僕は女の子同士って直ぐに仲良くなれるんだとビックリしました
稔と由美の自称デート(由美談)に、黒崎さんが登場しました。
由美ちゃんは黒崎さんを睨んでいるけど、黒崎さんは普通にニッコリだよ。
「あら、稔の妹さんなの? こんにちわ、私は黒崎美玲よ。よろしくね」
黒崎さんは由美ちゃんの事を本当に妹だと思ってるようだね。なんかややこしくなりそうだから、このまま由美ちゃんとフェードアウトしようかな……って由美ちゃんが僕の腕にしがみついてきたよ?
「黒崎さん、こんにちわ。私は高品由美です。お兄ちゃんとは血がつながってるわけではありませんので結婚できます。では、さようなら」
えぇー! なんか凄い爆弾落としてきたー。由美ちゃん、何言ってんの? 大好きってそういう感じなの? とりあえず、黒崎さんに僕と由美ちゃんが昔からの知り合いだってことを話さないとロリコンだと思われちゃう。
「へー。必死なのね。私は稔に『付き合ってください』って言われたのよ? 結婚できるかもしれないけど、お生憎様ね」
ぎゃー! いきなり僕のライフはゼロだよ! 黒崎さん……僕の黒歴史を漁っちゃうの?
「でも、お兄ちゃんは『黒崎さんは僕には興味がない』って言っていたわ。つまり断ったのでしょう? 私はそんな事しないもん」
ぐはっ……心で吐血しそうだよ。由美ちゃん……そこを引っ張り出す? 記憶力いいね。たしかに『まさか、そんなことはないよ』って言ったけどね。
「でも、今は私と稔は友達よ。そして、お互い名前を呼び合う関係なの。意味わかるでしょう? 妹でしか見られてない貴女とは違うわ」
僕には意味がわからないよ……それは確かに由美ちゃんの事は妹のように思ってるけどね。もう、どうして喧嘩みたいに言い合ってるの? 僕はドッと疲れてきたよ……
「二人共落ち着こう」
二人が僕を見てきたよ。落ち着かせるためには何か言わないといけないんだろうなぁ……
「たしかに、美玲みたいな素敵な女性が僕を相手するわけない事は言ったよ。美玲は美人で可愛いからね」
黒崎さんの顔が少し赤い気がするけど、ちょっと落ち着いてくれたみたいだ。
「あと、由美ちゃんが僕の事を心配してくれてるのは嬉しいよ。由美ちゃんは優しいし可愛い」
由美ちゃんも落ち着いたかな? でも、腕をギューとするのは止めてね……
「でも、僕の事は大丈夫だよ。だって、この前お見合いしたから……」
「「お見合い!?」」
あれ……空気が変わった? え……何が起きてるの?
「え? う……うん。前に実家に帰った時にお見合いしたんだよ」
「「それで、どうなったの?」」
二人共いきなり息ピッタリなんだけど、何か怖いよ?
「昔の風習みたいにいきなり結婚みたいな事はなくてね。お互いの事はよくわからないから、会って話していこうって感じかな?」
ん? 二人がお互いの目を見てる? どうしたんだろう?
「高品さんって言ったっけ? 私達仲良くなれそうな気がすると思うの。私の事は美玲って呼んで」
「美玲さんですね。私の事は由美って呼んでください。私も仲良くなれそうです」
何が起きたの! いきなり仲良しになったよ?
「ねえ、由美ちゃん。立ち話もなんだから、一緒にお茶でもしない? 稔の話も聞きたいし……」
「そうですね、美玲さん。分かり合うって必要ですよね。お兄ちゃんの話も聞きたいし……」
え? もう一方の腕に黒崎さんが抱きついてきたよ? あ……黒崎さんは着痩せする感じなのかな……胸が当たってるよ……あれ? 何この状況。両手に花のようになっているみたいに見えて、何か連行されているような気がする……
◇
ふー。やっと帰ってこれた。あの後、由美ちゃんと黒崎さんはメッセージのID交換したりして、仲良くなっていたよね? なんだっけ……淑女同盟とか言っていたっけ? 何の同盟なんだろう……とりあえず、ビール飲もうかな……昼いっぱい食べたから、今日は作り置きのおつまみでいいや……
でも、由美ちゃんが僕と結婚とか言ったのはビックリだったよ。大学生なのにもう少し色々と見たほうがいいような気もする。たぶん、憧れなのかな……小学低学年の時に高校生に優しくされたらそうなっちゃうのかな……そうだとしたら、悪い事したなぁ……
黒崎さんはスキンシップ取ってくるようになったし、やっぱり会社でのストレスが高いのかな……お友達と言っても節度ある対応していかないと駄目だよね。黒崎さんは僕に興味がないから友達としてきちんとしなきゃ……でも、胸が当たった時に気持ちよかったなぁ……
『週末はゆっくり休んでいますか? 私はエステでスッキリです』
メッセージが来たと思ってスマホをみたら凛子さんからだ。って、ちょっ……写真! 凛子さん、それは駄目! バスタオル姿じゃん! え……エエエ! ご……ごちそうさまです……
共通の敵ができると人は仲良くなれると思います。由美は気持ちを稔にぶつけてきましたが、天然スルーでした。




