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僕はメンターに指定されました

 前回の稔の看病で、美玲は風邪が治ったようです

 あれから黒崎さんは熱も下がって無事に出社している。朝に見た時は元気そうだったし本当に良かったよ。たしか、薫姉さんに今日からインターンシップの学生さんが来るって言われてたなぁ。


「ちょっと、稔! どういう事?」


 え? 黒崎さんなんか怒って話しかけてきた。なんで怒られてるのかわからないよ? 何か僕はしてしまったのかな?


「美玲? どうしたの?」


 その時、社長室から薫姉さんが出てきたよ。いつもの猫かぶりモードだって、ええ?! 後ろから出てきたインターンシップの学生……


「皆さん、聞いてください。今日から2週間、我社プログラムスタイルではインターンシップで学生さんを受け入れることとなりました。自己紹介をどうぞ」


「高品由美です。上地理数科大学から来ました。よろしくお願い致します!」


 ええ?! 由美ちゃん理系だったの? 前の会社で近くに女子大がなかったはずだから変だなとは思っていたけど、たしかに前の会社の側に上地理数科大学があったね……


「ねぇ、稔? なんで由美ちゃんが来てるのかなぁ?」


「さあ? なんでだろうね……」


 黒崎さんの目が怖いよ?! 僕はインターンシップの学生さんが来ることは聞いていたけど、それが由美ちゃんって事は知らなかったよ?


「由美ちゃんにはメンターとして星田さんについてもらいます。星田さん、あとはよろしくお願いします。皆さん、解散!」


 あ……なんかマズイ気がする……黒崎さんが頬を膨らませてる。ちょっと可愛いけど……凛子さんが由美ちゃんを連れてきた。


「稔さん、メンターとしての指導をおねがいします。こちらが紹介のあった高品由美さんです」


「稔お兄ちゃん、よろしくお願いします!」


 あ……凛子さんが固まった……そうだよね、そうなるよね。僕もさっき固まっちゃったもん。さて、何から説明をすれば良いんだろう……


「お二方はお知り合いなのですか?」


「リンリン……この子が前に話した稔の幼馴染の子よ……」


 黒崎さんは、こめかみに手を当てて困った顔をして説明してくれた。黒崎さんから由美ちゃんの事は凛子さんに伝わっていたんだ……


「え? 美玲さんじゃないですか! 稔お兄ちゃんの前の会社で一緒だったって……」


「私は転職して、今はプログラムスタイルの経理をしてるのよ……」


 そうだった……黒崎さんと由美ちゃんは淑女同盟とやらを結んでいたんだ。黒崎さんと由美ちゃんは知り合いで、黒崎さんから凛子さんの事は伝わっていると……だんだん、ややこしくなってきたよ……


「ず、ズルいです! いつも稔お兄ちゃんと一緒じゃないですか!」


「お給与の条件も含めて転職しているの。貴女の不純な動機とは違うわよ?」


「こんな可愛い子もライバル……胸も大きい……」


 凛子さんが変な発言をしたよ?! 由美ちゃんがこっちを見てきた! すごい冷たい目をしているよ……黒崎さんの目も怖い……


「星田さん! メンターって、すごいっすね!」


 吉田君、いいタイミングだよ! そして、この雰囲気に普通に入ってこれるメンタルに尊敬だよ。本当にありがとう!


「吉田さん、上地理数科大学の高品由美さんです。社長も言っていましたし、由美ちゃんと僕らも呼びましょう」


「俺は吉田っす。由美ちゃん、よろしく!」


「よろしくお願い致します! 吉田さん」


「ところで、2人は知り合いっすか? なんか親しげに話してたみたいっすけど?」


 ここで、吉田君も爆弾を落としてきた?!


「はい。地元が同じで、昔に勉強を教えてもらったりしてました。稔お兄ちゃんって呼んでます!」


「へー。たしかに、知り合いがいれば会社の雰囲気もわかりやすいっすね。由美ちゃん頭いいっすね!」


 吉田君……すごいよ……どこまでポジティブなんだよ……普通お兄ちゃん呼びとかビックリするよね?


「上地って女の子が多い大学っすよね。うーん、星田さんの妹分だから難しいっすね……あ、そうっす! 友達多い方っすか? こんど友達を紹介して……へぶぁ!」


 あ……凛子さんの右ストレート入ったよ……


「吉田! 仕事しろ! コホン……それでは後はよろしくお願いします」


「あ……私も仕事に戻るわね。由美ちゃん、2週間よろしくね」


 凛子さんと黒崎さんは戻っちゃったよ。ここに残るは僕と由美ちゃんと屍になった吉田君……これはどうすれば良いんだろう……


「トコロデお兄ちゃん? 先程の美人秘書さんのライバル発言はドウイウ事デショウカ?」


 うん……前と同じようなパターンだよね……



 意外と言ったら駄目なのかもしれないけど、由美ちゃんは真面目にインターンシップをしています。大学では個人プロジェクトをすすめる事が多いから、アーキテクチャを考えながら分担作業でソフトウェアを構築していくのが面白いみたいだ。


「星田さん、ちょっと社長室に来てください」


 薫姉さんが直接社長室から顔だして僕を呼んだよ? めずらしいね?


「由美ちゃん、ちょっと席を外すね。今見てる機能ブロックを、どのようなクラス構造にすればいいかを考えておいてね」


「了解。お兄ちゃん!」


 はて? なんの呼び出しだろう……社長室に入ると、黒崎さんもいるよ?


「由美ちゃんは真面目にインターンシップやっとるんかいな?」


「はい。真面目な学生ですね。会社と大学の違いを理解しながら頑張っていますよ」


 なんだ。由美ちゃんの様子が気になっただけか……そうしたら何で黒崎さんがいるんだろう?


「そうらしいぞ、凛子! ところで稔? 由美ちゃんと知り合いなんやて?」


「あの……前に話した地元の子です……」


「ああ! あの光源氏計画の幼馴染か!」


 薫姉さん……それは前に否定したじゃないですか……


「すみません、何かインターシップの受け入れがこんな感じになってしまって……でも、本人は真面目にやっていますし、このままインターンシップを続けさせて上げたいのですが……」


「別に構わへん」


 え? 大丈夫なの?


「大学と話をした時、希望は10人ぐらいおったそうや。5名ぐらい受け入れて欲しいと言われたんやけど、こっちも初めてのことやから1名でお願いしたんや。つまり、実力で勝ち抜いてきたって事やろ? こっちは会社の宣伝してもらって、優秀な人材が入るようになったらええねん」


 なんか、薫姉さん凄いな……色眼鏡でみないで、しっかりと先をみてるんだ……


「と、いうわけや。二人共なんか言うことあるか?」


 黒崎さんが呼ばれた理由も二人が由美ちゃんに対して偏見を持たないように薫姉さんが配慮したんだ。薫姉さんには頭上がらないよ……


「なんや凛子、まだアカンのか? あ……わかった! もう一人おったな?」


 ん? なんのこと? 由美ちゃんが偏見持たれないようにする話じゃないの?


「稔! 静江をどこかの週末に家に呼べ! 全員集まったほうが手っ取り早いわ!」

 

 黒崎さんも凛子さんも驚いた顔をしてる……そうだよね……僕も驚いてるもん……でも、どうやって誘えばいいんだろう?

 仕事とプライベートの割り切りができるタイプの美玲と引きずってしまうタイプの凛子。由美は割り切りが出来るタイプのようです。この違いはどこから発生するのでしょうか……

 ところで、4人をやっと合流させることができます。薫姉さんのおかげですね。

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