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僕は修羅場に立ち会わなくて済んだようです

とうとう、4人が集合する事になりました。稔は戦々恐々としております。

 とうとう週末が来てしまったよ。修羅場になるのかなぁ……薫姉さんが何とかしてくれるのかな……でも、自分の問題だから薫姉さんに迷惑を掛けるわけにもいかないし……


 僕は予めメッセージで待ち合わせをしていた静江さんを駅まで迎えに行く。まだ静江さんは僕に家に1回しか来たことがないし、迷ったら大変だからね。黒崎さんと由美ちゃんは、吉田君と凛子さんが合流して連れてくると言ってた。二人は一回ホームパーティに来たことがあるし、凛子さん社長の家を知っているから迷うことはない。凛子さんは何で吉田君が一緒にって顔をしてたけど……僕一人じゃ辛いもん。本当に吉田君には感謝だよ!


 既に待ち合わせ場所に静江さんがいたよ。トップスにマキシスカートのコーディネートだ。凄く可愛いよ。でも、相変わらず僕を気付いていても眺めるようにしているのは変わらないや。


「静江さん、お待たせしましたか?」


「いえ、私も今着いた所です。稔さんの家にお呼ばれされたのでドキドキしています」


 うん。僕も違う意味でドキドキしてるよ。これから、どうなるんだろう……


「薫姉さんが言っていたとおり、今日は会社の人も来ますので、なにか食べれるものを準備しようと思っています」


「はい。そうだと思いまして、一緒にお料理をお手伝いできたらと考えていました」


 やっぱり、静江さんとは息がピッタリだ。考えてくれてることが同じだよ。なんか嬉しいなぁ。


「本当ですか? もし、よかったら料理を手伝って貰いたいと思っていたので、本当に嬉しいです。先にスーパーマーケットに行きますね。こっちになります」


 僕が歩き出そうとしたら、静江さんが僕の袖の辺りをちょこんと引っ張ってきた。それに気付いた僕は静江さんの手をとって歩き出す。静江さんは嬉しそうな顔をして俯いたよ。うん、可愛い……



 あれからスーパーマーケットに行って材料を買って家に戻った。二人でサーモンカナッペやパエリア、サラダなどを作ったよ。静江さんはとても気が利くから料理を作るのが捗ったよ。僕と静江さんは料理をテーブルにおいて、お互いに微笑んだ。ああ……幸せだよ……


『ピンポン』


 チャイム音で僕の甘い時間は全て現実に引き戻されました……これから恐怖が始まる……


「稔、来たで! って、気合入った料理やな……めちゃ、美味そうや!」


「星田さん! 凄いっすね! 俺、酒いっぱい買ってきたっす!」


 よかったー。吉田君逃げないで来てくれた! 本当に助かるよ。続いて、凛子さんと黒崎さんと由美ちゃんが入ってくる。みんな料理に目は……いってないね……怖いよ……


「彼女が噂の人っすか? 超美人じゃないっすか! 紹介してくださいよ!」


 あ! 3人に気を取られて、紹介するの忘れてたよ。吉田君ナイスだよ! 話すキッカケができた。


「こちらは藤堂静江さんです。で、薫姉さんは知ってますよね。この男性が吉田さん」


「吉田っす! よろしくっす!」


 次に紹介しようとしたら、由美ちゃんが静江さんの前に出てきて頭を下げたよ?


「静江さん、前はごめんなさい」


「あ……あの時の妹さん? 謝られるような事をされたわけでもないので、頭を上げてください」


「ありがとうございます。高品由美といいます」


 由美ちゃんは前の時の事を気にしてたんだね。って、凛子さんが出てきた。


「林凛子です。今日はよろしくお願い致します」


 凛子さんも普通に対応してくれてる。あとは黒崎さんだ。


「黒崎美玲よ。美玲と呼んで。貴女のことは静江さんと呼んでもいい?」


「よろしくお願い致します。美玲さん」


 黒崎さんと静江さんは笑顔で見合ったままだ。無言が怖い……


「何やってんっすか! みんなで乾杯っすよ! ウェルカムドリンク準備しときましたよ」


 すごいタイミングだよ。吉田君! グラスを皆に配っていくよ。


「星田さんはこれっすね。じゃあ、社長お願いします!」


「そ……そやな……じゃあ、出会いに乾杯や!」


 皆で乾杯と思ったら薫姉さんを除く4人が飲んでる途中でグラスを見だしたよ?


「甘くて美味しい……」


 え? 甘い? 普通のビールだけど、何が起きてるの?


「吉田? どういうこっちゃ?」


「俺、大学生の頃にバーテンのバイトやってたんっすよ。食事が洋風だったんで、ウェルカムドリンクをビールに見せかけたカクテルにしてみたっす! 女性もそっちのほうが良いかなって思ったっす」


「自分は何も感じへんかったで?」


「社長は飲み会の時に日本酒をよく飲んでたから、普通のビールの方が良いって思ったっすよ! 由美ちゃんはお酒の飲み始めだから苦いのが駄目かなって感じだったし、黒崎さんは前にサワーをよく飲んでたっすね。藤堂さんは次にロゼワインの準備をしてたっす。凛子は両方ともいける感じだったから、4人はビールカクテルにしたっすよ」


 凄い! 吉田君!……って、今、凛子さんを名前呼びしたよ! 逃げて!


「吉田ぁ! う……むぐ……」


 え?! 吉田君が凛子さんの拳を流れるような動きで紙一重でかわした! そして、凛子さんの「だ」の発音の口にカナッペを入れたよ!


「カナッペもあるんで、次はこのグラスのビールを飲んでみるっす! 一緒に食べると美味いっすよ! はい、凛子もドリンクどうぞ」


 吉田君が凛子さんにビールカクテルを手渡したよ。凛子さんは、一口含むとそのまま飲み始めちゃった……


「じゃあ、パーティの始まりっすね! リクエストがあればドリンク何でも作るっすよ! 星田さんには料理をお願いするっす!」

修羅場を期待していた方には申し訳ありません。出来る男になってしまった吉田君が悪いんです。私は悪くないと思います。

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