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僕はお見舞いにいきました

 稔は遊園地に行って、凛子さんとキスをして帰ってきました。今回は美玲の回になります。

 遊園地のイベントは無事に終わったよ? 吉田君は無事だったのかな? まあ、色々あったけど、皆も楽しそうだったし、凛子さんはストレスの解消になったみたいだから良かったんじゃないかな? あ……黒崎さんから電話が掛かってきた。どうしたんだろう?


「もしもし、美怜どうしたの? 風邪は大丈夫?」


『稔は今日の遊園地は楽しめた?』


「代わりに凛子さんを誘ったんだね。凛子さん喜んでたよ」


『そう、それは良かった。コホッ。それでね、稔にお願いがあるの』


 黒崎さん……まだ咳をしてるな。心配だなぁ。何だろうお願いって?


「ん? どうしたの?」


『実は常備薬が切れちゃって困っているの。今夜の分まではあるんだけど、明日の分を買いに行けるか分からなくて……コホッ……お見舞いにきて欲しいな……』


 あ……そうか、風邪を引いてるから外にも買いにいけないし、それは大変だよね。


「もちろんだよ。薬を持っていくよ。決まった薬とかあるのかな?」


『ありがとう。稔は優しいね。咳と熱が酷いから、効きそうな薬を買ってきて欲しい。あとでメッセージで地図を送るね』


「うん、わかった。今日はしっかり寝て、少しでも風邪を治しなよ。明日は僕も行くから」



 よくよく考えたら、女性の家に行くなんて駄目な気がするよ……でも、黒崎さんは風邪で苦しんでるし、行かないといけないとは思う。でも、女性の家に行くんだよ? 不謹慎だけどワクワクしちゃうのは仕方ないようね。でも、お見舞いに行くだけなんだからね。


 あ……そんな邪な考えをしていたら、黒崎さんの住んでいるマンションに着いたよ。ちょっとドキドキしながらロビーのインターホンを押す。かぜ薬も途中の薬局で買ってきたし大丈夫だ。


『はい…』


「星田です。黒崎さんのご自宅で合っていますでしょうか?」


『稔、ありがとう。エレベーター上がって出たすぐのところだから』


 オートロックが開いたので、僕はエレベーターに乗る。あー……やっぱり、ドキドキする。エレベーターから降りて玄関のチャイムを押す。ドアが開いた。


「ごめんね。ちょっと散らかってるけど、入って」


「美玲、大丈夫?」


 冷静に言いましたけど、黒崎さんはパジャマ姿だ! かわいい! でも、ちょっと顔色が悪いな。フラフラしてるし……あ! 僕は急いで倒れかけた黒崎さんを支えたよ。


「あ……汗臭いのに……ごめん……」


 うひゃー。いい匂いがする! 女の子ってなんで、こんなに良い匂いがするんだろう……って変な考えを起こしたら駄目だ。僕は紳士にならないと、えい!


「え?」


 僕は黒崎さんをお姫様抱っこしたよ。立ってるのも大変そうだし、これぐらいはいいよね。


「わ……私、重いでしょう……」


「鍛えてるから大丈夫だよ。運んであげるよ」


 しまった! 抱っこをしたのはいいけど、柔らかいよ! 僕は紳士だ! 邪な考えを起こしたらいけない。僕は急いで黒崎さんをベッドまで運ぶ。


「ちょっと待っててね」


 リュックからタオルを取り出して、キッチンでお湯を出して濡らして持っていった。


「美玲が気にしてるみたいだったから、濡れたタオルもってきたよ。いまから簡単に食べれそうなものを作るよ。キッチン借りるね。薬も空腹で飲むとキツイからね」


「うん……」


 黒崎さんの家は1DKなので、扉が閉めれてよかった。僕は水に浸して持ってきたお米をリュックから取り出してお粥をつくる。改めて見ると綺麗な部屋だなぁ。女の子の部屋って感じがするよ。


 お粥をつくるのに30分ぐらいは煮込む必要があったから、体を拭く時間もできて一石二鳥だね。おっと、できたかな? 塩で味を整えて……薄味のほうがいいよね?


「美玲、入っても大丈夫?」


「コホッ、大丈夫……」


 扉を開けて中に入ると、黒崎さんはベッドに座っている。タオルで体を拭けたのが良かったのか、少し嬉しそうだよ。


「お粥できたよ。食べれそう?」


「うん」


 僕はお粥が入った器を乗せたトレイを黒崎さんに渡す。あれ? 黒崎さん食べない……やっぱり、食欲がないのかな?


「あーん」


「え?」


 黒崎さんが、小さく口を開けて待ってる。これは、食べさせてってこと? こういう事したことがないんだけど、食べさせて良いってことだよね。


「わかった。熱かったら言ってね」


 僕はお粥を掬って、息で冷まして黒崎さんに食べさせる。黒崎さんはモキュモキュ食べてる。また、口を開けて待つ。駄目だ……すごく可愛い……


「稔、ありがとう。美味しかった」


「お粗末さまでした。食器を洗ってくるよ。薬と水も持ってきたから飲んでおいて」


 僕は食器を洗って、黒崎さんが寝ているベッドに戻る。しっかり三食食べないといけないし、今日は看病をしてあげないと……


「少し寝なよ。僕はタブレットを持ってきてるから気にすることはないよ。じゃあリビングにいるから何かあったら呼んでね」


「寝るまで、ここに居てくれないかな……」


 僕が子供の頃に風邪で寝込んだ時に、そういえば寂しかった事を思い出しちゃった。そうだよね。体調が悪いんだから不安だよね……


「うん分かった」


 黒崎さんは僕の手を握ってきたよ。やっぱり寂しかったんだね。目を瞑ってるから、薬が効いてきたのかな?


「稔……」


 ん? 寝言かな?


「稔は酷いよ……一番かっこ悪い時に……告白してくるんだもん……」


 え? そうだね……


「それで再会したら……カッコよくなってて……」


 それは、僕が自分の悪いところに気付いたから……


「本当に優しいから、いっぱい女の子に好かれてて……」


 う……それは言わないで……


「今なら絶対にOKなのに、他の女の子に負けたくないから、対等の勝負とか思って意地を張っちゃって……」


 黒崎さんが僕にアドバイスをくれたのは、そんな事を思って他の女の子が僕のことを嫌いにならないようにしてたんだ……


「こんな面倒な女で、ごめんね……」


 あ……寝ちゃった。たぶん起きたら、言ったことも覚えてないんだろうな……

 今回は甘さを出してみましたが、如何でしたでしょうか。ラブコメディなのですがコメディ要素が多かったので、なんとか甘い成分を引き出したいと思って書いてみました。

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― 新着の感想 ―
[一言] マイナススタートだった黒崎さんがここまで持ち直すとは、このリハクの目をもってしても見抜けなかった…。
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