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僕は女性への配慮が足りなかったみたいです

 服を買いに出かけた稔は黒崎さんと出会い、そのまま連行されたようです。

 僕は黒崎さんと一緒に服を選ぶことにしたけど、これって、周りからみたらデートに見えるんじゃないかなぁ? ほら周りもなんか「リア充爆発しろ」みたいな目で僕のことみてるし……。ごめんなさい、黒崎さんみたいな可愛い子を連れて歩いてごめんなさい。


「あの、黒さ……じゃなくて、美玲?」


 一瞬、黒崎さんにジト目でみられて、思わず言い直しちゃったよ。


「どうしたの? 稔」


「どうして名前呼びをしろって言ったの?」


「あれ? 忘れたの? 稔が私に告白した時に名前呼びをしたでしょう? だから、名前で呼びたいのかなって?」


 うわー。黒崎さん、あの時の事覚えてたんだ……確かにあの時は勢いで名前呼びしたけど……嫌じゃないのかな?


「あの時の事は謝るよ。僕もかなり不摂生だったし、み……美玲も気持ち悪かったと思うし……」


「さっき、許してあげるって言ったでしょう? 告白された時はちょっと引いたけど、その後の合コンの二次会で稔と話をしていて楽しかったから……」


よかった。許してくれたみたいだよ。しかも、楽しいっていってくれたよ。


「もう、その事はいいから。稔は服を探してるんでしょ!」



 何故か僕は黒崎さんと居酒屋にいるよ。あの後、服を一緒に選んで……というか着せかえ人形みたいにされた。女の子の買い物は長いって聞いてたけど、こういう事だったんだ。まあ、楽しそうだったから良かったけど……


「稔、聞いてる?」


 それで今は黒崎さんの愚痴を絶賛視聴中。黒崎さんってこんなキャラだったっけ?


「稔が会社辞めたから大変なの。フォローする人がいなくなったって営業が言ってて、トラブル起きて経理精算のやり直しが多くなったのよ」


 うわー。合コンの時も愚痴を言っていたけど、今日はなんか一段とひどいね。黒崎さんは経理だから大変なんだろうな……


「ところで、家の都合で辞めたって聞いていたけど、プログラムスタイルに勤めてるって事は嘘だったのかな? もしかして私のせい?」


 本当の事を言ったら、黒崎さんトラウマになっちゃうかもしれない……これは誤魔化さなきゃ……


「全然、美玲は関係ないよ。ちょっと思うことがあって転職をしたんだ」


「ふーん、そっか。ところで、稔は格好良くなったね」


 ふー、よかった。変なトラウマは植え付けてないで済みそうだよ。え? 格好良くなった? 生まれ変わりの努力はしたけど、普メンぐらいになったぐらいだし……


「それで、前に私を好きって言ったのは本当?」


 え……えぐってくるよ、黒崎さん。確かにあの時は浮かれてたけど、黒崎さんと僕なんかが釣り合うわけ無いじゃん……


「うん。あの時の気持は本当だったよ。でも、僕なんかが黒崎さんと釣り合わないのはわかってるから、今はそういう事は考えないようにしてるよ」


「そ……そうよね。あの時の稔は酷かったものね。いきなり好きだとか言われたらビックリするのは当然だし……でも、本当なんだ。じ……じゃあ、改めて友達にならない? 私も今の稔と話をしていて楽しいから。み……稔が嫌だったら別にいいんだからね」



 よくわからないけど、黒崎さんと友達になって、あの後にメッセージアプリのIDの交換までしちゃったよ。どうなってるの?


 あれ? 電話がかかってきた。由美ちゃんからだ。どうしたんだろう……


『もしもし、稔お兄ちゃん? いま電話しても大丈夫?』


「由美ちゃん、どうした?」


『今日、お兄ちゃんっぽい人を街で見たんだけど、あれはお兄ちゃん? 綺麗な女の人と歩いてたみたいだけど』


 おかしいな? 前の会社に近い感じじゃなかったけど、由美ちゃんも同じところにいたのかな?


「うーん、どうかな? 白と青のストライプのワイシャツを着てたらな僕かな?」


『やっぱり、そうなんだ……で、隣にいた人は彼女?』


 うわー。彼女に見えちゃったのか……黒崎さんに申し訳ないな……


「違うよ。前の会社でお世話になった人だよ。たまたま会ってね」


『ふーん、彼女じゃないんだ……それで、なんて名前なの?』


「え? 黒崎美玲さんって言うんだけど、どうしてそんなこと聞くんだい?」


『な……なんとなく名前を聞いておいたほうがいいと思ってね。その黒崎っていう人はお兄ちゃんに気があるの?』


 黒崎さんが僕に気がある? まさか? 一度フラれてるのに、そんなことはありえないよ。


「あはは。まさか? 買い物に付き合ってもらっただけだよ」


『そうなんだ。今度お兄ちゃんが買い物に行くときは、私が一緒に選んであげるから、気がない女の人と行っちゃ駄目だよ。特に黒崎さんね。お兄ちゃんは鈍いところがあるみたいだし……』


 うわ……由美ちゃんにとって頼りないお兄ちゃんになりたくないな。


「そうだね。ちょっと配慮が足りなかったね。由美ちゃんありがとう」


『お兄ちゃんには由美がいるからね! また連絡するね! お兄ちゃん大好き!』


「あはは、いつもありがとう。じゃあ、おやすみ」


 まあ、黒崎さんと友達になったとはいえ、男といるところ見られたら女性は迷惑だよね。女性の視点って大事だなぁ。由美ちゃんに感謝だな。


 


 水面下の戦いをうまく表現できていればいいのですが、男性方向からの物語なので難しいです。

 私としては由美の「技あり!」って感じなのですが……

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― 新着の感想 ―
[一言] 鈍すぎる…(^^;) ていうか、黒崎さん、超肉食だし…。
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