎が兵達の血と混ざりより一層妖艶さの増した中...返り血を浴びて純白さを失った鎧兜を纏い宿敵の待つ本殿へと歩みを進める兵が一人
その兵を泰然自若が如く能を舞う男が一人
本殿へと続く門を潜ると男は舞を止め面を外し...無造作に床に置かれた刀を手に取る
『.....光秀か? ふぅむ...遅かったのう。否、遅過ぎぞ? 蘭丸も偶には役に立つ様だのう』
「ハァ...ハァ...ハァ.....」
光秀と呼ばれた兵の身体から血が滲んでいる
返り血と共に内側からも純白の鎧兜を赤く染め上げていた
『蘭丸は逝ったか?』
「そんな事はどうでも良い.....その、【漆黒】の力諸共...今此処で葬り去ってくれる!!」
兵は刀を両手で握り直すと噴き出す血に構わず精神を統一する
『フッフッフ.....たかが【道士】の力で余に挑むか...片腹痛し』
男は刀を抜くと同時に鋒から闇を孕んだ波動を打ち出す
兵は交わす事が出来ず波動を受け流そうとするが敵わず後方へと吹き飛ばされる
「かはぁっ!?」
『.....光秀よ、余は飽いたぞ? この時代にも...』
すると男の背後に青白い巨大な渦の様な物が現れる
!?
『時代の方も余に呼応しておる様ぞ?』
「ま、待て!? まだ...まだだ。私の剣はまだ...」
ピシッ!!という音を立て兵の鎧兜にヒビが入り始め、そして...無残にも鎧兜は砕け散る
「そんな!? ...待ってくれ。まだ、私は...友との約束を、果たしてや...いないのに...」
兵の想いとは裏腹に鎧兜は灰と化し、力無く握る刀も限界を迎えた
『..........先に行くぞ?光秀.....まだ余を止めよう等という戯言を抜かす【力】が有るのならば、それを持って余を追い続けるが良い』
男は刀を腰に収めると渦の中へと消えていった
「....................彦太郎。貴方との約束はまだ果たせないままだ...」
「十兵衛殿〜!!」
「.....藤吉郎? 何故此処に?」
「忘れていた様でしたのでコレを持って参りました」
藤吉郎と呼ばれた男の手には一振りの刀
名を【倶利伽羅郷】
「(友の刀...いやしかし、この感じは道士ではなく...戦士の力).....かたじけない」
「上総介殿は?」
「もう此処には居らぬ」
「十兵衛殿はどうされるのですか?」
「上総介.....いや、信長を追う」
十兵衛ー光秀と呼ばれた兵は刀を抜き、その秘めたる力を解放する
【倶利伽羅郷 "白銀の聖戦士 トライゾン" 換装】
光秀の身体に白銀の鎧兜が現れる
と同時に戦で受けた刀傷や弓矢の傷が完治し、再び戦いに赴く男を後押しする
「この後を任せる」
「お任せあれ」
光秀は信長の跡を追い、本殿奥の渦へと消えた
「.....忠勝はいるか?」
「此処に」
藤吉郎の背後に2mを超える大男が現れる
「.....忠勝。山崎で光秀を討つのは止めにした。毛利軍は元康...いや、家康に任せた。忠勝は共に来い」
「御意」
「信長に光秀...駒はまだまだ揃わずだが、天下よりも面白き事があの先には存在する」
藤吉郎は腰に携えた刀を静かに抜刀する
【一期一振藤四郎 "黄金の猛戦士 ミゼリコルド" 換装】
藤吉郎の身体に黄金の鎧兜が換装
「待っておれ...この羽柴...いや、豊臣秀吉が未来を頂戴する!!」
秀吉と忠勝は共に2人を追いかけ渦へと消えていく
役目を終えたと言わんばかりに渦も消失した
数刻後.....本殿を眺める女が一人
女の手には一振りの刀
名は【鈴蘭景清】
女は涙を浮かべ階段を下っていく
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「………………………此処は?」
光秀は深い森の中に倒れていた
いつの間にか鎧兜は消え、刃は鞘へと収まっていた
「くっ...傷は癒えたが血が足りない。少々血を流し過ぎたか」
「もし? お侍さん?」
「何奴!?」
「ひゃっ...私はただの町娘に御座います。もしお疲れであれば私の小屋へおいで下さいまし」
「それは、とても...助....か、る」
光秀はその場で意識を失うのだった
次回【真紅の怒号】