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ハランバンジョー  作者: DAISAKU
17/20

16  違う生き方

東京の世田谷にある古い質屋に来た。

ここはまるで昭和の古い時代からある雰囲気で

客もほとんどいないところのようだ。

ユウキさんは1日に2回のジャッンプしかできないため

車で移動してここまで来た。

中に入ると大学生ぐらいの女の子が店番をしていた。

「マリさん、お久しぶりです」

「どう、最近は」

「いつも通り、平和です。準備できてますよ」

「ありがとう」

タケシはその女性の胸にMarinesの文字が入っているのを見て

そうか、この間、大学に来た人達も仲間だったのかと気が付いた。

「タケシさん、こちらへどうぞ」

店の奥にある扉を開いたところ、エレベーターの扉があった、

そこから乗った瞬間、

「ヒューーーー」

ものすごいスピードで地下に降りていった。

扉が開き、うす暗い廊下のようなところを抜けると

その先にまた扉、またその先に自動扉があり、3回目の扉を抜けた時に

とてつもない大きな空間に出た。

そこには、山のようにそびえるようにアルミ製のような箱が積み上げられていた。

「ここは、私たちの保管庫です。これと同じようなものが、

 福岡・広島・大阪・名古屋にもあります。でもここが一番大きいですね」

「マリちゃん、この箱の山は何?」

「さっき、タケシさんが聞かれたじゃないですか。私にそんなお金があるのかって」

「たしかに言ったけど、これは何が入っているの?」

「これはすべて金です。お金はすぐに価値が変動するので」

タケシは信じられないといった顔で、

「ちょっと、開けてもいいかな、本当か見てみたい」

「え~どうぞ」

そういってマリは一番手前にある箱をひとつ開けた

「カチッ」

そこには金の延べ棒が所せましと50本ぐらいだろうか入っていた。

「信じられない、これ全部金だとすると・・・」

タケシお得意の分析が始まった。この保管庫をウロウロし始めて

箱の数を算出、その後、その場で計算を開始

「1本が1kgぐらいだから1本は今600万円で50本で3億だから

ざっくり数えても500箱ちょっとあるから・・・」

タケシは自分の想像力が破壊され、棒立ち状態で独り言のようにつぶやいた。

「1兆5千億円以上・・・ある、あります。」

マリとユウキは笑いながら

「大丈夫ですか?タケシさん」

タケシはしばらくして、落ち着きを取り戻してから、

「ここは、ここも、この金もすべてマリちゃんが所有しているの?」

「そうですね。私がすべて稼いだわけではなくて、このほとんどが、私の祖母が

 私に残してくれた、遺産なんです。」

「遺産ってこんなすごい遺産なんてあるの?おばあさまは資産家だったんですか?」

タケシは急に敬語になった。

「いいえ」

「じゃあ、どこからか相続したんですか。」

「いいえ」

「じゃあ、どこからか、いただいてきたんですか」

「タケシさん、それは犯罪ですよ」

タケシは間違えたという顔で

「すみません。びっくりしたもので」

「祖母は前の大戦で人類を救い、まあ、寄付やお礼もありますけど、その救う過程で

 増えてしまったといった方が正解かもしれません」

また、タケシは考え込んで

「ちょっと待ってください。こんな大金をしかも、まだ会って間もない僕に

 なぜ、教えるんですか」

「だって、さっき私に聞きましたよね。お金があるのかって」

「聞きましたけど、普通教えませんよ。ここまで」

マリはすかさず

「さっきも言ったようにあなたには仲間になってほしいからですよ」

「僕のことをどうして、そこまで信用してくれんですか」

「若くして大会社の社長でありながら、貧乏生活をして、

 まして、その生活に喜びを感じてしまう。

 まあ、最初はちょっと変態っぽい感じはしましたけど、

 無欲であり、人には優しく、廻りの人を惹きつけてしまうカリスマ性、

 そして、飛びぬけた分析能力や頭の回転の良さ、こんな人が悪い人なわけ

 ないじゃないですか。」

 タケシは喜んでいいのか、どう思えばいいのかよくわからなくなっていた。

 「それに、ここは私かユウキがいないと絶対入れませんし、この箱も絶対に

  私達以外の人間では開かないようにできてますから」

 「それでは、タケシさん上でみんなが待っていますから、行きましょうか」

 タケシは、この場所から離れたくない気持ちでいっぱいだったが、マリ達と

 この保管庫を後にした。

 上階の古びた質屋にもどると、店番のほかに3人の自衛隊のような服を来た人達が

 立っていた。

「え~と、どうやって説明しようかな」

 また、マリは考えこんだ。

「マリさん、いいですよ。自己紹介ぐらい、自分でできますよ。」

「そう、じゃあ簡単にお願い」

「日本呈国 情報管理官 如月 太一です」

「同じく  外交管理官 松田 葉子です」

「同じく  教育管理官 佐島 耕三です」

「え~と、T,Sエンタープライズ代表 斉藤 タケシです。

よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「マリさん、この方たちはどのような方なのですか」

「今日、話した通り、これからの日本を変えていくための同志です。

これから、タケシさんが動いていくために必要な情報や世界情勢・教育などについての

アドバイスやリアルタイムでの情報を提供してくれます。彼らの下にも、まだたくさんの

部下がいますが、ここに関しては秘匿情報のため、すべては教えられません。」

タケシは少し考えて

「マリさん、今日は色々なことがあり、大変、驚きましたが、

一度アメリカの会社に戻り、

それから仲間になるか。返答させていただいてもよろしいですか。」

マリはニコっと笑って

「もちろん、ゆっくり考えてください。

でも、もう一度、これだけは言っておきます。

なにも、しなければ、この世界は消えてしまいます。

そのことは忘れないでください」

タケシはマリのことを好きだと言った気持ちはどこかに飛んでしまい、

なにか、重たい荷物を背負わされたような気がした。

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