僕はお酒のチカラって怖いと思いました
お酒の場で稔は美玲と凛子の気持ちを知りました。
僕はデートの話を出されたので逃げたい気持ちでいっぱいだ。でも、前には凛子さんがいて横には黒崎さんがいる。これは逃げられそうにないよ……
「稔さんは明日お見合いをした方とデートするのですか?」
「そうよ、リンリン。前に稔を問い詰めたら白状したの」
なんだろう……何か僕が悪いことをしてる感じになってるけど違うよね? デートの予定は前から決まっていて二人が後から好きだって言ってきたんだよ? それ以前に何で二人から好きって言われてるの?
「社長? 聞いていた話と違うのですが……」
凛子さんが凄い冷たい顔になって、薫姉さんを睨む。
「ちょい待ち! 嘘はついてへんで? 稔の前のデートの結果で付き合うことになったんかを調査せえって凛子が言ったんやん。だから稔に聞いたら『付き合ってへん』って言ったから、そのまま伝えたんやで」
「社長! それは内緒だって言ったじゃないですか!」
薫姉さんが僕にお試しデートの結果を聞いた時だね。社長が珍しくスマホの操作をしてると思ったら、凛子さんに連絡をとっていたのか……
「へー、リンリン。意外とやるわね。しっかり調べようとしてたんだ」
「美玲さんは……稔さんが明日デートする事は平気なんですか?」
「もちろん、それは嫌よ。でも、決めるのは稔の意思でしょう? 稔はお見合いの人と付き合ってないんだし、一回告白された私にも十分チャンスはあるって事だと思っているわ。だから、こうやってアピールしているの」
黒崎さんが腕をからませて抱きついてきたよ! 胸が肘に当たってる! でも、こういうことって本人の目の前でいうことなの?
「ほー、稔モテモテやな?」
薫姉さん、茶化さないでください! 絶対に面白がっていますよね……あれ? 凛子さん下向いちゃった。そのまま立ったよ。そして、そのまま僕の横に移動してきて座ったよ?
「こ……こうですか? 私も負けません」
凛子さんが逆の腕に体ごと抱きついてきたよ! 僕の肩に顔を乗せてきた? 近い! 近いよ! 眼鏡越しの上目遣いは反則だよ! ああ……いい匂いがする……
「星田さん! いないと思ったら、黒崎さんといい感じになってるんっすか?!」
吉田君、起きたんだね。でも、違うんだよ? 僕も困惑してるんだから……
「まじっすかって、隣にも女の子がいるじゃないっすか! モテモテっすね! 誰っすかって……林?!」
あ……吉田君と凛子さんの目が合った。なんか、凛子さんがアワアワしてる?
「見るにゃー!」
え? 凛子さんがとっさに吉田君に目潰しをした?! 凛子さんの指が吉田君の目に刺さったよ……
「目が! 目がー! うぐっ」
吉田君が目を押さえて悶てるところに、追い打ちをかけるように凛子さんが酒瓶を持って近づていく……吉田君、逃げて!
「吉田ぁ! 今見たのものを忘れるにゃ……酒か? 酒が足りにゃいか!」
あー……口に一升瓶突っ込まれて、そのまま瓶が逆さに立てられた。吉田君……大丈夫なの?
「さて、そろそろ帰るで、稔」
薫姉さん?! この状態放置なの?
「あら? 稔、帰っちゃうの?」
「うん。薫姉さんと住んでるマンションが一緒だからね」
「そう……稔と一緒に帰りたかったけど、リンリンがあの様子じゃね……私は残って一緒に帰るわ。明日のデートの結果は聞かせてね?」
◇
「稔……言った通りやろ?」
帰りのタクシーの中で薫姉さんは話しかけてきたよ。
「え?」
「自分を磨けばええことあるやろ?」
そうだ、薫姉さんが助けてくれて、自分磨きをしたから今みたいに皆から好かれるようになったんだ。
「まあ、それで面白い事になっとるけどな!」
「いえ、薫姉さんには感謝しています」
「とはいえ、焦って決める必要はないと思うで。お前の人生やから自分でしっかり考えたらええ」
それでいいのかな? なんだかんだで、女の子を3人キープしているみたい感じになったんだけど……
「でも、それって不誠実じゃないですか?」
「アホやな……稔は。女は結構したたかなんや。お前の状況を知っていて、それで好きやっていってるんやから、それは問題にならへん。嘘ついとったらアカンが、そうやないやろ?」
「そういうものなんですか?」
「そういうもんや。明日のデートは、映画見て晩飯一緒に作るんやったな?」
ん? 明日の確認かな? また、凛子さんからの調査依頼かな? 薫姉さんも大変だね……
「はい。そうです」
「じゃあ、頑張って楽しんで来いや!」
私は男性よりも女性のほうが負けず嫌いな人が多いと思っています。女性のほうが痛みに強いっていいますよね。
次回はデート回になるので、久しぶりに甘い成分を出せるといいなぁって思っています




