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僕は何か機嫌が悪くなるようなことをしたのでしょうか?

今回は仕事回なのですが、驚きの人が登場します

「はい、みんな注目! 今日から新しく来てくれてる人を紹介するわ!」


 猫被りのモードの薫姉さんが社長室から出てくるなり声を上げる。薫姉さんの声はよく通るから十分に聞こえるよ。


「最近はお仕事が沢山入るようなってきました。皆がよくがんばって仕事をしてくれてるので開発の方は大丈夫ですが、事務処理が回らなくなってきているって指摘が多くなっていました。そこで、メンバーを補充します!」


 薫姉さんは目安箱みたいな『職場なんでも相談メール』ってのをやってるんだよね。現場の声に耳を傾ける薫姉さんは凄いよ。あ……新しい人が社長室から出てきた……


 え?! ……く、黒崎さん?


「これから皆様と一緒に働かせていただきます黒崎美玲です。よろしくお願いします」


 黒崎さんはそう言うと、みんなにお辞儀をして顔をあげる。あわわ、目が合っちゃった。え? にっこりしてるよ。僕が固まってると隣で吉田君が手を小さく降ってる。そうか……吉田君がスカウトしたのね……


「そういう訳だから、皆これから仲良くしてね。あと、手続きがあるから今は紹介で終わり。じゃあ解散!」


 薫姉さんと凛子さんは黒崎さんを連れて社長室に戻って行ったけど、その時に何故か凛子さんに睨まれたよ。あれは吉田君が手を振ってたからだよね? と思っていたら吉田君が声をかけてきたよ。


「星田さん! 覚えてます? 合コンの時にいた黒崎さんっす。誘ってみて良かったっす」 


 うん。元々同じ会社だったし、今は友達になっているから、もちろん知ってるよ。でも、合コンって周りに聞こえるように言わないで……周りの目が怖いよ……


「星田さんから回して貰った社長からの仕事なので、バッチリこなしました」


 ハハハ……もう僕は笑うしかないよね……



「なぁ、稔……黒崎っちは稔の知り合いなんか?」


 僕は社長室で薫姉さんと話をしています。薫姉さん……黒崎っちって軽い呼び方だね。なんか、一緒にいる凛子さんの機嫌がさっきから悪くないかな?


「システム興業の時の知り合いというか……例の前の会社の人です」


 薫姉さんの顔が笑いで引きつったよ……わかるよ、僕も同じようにビックリしてるもん……


「社長は何かご存知なんですか?」 


 凛子さんの背中からゴゴゴ……っていう効果音が聞こえそうなんだけど、どうしたんだろ?


「と……ところで凛子さんや? 黒崎っちの仕事の様子はどないなん? 経理が一番ボトルネックやったんやろ?」


「そうですね。正直、即戦力といいますか……次元が違うと言わざる得ません。さすがは本職というべきでしょうか……我々はベンチャーで経理が得意そうな人で処理をしていたのだと痛感しました。彼女のおかげであっという間に滞りがなくなりました」


 黒崎さん凄いね。前の会社の時に経理は大変そうだって思ってたけど……


「そうか! それなら、ええ買い物したやん! 吉田の大金星やな!」


「それは認めます。ところで社長……何かごまかそうとしているみたいですが、後で聞かせてもらいますね」


 薫姉さんは絶望した顔をしてる……凛子さんがさっきから怒っているのは社長がなんかしたからかな? それなら自業自得だよね……


「ともかく、優秀な人材は重要や! 稔! 前の会社で一緒だったんなら黒崎っちのフォロー頼むわ! お昼の時間やし、凛子も連れて昼飯を食ってくればええ!」


 ええ! 薫姉さん……僕は言ったよね? 黒崎さんは今は仲直りしたけど、僕から告白しちゃった人だよ? しかも、薫姉さんが黒崎さんは僕に気があるとか言い出すから、僕も変な意識持っちゃったし……


 とりあえず、薫姉さんに押し出されて凛子さんと僕は社長室を出たよ。えーと、黒崎さんは……いた。吉田君と話をしてるね。


「星田さん! 待ってたっす! 黒崎さんも一緒に昼食行こうって話てたんすよ……って、林も?」


「吉田君、何か問題でも? 私は社長に言われたので、稔さんと一緒に黒崎さんと昼食に行くつもりですが?」


「吉田さんも凛子さんも同期なんだから、そういう言い方しないで一緒に黒崎さんとご飯を食べにいこうね?」


 とりあえず、今日の凛子さんは機嫌が悪そうだからフォローしなきゃ。ん? 黒崎さんは凛子さんをじっと見てるよ……あれ? ニッコリした?


「林さんって、星田さんの事を稔さんって呼ぶのですね。私も同じようにしようかな? いいですよね、凛子さん?」


「構いませんし、私が許可をするような話でもないと思いますが……」


 そうだよね……凛子さん困ってるよ。黒崎さんどうしたんだろ? もしかして、凛子さんの出してる空気を読んでくれて、フレンドリーにしようとしているのかな?


「じゃあ、お昼行きましょう! この周辺の事知らないので教えて下さいね。稔さん、凛子さん、吉田君!」


「そ、そうっすね! じゃあ、行きましょうか? り、凛子も一緒に……」


 僕は歩き出そうとしたんだけど、何か凛子さんが吉田君に絶対零度的な目を向けてる……


「吉田……お前は私を林と呼べ」


 こ、怖いよ……凛子さん。吉田君に対するあたりが強いよね? 同期だからかなぁ……


黒崎さんも仕事ができる人でした。ブラック企業で働いているキーマンって優秀な人が多いですよね? しかし……吉田君は可哀想な気がします。

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