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僕は現状を知らされました

色々あって会社を辞めることになった稔は、薫姉さんに連れられ街に繰り出すことになりました。

 僕は着替えて、薫姉さんと街に繰り出す。ふぅ、僕、最近歩いてないから疲れちゃうな……


「さっさと歩けボケ! そして、歩き方がかっこ悪い! もっと胸を張れ!」


 薫姉さんはさっきから理不尽だよ。まさか、歩き方を指摘されるなんて……薫姉さんは言うだけ言って、どんどん進んで行くし……


「稔、着いたで! まずここや!」


 ん? 美容院? 髪を切るの? そういえば、女の人も失恋したら髪を切るって言うよね。


「おー。順子! これが電話で言ってた奴や。なんとかしてやってくれ!」


 呼ばれた順子さんは微笑みを浮かべてやってきた。


「私は島田順子。よろしくね。あらあら、貴方いままで髪型とか考えてなかったタイプね。この髪型、いままで自分で指定してたの? まあ、いいわ。はい、ここに座って」


 僕は言われるままに座ると、いきなり前髪をザックリ切られる! ああ……そんなことすると、広いオデコが目立つじゃん。酷いよ!



「はい。終わったわ。あなたの気にしていたオデコはそんなに目立つかしら?」


 鏡の前にいるのは、短髪になったポッチャリの僕。って、オデコ気にしてたのバレてたの? 順子さんってサイコメトラー?


「まー、まだ太っとるからこんなもんか? 順子助かったわ! 次は2ヶ月後にくるわ! ほら、稔。金払ったら行くで!」


 僕は順子さんにお礼を言い、急いで会計を済まして、先に出ていってしまった薫姉さんを追っかける。薫姉さん自由すぎる! 分けわからない。


「次はここや!」


 薫姉さんが連れてきてくれたのは本屋。なんか薫姉さんは女性誌やオシャレ雑誌や料理本なんかを次々にカゴに入れてくよ。雑誌そんなに読みたかったのかなぁ?


「よし、これを買え! 次行くで!」


 ちょっ……会計は僕? ああ……待って、薫姉さん行っちゃった。急がなきゃ! 普段こんなに歩かないから疲れたよ。なんかホームセンターに入っていくし……


「これがええかな? これは、明日までに家に送ってもらえ! ほな、帰るで」


 薫姉さんの指さしたものは、全身が映る鏡とネットにつながる体重計。とりあえず言われた通りに買うしかないよね。



「よし、帰ってきたわ。昼前に終わって良かったわ。次にするのは片付けや。いらんもんは全部捨てや! 自分は眠いから部屋帰って少し寝るわ。夕方に戻ってチェックするから終わらしとき!」


 薫姉さんって、本当に自由人だなぁ。片付けかぁ。確かに僕の部屋は汚いなぁ。あれ? 眠い? もしかして、薫姉さんは寝ないで僕を見ててくれたんじゃ……ん? 薫姉さんが右手を差し出してる。


「どうしました? 右手出して? 犬でもいるんですか?」


 痛! 叩かれた。いい音鳴らすなぁ……


「そんなもん決まっとるやろ! 面倒見たるって言ったんや、稔の部屋の鍵渡せ!」 


 面倒見るったって、お金はいままで全部僕が出してるしって……痛い、痛い、アイアンクローは駄目です。部屋の鍵渡しますから赦して……


「さっさと渡せばええんや。そや、生まれ変わりに、こんなもんは必要ないから持っていくで」


 僕の部屋の鍵を奪った薫姉さんは、ゲーム一式とDVD持っていっちゃた……ああ! 恥ずかしいDVDもあるのに!


 追いかけるために急いで表に出たけど薫姉さんはいないし……今、マンションの郵便受けみてるけど、薫姉さんの名字のまいた(舞田? )って漢字ないし……本当に同じマンションなの? まあ、とりあえず、掃除しようかな……



「掃除終わったか? ってなんや? これは掃除やない! あほか! 整えただけやん! 東京芸人か!」


 さっき、掃除終わったって思って休んでいたら、薫姉さんが部屋に飛び込んできたよ。そしてゴミ袋を広げるなり、棚のマンガやプラモなんかを放り込んでいく。僕は思わず声を上げる。


「何するんですか!」


「アホか! 一度死んだ人間が未練たらたら思い出に浸ってんな! 片付けの極意は片っ端から捨てることや! 自分の基準で考えんな!」


 う……それを言われると辛い……僕は確かに薫姉さんに助けられていなかったら死んでいたよ。薫姉さんは首を左右に振ると、ため息をつきながら僕に言ってきた。


「お前な、自己中で過ごしてきたやろ……だから、こんなくだらないもん捨てられて怒るんや。逆の立場で考えてみ? お前がエエと思った女は不潔で自己管理もできへん、だらしない奴か? そいつが更に2次元のイケメンしか興味なかったら、稔はどう感じるんや? それを考えてから今の自分の姿をまず見いや!」


 今の僕は不摂生極まりない。こんな状態でいきなり好きだと言われたら、確かに困るよ。そうだ、自分の都合のいい判断で告白して、振られたんだ……


「自分中心で人に物事を求める前に、自身を磨けって自分は言っとんねん。なんか間違ってること言ってるか?」


 あまりにも正しすぎる薫姉さんの言い分に僕は愕然となった。


 薫姉さんの言っていることは、よくよく考えると色々とつながっておりません。でも、勢いで押されて何となく納得してしまうって事ありますよね。稔はそんなタイプの人です。

 あと、2次元を否定してる訳ではありません。お話の流れだと思ってください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポの良い言葉の速さに吃驚しました。 [一言] 何かを予感させる書き方は真似させていただきます。ありがとうございました。
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