表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハランバンジョー  作者: DAISAKU
4/20

3.新しい生活

3 新しい生活

さて、タケシはこの2週間、いろいろなことがあった。

まずは日本での明確なビジョンが生まれた。

なに不自由のない生活をしてきた自分。

そして、思いもしなっかった実業家としての成功、

そんな中で何か自分には足りないものがあるような気がしていた。

しかし、日本に来てからというもの、毎日が忙しく新鮮で、なにより、本当に自分が自分の力で生きている感じがたまらなくうれしかった。俊介にあってから、自分も同じような生活をしてみたいと強烈な思いが走った。

タケシは生まれつき、他の人とはかなり違う人間なのだ。例えば、普通の人が公園を歩いていたとする。道端に小さな花が咲いていて、まあ、普通の人は何も気にせず通りすぎるか、または、きれいな花だなと思いすぐに通りすぎるだろう。だが、タケシは違う、花を見つめてなぜこの花はきれいに見えるのか、細かい形やにおい、どのような場所にあると一番きれいに見えるのだろうと、すぐにいろいろなことを分析してしまうのだ。そして、自分が納得できるまで観察して記憶してしまう、このような本能的な能力があるから、人間関係や仕事でも、なんでも成功しているのだが、全く本人は気づいていないのだ。とにかく、この男は行動が早い、俊介の生活をいつも通り、徹底的に分析して、あっというまに似たようなアパート、同じアルバイト先、生活環境をすべて整えて生活していった。

ただ、大学生には、すぐになれないため、知り合いを通じて大学にもぐり込めるようにしてもらった。もちろん、大学にいれるだけで、本当の大学生になれたわけではないのだが、

「タケシ、何だかよくわからないが、よく大学に途中から入ってこれたな、それに、あっという間に友達を作ったり、学校になんじていて、まだ、大学に来て、1週間なのに、もう何年も前からいるようだな、というか、俺の知っている中では、一番溶けるこんでいるよな。本当に不思議なやつだ。」

俊介は今まで、このような男には巡り合ったことがないと感心していた。タケシはアメリカでも大学に通っていたが、日本人はとにかく、まじめに授業に出るし、芸術課題なども、夜遅くまで自分の納得できるまで、徹底的に頑張る人たちが多く、すごくいごごちが良いと感じていた。アメリカではここまで、真剣に大学生活を送っている学生はなかなかいなかった。

「タケシ、今日はバイトないんでしょ。ちょっと買い物に行きたいから、付き合ってくれない。」

声をかけてきたのは同じ大学デザイン科の玲子だった。この女性は俊介の幼馴染で有名デザイナーの娘、いわゆる、お嬢様という人だ。

数日前に俊介に友達と飲み会があるから誘われて、そこで知り合いになったのだが、妙に気に入られてことあるごとに連絡をしてくるようになった。

「別にかまわないけど、他に誘う人とかいるんじゃないの」

「だって、あなた、色々と洋服やブランド品に詳しいじゃない、今日は買い物のあとママのお店に行って、あなたの意見も聞きたいの、まあいいじゃない」

そんな話を横で聞いていた俊介は

「俺も今日はバイトないから、一緒に行ってあげようかな」

と言っていたが、玲子は聞き流していた。

「わかった、学校が終わったら行くよ、その代わり、ご飯でもごちそうしてくれよ」

「いいわよ」

タケシは買い物よりも玲子の母親がデザイナーとしてどのように成功したのか聞きたくて玲子について行くことにした。俊介は残念ながら一緒にはいけなかった。

青山という場所、そこは、おしゃれなお店が多く、東京ではとても有名だ、本当に日本は土地が狭い中で、ビルや建物が無駄なくひしめくように建っている。今日は天気も良くショッピングで街を歩いても、とても心地よい。

玲子はこの街にかなり慣れている、何軒か買い物に行ったが、今のトレンドを熟知して何を買うことがいいのか、しっかりと理解している、最初は買い物に付き合うのがいやだなあと思っていたが、一緒にいるうちに、このように買い物をしていくのかと、とても感心した。

「玲子、あそこの店はすごく混んでいるから、行ったほうがいいんじゃない。」

「タケシ、混んでいる店はね、売れ残りの商品を安くして、客引きをしているのよ。そんな商品管理もできない店はだめなのよ。私が行くのは、しっかりとした商品を扱っているお店、つまり、それは、目利きができる人の店に行くということなのよ。」

こんなことは考えもしなっかった。自分はいつも、人に任せていただけで何も考えていなかった。世の中、色々な世界があるのだと、思った。

もう外はだいぶ暗くなり、玲子の母のお店に向かうことにした。

玲子の母は洋服を扱うお店としてはトップクラスでTAKADAという商品は日本だけでなく世界にも名の知れたブランドで有名だ。1代で築いたこともすごいが、良い商品を出すことと、その商品を扱う人に一番力を入れている。それが反響を呼びこのような有名なブランドになったようだ。

「タケシ、ついたわよ。ここが本店、私のママのお店というか会社かな」

そこは地上20階ぐらいはあるビルで1階にお店があったので、この店かなと思ったらビル全部が

会社のようになっていた。

1階はとても広いスペースで商品が一望できる円形の商品展示、入った途端にすべてのトレンド商品が見れるスペース、奥にはゆったりとくつろげるスペースまるで、どこかの王宮を思わせるようだ。2階~5階は1階でお選びいただいた商品にあわせた物がそろえられている、とにかく、一度、足を入れたら、どこまでもお客様の要望にあわせた流れを完全に造っている。

こんな店、見たことがないとすごい刺激を受けた。

そして、お客様が声を出さない限り、店員は声もかけず、押し売りのようなことは一切しない販売 スタイルだった。

「タケシ、いつまで、店を見てるの、ママとの約束の時間に遅れるじゃない」

「ごめん、つい見とれてしまって」

最寄りのエレベーターで最上階まであがり、大きな扉を開け、そこにTKADA創業者こと高田 礼子が立っていた。

「玲子、遅いじゃない、その子があんたのお気に入りのタケシ?くんだっけ、あなたにしてはめずらしいじゃない、私に合わせる友達は文也くん以来ね」

「そうなの、前にも話したけど、タケシはとても面白い感性を持っているの、私の感だけど、タケシとは親しくしていると、幸福が訪れるような気がするの」

「あなた、文也くんとタケシくんはどっちが本命なの?」

「えー文也は彼氏でタケシは、う~ん、パートナーかな」

「まあ、うまく言うものね」

玲子の母はタケシがいるのを忘れてしまっていた。あまり、学生、特に自分の子供以外の子供には興味がないのだ。

「あら、ごめんなさい、挨拶もしなくて、私が玲子の母です。よろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。私は玲子さんのパートナーでなく、同じ大学に通う学生です。しかも、今日、会ったのも2回目です。お母さまが考えるような関係ではありません。」

タケシはお決まりのパターンだった。タケシは女性という存在、つまり異性に対して、全く興味がない男なのだ。容姿は良く、人からも好かれ、数えきれないほど、女性からのアプローチもあったが、全くそういうことに興味がないのだ。礼子もあまりはっきり言われたので、それ以上、二人の関係を口にしないようにした。

「それにしても、お母さま、すばらしいお店ですね。お店に入ってからのお客様が絶対に商品を買いたいと思わせる作りや店員への教育、特に私が一番関心したのが、お店の雰囲気です。お店の中は広く、すごい豪華に見えるのに、なぜか、商品やお店の雰囲気が安心できるのです。この店は絶対にお客様におかしな商品を売らない、気にいらなければ、無理に購入しなくていいですよ。といった感じがとてもすばらしいです。」

タケシはほんの少ししかお店を見ていないはずなのに、ベラベラといつもの分析力で話した。

「礼子は目を大きくして、あんた、うちのお店は来たことがあるの?」

「いえ、初めてですけど。ほんの数分見ただけですけど。」

「礼子はタケシの手を急に握って、あなた、面白いわね。もし、良かったら、これからも、遊びきなさいよ。」

玲子はびっくりして

「ママ、どうしたの、いつも挨拶が済んだらすぐに、仕事があるかとか言うくせに、また遊びにきなさいって、タケシは私のお気に入りなんだからね。変なことに巻き込まないでよ。」

「ねえ、タケシくんは、ご実家は何をしているの」

タケシはしばらく考えて

「サラリーマンです。」うそは言っていない。

「ふ~ん、大学卒業したら、何をするの、もし決まってないなら、うちに来なさいよ。どう?」

タケシは笑うように「お母様のところにいったとしても、僕なんかじゃ通用しませんよ。それより、文也さんでしったけ、玲子さんの彼氏のその方がいいんじゃないですか。」

礼子はため息をついて

「あの子はだめ、全く商売とか経営とか無縁の子だから」

玲子は「文也は芸術家志望だからなあ、でもすごい才能があるのよ。ママは全くその辺がわかってくれないんだから」

その後、タケシは時間の許す限り、TAKADAの会社のことを礼子に聞きまくった、時折、持ち前のジョークを交えて、玲子はタケシの考え方や話し方、人を魅了していくその能力に、ただならぬ物を感じていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ