旅人フーベルト

放浪人フーベルト

　「…冬がやってきた。」

とある男は焚き火を消しながらそう言った。

彼はその身長の3分の1はある大きな帽子を頭に被ると、馬に跨り、手元にあった安いタバコに火をつけた。

この国の冬は長く、200年以上続く東西の戦争の煙でとても暗い。

人々は飢えと疲弊からか50年前から互いを信用しなくなった。

金と名声だけが人々にとっては全てのこの世の中で、彼は一人、放浪を続けており、理由は定かではない。

民衆が名を問うと、彼は自らを「フーベルト」と名乗った。