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僕はお付き合いを断られてしまいました

 由美ちゃんは稔限定のストーカーでした。それは置いておいて、試しデートは続きます。

 僕は静江さんと一緒にスーパーで買い物中だ。一緒に買物をするのって楽しいね。


「静江さん、パスタはお好きですか? チーズが苦手でなければ、ベーコンとモッツァレラのパスタとかどうかなと思ったのですが?」


「はい。チーズは苦手ではないので大丈夫です。稔さんと一緒に御飯作れるのがとても嬉しいです」


 なんか二人で食材の買い物って新婚さんになった気分だ……っていけない。また妄想に走ってしまってるよ。こういう思い込みが激しい男は女性誌で酷評されてたよ。


「それは良かったです。僕が作っているところをみて、味が濃いとかがあれば遠慮なしに言ってくださいね。女性は薄味が好きという話もきいたことがあるので大丈夫なのかと心配しています」


「お気遣いありがとうございます。私自身はそれほど薄味にこだわっているわけでもありませんから大丈夫です。それよりも、買った食材の量が多いので食べきれないのではないかと心配です」


 あ……いつもの癖で多めに買っちゃったけど、パスタソースを多く作っておいても冷凍しておけば、いつでも食べれるから大丈夫だし、食べにくる人もいるからね……


「大丈夫ですよ。余れば朝に食べますし、僕は鍛えていますから沢山食べれるんですよ」


 僕が力こぶをつくる真似をすると、静江さんは笑ってくれた。ああ……かわいいなぁ……



「稔さんって凄い手際が良いんですね!」


 塩で下茹でしたパスタを準備しつつ、ベーコンとほうれん草を炒めてると静江さんが褒めてくれる。僕は静江さんのエプロン姿に夢中なのは内緒だよ。白ワインで味を整えながらモッツァレラチーズを加えて、最後にパスタを絡める。よし、完成だ!


「はい、稔さん。お皿です」


 欲しいと思ったタイミングで静江さんはお皿を渡してくれる。調理していたときもそうだけど、次に準備しておこうと思ったことを準備してくれる。僕達って相性がいいと思う。


「できました。食卓に持っていきましょう」


 大皿を食卓に置く。既にワインもおいてあるし、準備も万端だ。ふと、静江さんと目が合う。なんか彼女の目が潤んでいる気がする。唇もぷくっとして美味しそうだ。なんか惹かれ合う気がする。僕と静江さんの顔はお互いに近づいて……


「稔、おじゃまするで! うまそうな匂いやな!」


 うひゃ! 薫姉さん?! 僕達は慌てて距離をとった。静江さんもビックリだよね。


「ありゃ? お楽しみ中やったか? すまんなぁ」


 すまんなぁじゃないですよ! あと少しだったのに……


「薫姉さん! 今日はデートって言ってたじゃないですか!」


「デートは一緒に映画を見に行って、ご飯を作るって話やったやろ? だから、作った後のご飯をご賞味に与ろうって思ってな。あ……ワイン買ってきたで?」


 薫姉さん……絶対に茶化すために来たよね?


「あの……稔さん? この方は?」


 そうだよね。普通はそうなるよ! 説明しなきゃ。


「自己紹介しとらんかったな。ワイは『まいたかおる(米田薫)』や。稔の会社の社長やっとる。よろしくな!」


「まいたかおる……フレグランス?」


 ちょっ! それ僕も同じような事したけど……静江さんもボケるの? あ、薫姉さん……肩を震わせてる。怒っちゃったのかな?


「面白いやん! お前ら似たもん夫婦みたいやな! ボケかたも同じか! ワイのことは薫姉さんと呼んだらええ。稔もそう呼んどる。その代わり静江って呼ばせてもらうで」


 薫姉さん、怒ってなくてよかった……って痛いよ! めっちゃ僕の背中をバシバシ叩いてるんですけど……


「静江さん、すみません。今の会社のお世話になっている社長で、こんな感じの人なんです」


「いえ、大丈夫です。それよりも薫お姉さんに、ふ……夫婦って言われたので……」


 夫婦?! 静江さんも顔が赤いけど、僕も顔が赤くなっている気がする……


「なんや二人して茹でダコみたいになりよって? それより、飯食おうや! 作っとったんはパスタか? どうせ余分に作っとんやろ?」



 今、僕は洗い物をしてる。薫姉さんは静江さんを捕まえて何か話をしてるみたいだけど、良く聞こえない。あまり変なことは言わないで欲しいんだけど……


「ほな、帰るわ。稔と静江の共同作業の料理はなかなか旨かったで」


 薫姉さん……絶対に僕達をいじってるよね? 静江さんも俯いちゃったよ……って、薫姉さんが近づいてきたよ?


「静江はええ子やな。でも、きちんと避妊するんやで。できちゃった結婚は困るやろ?」


「何言ってるんですか!」


 ニマニマしている薫姉さんを、とにかく肩を押して玄関まで送り出したよ。


「ふう、薫姉さんは……全く……」


 振り返って静江さんを見ると、静江さんは顔を赤くして下を向いたままだ……


「わ、私もそろそろ帰りますね」


 僕は思わず静江さんの腕を掴んでしまった。静江さんは顔を上げて僕をみてきた。僕達は惹かれ合うように見つめ合って僕達の唇が重なる……時間を忘れるぐらい僕は静江さんと唇を重ね合ったよ。唇を離して静江さんをみると、静江さんの目も潤んでる。


 もう、今しかないよ。黒崎さんや凛子さんには申し訳ないけど、やっぱり静江さんが僕には必要だと思う。お試しじゃなくて、しっかりと言わないと……


「もし……よかったら……僕と……」


「ごめんなさい。もう少しこの関係を続けられないでしょうか?」


 え? 今なんて?


「この関係というと、お試しデートの関係でしょうか?」


「はい。稔さんが悪いんじゃないんです。私の問題で、わがままだって分かっています。でも、もう少しだけこの関係を続けさせてください」

 今回でのハッピーエンドのルートは、まだ敷かれておりません。お砂糖成分が静江さんの回しかない気もしていて焦り気味なのですが、恋愛コメディとしては流石に終われませんのでご理解の程、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] え~~っ!? 静江さん、なんで!? まさか、見守るのが趣味で、とか…。 [一言] 誰とくっついてもいい感じになっちゃった…。
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