僕は遊園地にいくことになりそうです
女の子全員と仲直りしましたので、久しぶりの会社の回です。吉田君が意外な鋭さを発揮します。
「稔、土曜日の夜はお楽しみやったか?」
出勤前、薫姉さんは通常運転で僕の家で朝ごはんを食べてる。なんだかなぁ。もう慣れちゃったから良いけどね。昔みたいに今日はゆで卵食べたいとか言わないし……
「薫姉さん、朝からそういう下品なことをいうのは止めてください」
「普通なら気にならへんか? ほら、お姉さんに教えてんか?」
完全にワイドショーのネタに飢えた奥様みたいになってるよ? まあ姉さんとしては気になるだろうし、きちんと報告しておいたほうがいいよね。
「薫姉さんが帰った後に、静江さんはすぐ帰りましたよ」
「はぁ? 何もせえへんかったんか?」
やっぱり、そうなるよね。
「いえ、キスをして……それからお付き合いしようと言おうとしたのですが、お試しデートの関係を続けようと言われました。その時はどうしていいのか分からなかったのですが、黒崎さんのおかげで関係が継続できるようになったので大丈夫です」
「なんで、黒崎っちが登場するんや? 意味判らへんで?」
「お試しデートの関係がいいと言って出ていかれて呆然としちゃったんですよ……どうして良いか分からなかったんで黒崎さんに相談したらアドバイスを貰えたんですよ」
あ……薫姉さん、お箸で掴んでた目玉焼き落としたよ。半熟にしてるからお皿が大変なことになってるけど、いいのかな?
「稔の事を好きだという黒崎っちに相談したんか? けったいなことしよんな……」
「はい。呆れられました。貸しを返せと言われてキスされました……」
う……薫姉さんの目が冷ややかだ。そうだよね。よく考えれば2日連続で別の人とキスをしてるんだし……皆に言われたけどギルティだよね……
「いつか稔が刺されそうな気がするから、これからは自分に相談したらええ。刺されるより茶化される方がマシやろ」
「はい、そうします……って茶化すのがデフォルトですか!」
やっぱり茶化すんじゃん! だから相談がしにくいのに……でも、これからは薫姉さんに相談したほうがよさそうだね……刺されたくないし。
「ところで話変わるんやが、来週から会社の新しい試みでインターン生を受け入れようと思っとるんや」
「へー。色々考えているんですね」
「そこで、申し訳ないんやが、メンターを稔にお願いしようと思っとる。今週中に重たい仕事終わらせておいてな」
「僕がですか? まあ、いいですけど」
「すまんな、頼むで」
◇
「おはようございます、星田さん!」
「吉田さん、あれから大丈夫でしたか?」
吉田君、生きてたんだ。
「金曜日の記憶があまりないっす。土曜日に起きたら目が痛いですし……星田さん何か覚えてるっすか?」
「いえ……皆さんお酒たくさん飲まれていましたからね……」
覚えてるも何も凛子さんの惨殺劇は、なかなか怖かったよ。吉田君よく平気だよね? 君のタフさには逆に驚きだよ。
「ところで、星田さん! 今週末空いてますか?」
「はい。予定は空いていますがどうしました?」
「会社の皆で集まってレク費を使って遊園地でも行こうかって話になったんっすよ。予定がないなら是非来てください! 黒崎さんも誘ってるっすよ!」
吉田君、元気だな。まあ、予定も特に入れていないし、レクリエーション費を使うってことはお付き合いも大事ってことだよね。
「わかりました。予定を空けておきますよ」
あれ? 凛子さんがこっち見てる? 吉田君も気付いたようだよ。
「は……林もどう?」
「私に気を使わなくても良いです。週末は皆さんで楽しんできてください」
なんか、凛子さん寂しそうだったな? 本当はいきたいのかな? あ……黒崎さんが入れ替わりでやってきたよ。
「コホッ、稔は週末の吉田さんのイベント行くの?」
「うん、美玲も誘われたんだって? そころで咳をしてるけど大丈夫?」
「お風呂上がり上りにぼーっとしたのが悪かったのかな? 湯冷めした感じ……」
あ……昨日のお礼を改めて言っておいたほうがいいよね。ギルティとは言われちゃったけど、黒崎さんのアドバイスがなかったら、静江さんとの気まずさは解消ができなかったんだし。
「改めて昨日はありがとう。助かったよ……」
「湯上がりにぼーっとしたのは誰のせいだと思ってるの?」
え? もしかして、僕のことを考えてくれてたから? 自意識過剰? でも黒崎さんは僕のせいだっていっているし……
「稔が気に病むことはないわよ。これは自己管理が出来ていない私の問題。稔は稔でシャンとしてね!」
改めて見ると、やっぱり黒崎さん可愛いよね……
「やっぱり、星田さんは黒崎さんみたいな感じがタイプっすか? なんか親密そうに内緒話してたっすね!」
うわぁ、吉田君に見られてた! 会話の内容は聞かれてないよね?
「ほら、黒崎さんはファッションセンスもいいし、とても可愛いからね。吉田さんもそう思うでしょう?」
「そうなんっすか? 僕には2人がなんか甘い雰囲気で話をしていたんで、星田さんが黒崎さんを狙ってるんかと思ったんすよ? もしかして、もう付き合っちゃたりしてます?」
「そんなことあるわけないじゃないですか。ははは」
微妙に違うけど、吉田君鋭いね……
付き合ってからの女性の相談を男性は良くしますよね。付き合う前は誰が良いとか、そんな感じの話ばかりです。




