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僕は相談したのですが変なアドバイスしか貰えませんでした

 まだ、休日のお話です。薫姉さんが稔の家に訪ねに来ます。

 由美ちゃんとの自称デート(由美ちゃん談)が終わった翌日の日曜日、僕が夕食を作っていると薫姉さんが訪ねてきた。鍵を渡してるから勝手に入ってきてるんだけどね……。


「邪魔するで、丁度ええタイミングやな」


 薫姉さん……丁度良いタイミングって……御飯作るの面倒だから狙ってきてるでしょう? ああ……また勝手に冷蔵庫開けてビールを飲みだしたよ。


「つまみは何になるんや?」


「豚キムチですね。ちょっと待ってくださいね」


 普通につまみって言っているし……まあ、僕も飲むから、そういう感じのおかずを作るんだけどね。あ……折角だから聞いてみようかな……


「はい。どうぞ。ところで薫姉さん?」


 僕は豚キムチを盛った皿を手渡しながら薫姉さんに話しかける。


「なんや相談か? 聞いたるから、とりあえず座れや」


 僕も冷蔵庫からビールを取り出して、自分の分の豚キムチを盛った皿を運んで薫姉さんの前に座る。


「前に話をした幼馴染の妹分の事なのですが、彼女から僕と結婚できると言われました」


 薫姉さん、お箸から豚キムチ落ちましたよ?


「妹分やったんとちゃうんか? 何才差やねん?」


「大学3年生と言っていましたから9才差ですね。出会った時は年が離れ過ぎていて、あまり意識してませんでしたけど……」


 薫姉さんは聞きながら、豚キムチを頬張ってビールで流しこんでいる。よく噛んだほうがいいと思うけど……


「いつ出会ってん? その妹分とやらと?」


「高校3年生の時です。近所の女の子が登校拒否気味と聞いて家庭教師をしたのが始めですね」


 薫姉さんはちょっと考えていたけど、いきなり目を見張ったよ?


「稔、お前小学校低学年に手を出してたんか! ロリコンか!」


「手なんて出しませんよ。ロリコン呼ばわりは酷いですよ……」

 

 でも、やっぱりそう思うよね。僕だって昨日聞いてビックリしたもん……。


「つまりは、光源氏計画やったわけか……なのに他の女に手を出した挙げ句、フラレて死のうとしたと……」


「そもそも僕が悪い計画をしていたような言い方はやめてください! ただでさえ昨日は心をエグられたのに、薫姉さんまでそんな事言うのですか!」


「昨日? なんかあったんか?」


「昨日、その妹分の幼馴染とご飯を食べた後に、前に話した会社の子と出くわしたんですよ。フラれた事をバラされたりして散々でした……」


 あれ? 薫姉さんがニンマリして色々聞いてきたよ? 二人が喧嘩みたいになったことや、お見合いの話を聞いたら突然仲良くなったことなんかを話したら、薫姉さんはお腹を抱えて笑い出したよ。


「そんなに面白いですか? 変な憧れをもったことで彼女の人生が間違った方向に進んでいないか心配しているんですが……」


「稔は心配し過ぎやで。お見合いをしたことも話をしとるし、別に二人にエロいことをしてた訳でもないやろ? 年の差も小学生が対象なら問題やが大学生なら構へん。年の差カップルなんて沢山おるわ」


 たしかに年の差カップルとかいるけど……って、あれ? 二人?


「どうして二人って言ったんですか? 妹分の話の相談をしてたのですが……」


「なんや、気付いておらんのか? 稔が言っていた前の会社の子も、たぶん稔の事に好意をもっとるで?」


 ええ?! いや……薫姉さん……僕一回フラれた事話したよね……


「それはないと思いますよ。一度フラれていますし……」


「アホやな稔は……女は本当に嫌な奴とは話をせえへんわ。特に嫌だと思ってない奴から好きと言われたら、そりゃ意識しだすもんやで? まあ、稔の場合は後から嫌と思われなくなったから順番は逆やけどな」


 うそーん……黒崎さんが僕に好意を持ってくれてる? で、由美ちゃんも本気で僕の事を好きなの……?


「稔あんまり気にすんな! お前はお見合いをしてる事も言っとるし、別に誰とも付き合ってるわけやないやろ? お前に好意を持つこと自体は本人の意志の問題やし、お前は付き合ってへんのに断る必要もあらへん。その方が面白……違った……普通やぞ」


 薫姉さん! 完全に「その方が面白い」って言ってたよね!

 

「まあ、こじれそうになる前に自分に相談すればええわ。お見合いの相手ともお試しデートなんやから、今後どうなるかも判らんやろ? 今の段階で選択肢減らす必要はあらへんて」


 うーん。女性誌にもこういう事は書いてなかったよなぁ……変な不倫の話はいっぱい書いてあってけど……


「わかりました。幼馴染の子には、そういう目で見ていなかった事を伝えたいと思います」


 って……机の上にビールの缶がいっぱい並んでるんですが……これが酒の肴になる話なのかな……あ! そういえば、もう一個聞きたいことがあったんだ……


「ところで、薫姉さん? もう一個聞いていいですか?」


「なんや? 何でもええで?」


「どうして僕が酔っ払って道路に飛び込もうとした時に、僕だって気が付いたんですか?」


 すると、薫姉さんは豚キムチをパクパクと急いで食べてビールで流し込んだよ。


「ね……猫や。稔は猫に話しかけていたやろ。猫好きには悪いやつはおらへん。それじゃ、腹も膨れたし帰るわ。ごちそうさん」


 あれ? 薫姉さん帰っちゃったよ? なんか変なこと言ったのかな?

 自分の照れくさい部分を触られると逃げていく人っていませんか? 薫姉さんはそういう人のようです。

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