表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/48

僕は紳士的に振る舞えていたのでしょうか?

稔と静江さんのデートの続きです。静江さんはウトウトして稔に寄りかかっています。

 僕の肩に静江さんが頭を寄りかかって寝息をたてている。とてもいい匂いがするよ。格好をつけちゃっているけど、ちょっとドキドキしているのは内緒。 自分でも中学生じゃないんだからって思うんだけど、こういうのって良いよね。このまま、お……大人の関係に進んじゃって……えへへ……って、駄目じゃん! これじゃ煩悩の塊だ! 女性誌にもガツガツしてる男って最低って書いてあった。紳士にならなくちゃ!


 とりあえず、静江さんを起こすのは忍びないから、ちょうど木陰になっているし、このまま少し寝かしてあげよう。でも、このままだと僕が狼になりそうだから、スマホで電子書籍でも読んで煩悩退散させよう……って、静江さんの頭が肩口から下にずれてきたよ。僕はそっと静江さんの頭と体を支えて、膝枕できるように長座に体勢を直して……これでよし! でも、体を支えるときに静江さんの体を触ったけど、華奢だったなぁ……


 しばらく、静江さんを膝枕した状態でスマホで電子書籍を読んでいたら、膝のあたりがモゾモゾしてる。あ、静江さん起きたのかな? そう思ってスマホから目を離して下をむく。ちょうど覗き込むような形になった僕と、起きてぼんやりして見上げている静江さんの目が合う……


「え? あ……」


 静江さん、急に飛び起きて正座して俯いちゃったよ……そ、そんなに嫌だったかな……


「す……すみません。私寝ていたのですね。そ……その重くありませんでしたか?」


 なんだ、そんなこと気にしてたのか。確かに女性は体重気にするって雑誌に書いてあったよ。嫌われたわけじゃなかったんだ。よかったぁ。


「大丈夫です、鍛えているので平気ですよ。お弁当を作るのに朝早く起きたんだなぁって思いまして、少しお休みされたほうが良いかなと……余計な気遣いでしたか?」


 僕がそういったら、静江さんは少し恥ずかしそうに上目遣いで言ってきた。


「いえ、とても気持ちよかったです。でも、申し訳なくて……」


「僕も可愛い寝顔を見せてもらえたので、とても幸せな気持ちになりました」


 僕と静江さんの目が再び合った。静江さんの目に惹かれていく。僕と静江さんは互いに顔が近づく……ん? なんか視線を感じる?


 そう思って横に顔を向けてみると、子ども達が僕たちの側に立って指を咥えてじっと見てた。もう少し視野を広げると老夫婦がホッコリした顔で見てる。周りを見渡してみたらカップルらしき人達も僕達を見てた‥‥うわー……


「し、静江さん! 移動しましょうか?」


「そ……そうですね! お昼寝もさせて頂いたので大丈夫です。移動しましょう!」


 僕は静江さんの手を取って急いでその場を後にした。後ろから「絶対チューしようとしてたよね」とか「若いっていいわね」とか「ねぇ……私達も……」とか「良いところだったのに……」とか聞こえたけど、お試しデートだから! 僕はいきなりのデートでそんなことしないよ……たぶん……しないはず……


 なんとなく気まずい……手は握っていてくれてるけど、静江さんも僕と目を合わせようとしてくれない……と思っていると、静江さんが手を少し強く握ってきた。


「ひ……膝枕……とても嬉しかったです。やっぱり稔さんは優しい人ですね。叔母の言うことに間違いはありませんでした。一緒の景色が見れて……一緒に時間を過ごして……楽しいって思ったのは本当に久しぶりです! でも、稔さんの明日のお仕事に支障が出ては駄目だと思います。とても名残惜しいのですが、あと少ししたら家路につくのは如何でしょうか?」


 うひゃー! 嬉しいって言われちゃった。これはお試しデートから昇格することができるの? でも、焦ってガツガツしているのは駄目なんだよね。何処まで頑張ればガツガツしてないってなるんだろ? とりあえず、あとで考えよう。今日特に思ったけど、僕を気遣ってくれる静江さんは優しいなぁ。確かにあまり遅いとお互い良くないよね。


「僕も静江さんと一緒で楽しかったです。僕も名残惜しいのですが、おっしゃる通り帰りの事を考えないといけませんね。ここから駐車場まで距離がありますし、そこまで散策してから帰りましょうか? 帰りの道も時間がかかりますから、どこかに寄ってご飯を食べましょう」


 

 帰り道の車の中で、静江さんといっぱい話をしたよ。そして、ご飯をファミレスで一緒に食べて今は上北沢のロータリーだ。ああ……この楽しい時間も終わっちゃうんだなぁ……


「本当に良かったんですか? よかったら家まで送ったのですが?」


「はい。大丈夫です。家が入り組んでいる所にあるので、ここの方が稔さんも帰りやすいと思います」


 静江さんは最後まで気遣いが凄いなぁ……って、感心してる場合じゃない。さあ、ここが勝負だ!


「つ……次は映画ですね。い……いつが都合が良いですか?」


「は、はい。次の週末は予定を入れてしまっているので、再来週の土曜日とかどうでしょうか?」


 やった! お試しデート成功だ! もう一歩前進できるかな?


「わかりました。再来週の土曜日がとても楽しみです。そういえばメッセージアプリのID交換していませんでしたね。もし良かったら交換しませんか?」


「はい。喜んで!」


 僕は静江さんとメッセージアプリのIDの交換をする。


「今日はありがとうございました。静江さんと一緒に過ごせて楽しかったです」


「こちらこそ、ありがとうございます。次のデートで稔さんと映画見てから、一緒に御飯を作るのが楽しみです。帰りの車の運転は気をつけてください」


 僕はあくまでも紳士的に軽く手を振って上北沢を出発する。紳士的に振る舞えたよね。最後の最後に失敗してないよね……


中盤にお約束ネタを入れさせて頂きました。序盤の心情描写が難しいです。稔はもう少しガツガツいっても良いように感じますが、こじらせたということでご理解ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 稔くん、デートの後の食事でファミレスはいけませんよ。 もう少しちゃんとしたところで。あんまり気合いの入ってないところの方がいいけど…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ