プロローグ
西暦2073年 地球中央病院の特別病室で死を間近に過去を振り返る老人がいた。
外はきれいな空気と自然にあふれ、世界は信じられないほどの平和な世界が広がっていた。
そして、この世界を築くために長い年月を戦ってきた男が余命わずかのところ、
自分の人生を思い出していた。
『私も、もう80歳か、人生というのは、あっという間だったな、だが、悔いなどひつもない
あの女性と出会うことができたのだから、あの出会いから随分時間がたった・・・
あの時まで、運命など信じたことはなかったが、よくよく考えれば、自分の特異な能力は
きっと、あの出会いのためだったのだろう』
そんなことを思い出しながら、自分の人生を最初から振り返った。
私はアメリカで育ちで、小さいころから、何をやっても簡単に感じられ、どんなことでも器用にできてしまう男だった。
スポーツ・勉強にゲームや遊びに至るまで、しかし、自分が特別だとは思ってもいなかった。
ただ、毎日、楽しく生きていければ、それでいいと考えていた。
学校でも、たくさんの生徒がいる中でも、周りに気も使えるし、友達というか、楽しく話せる人たちはたくさんいた。だから、いじめられることもなく、毎日がそれとなく、楽しく過ぎていった。
しばらくして、先生の勧めもあり、学校の飛び級制度で、18歳で一流といわれる大学を卒業していた。
その後、なんでも簡単にできる能力のせいか、特にやりたいことはなかったので毎日、家でのんびりしていたら、親に、何でもいいから、何か仕事でもしなさいと言われたので、会社というものを立ち上げてみた、インターネットを使い、たくさんの会社のイメージアップや売り上げ向上するための、アイディアを出すことをやってみた。
そうしたら、すごくうまくいった。
業績も上がり、知らないうちにいろいろな人が会社に入ってきた。
また、その人達がいろいろな事業や売り上げアップのアイディアを出してくれて、気が付いたら、億万長者になっていた。
会社はいつのまにか、自分がいなくても、
自動的に回りだしており、自分の存在価値や、やりがいがまるで、なくなってしまった。
生まれてから、自分は他の人に比べると、たいした努力もしないのに、なんでもうまくいってしまい、本気で努力して、感動したりすることはなかった。
また、立場上、たくさんの著名人とも話しをしたが、心を揺さぶられるような、平たくいうと熱い気持ちになったことなど、一度もなかった。
そんな思いもあり、何か、自分が感じたことのない新しい刺激を得たいという気持ちもあり、私のもう一つの母国である、日本に行って一人旅をしてみようと思い、会社は部下に任せて日本に旅立った。
そして、運命の出会いがあった・・・・・