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僕はお試しデートの約束ができました

無事にお見合いを終えた稔は都内の家に戻ってきました。

 実家から帰ってきたけど、なんかどっと疲れたよ。しかし、母さんには参ったよ……いきなりお見合いをさせるんだもん。でも、静江さん可愛かったなぁ。あ……駄目駄目、いきなり名前呼びなんて……藤堂さん、藤堂さんと。


 藤堂さんって黒崎さんとは違ったタイプだなぁ。って、ああ……僕はまだ黒崎さんを引きずってるの? 藤堂さんと黒崎さんを比較するなんて……これじゃ藤堂さんに失礼だよ。


 とりあえず、母さんには藤堂さんに連絡先を伝えて貰うように頼んでおいたけど、連絡が来るのかな? お見合いって凄いシステムだよね。合わなかったらお断りできるように、連絡先を伝えるかどうかを決められるし、相手も無理そうなら僕に連絡しなければいいんだから……


 あ……浮かれてたけど、藤堂さんがOKしなかったら、この話は白紙になるんだったよ。僕は少しは変われてる気がするけど、告白失敗の前科があるから浮かれちゃ駄目だ。


 ん? 電話がかかってきた。知らない番号だ。誰だろ?


『あの? 星田さんの電話でよろしかったでしょうか? と……藤堂と申します』


 あわわ……静江さんだ! ど……どうしよう! まず、ここは深呼吸だ! ひーひーふー。


「は…はい。星田の電話です。藤堂さんから電話を頂けると思っていなかったので驚いています」


『いえ、こちらこそ。いきなり電話をしてしまって大丈夫かとドキドキしながらかけました』


 えっ? ドキドキしてくれた? これはいい感じになのかな? だ……駄目駄目……また自己中心的な考え方になってる。


「たしかに、通じるかわからない電話番号にかけるのは怖いですよね。僕の方から藤堂さんに電話をかけるべきでした」


『でも、私が電話をかけないと星田さんは私の番号を知りませんよね? うふふ……面白いですね』


 しまった! 気に入ってくれたなら藤堂さんの電話番号を教えてもらえるように母さんに言っておけば良かった。


「すみません。配慮が足りていませんでした」


『星田さんって紳士なんですね。優しいですし、ご縁を頂けて嬉しいです』


 やった! ご縁って言ってくれてる。これは少し脈があるかもしれない。でも、静江さんもお見合いをしたけど、僕の事は身上書レベルでしか知らないだろうし……そうだ!


「せ……折角ですから、藤堂さんの休みの日に一緒に街で散歩でもしませんか?」


『それはいいですね。来週の日曜日はいかがですか? 天気が良くて散歩日和らしいですよ。あ……あと……静江と気軽によんで頂ければ……嬉しい……ですが……』


 やった! デートの約束を取り付けられた上に、名前呼びをさせてもらえるなんて、これは本当に脈アリかも! でも慢心はダメだ、落ち着こう。


「はい。これから静江さんって呼びますね。僕のことも名前で稔と呼んで下さい」


『は、はい。み……稔さん。なんかお互い名前呼びって恥ずかしいですね』


 うぴゃー。名前で呼んでもらっちゃった! もう恋人まで一気に駆け上がって……って、舞い上がったら駄目だよ。静江さんだって僕の事をよく知らないんだから、お互いゆっくりと性格とか合うかを確かめたほうがいいよね。


「いえ、名前で読んでいただけて凄く嬉しいです。でも、あまり構えないでくださいね。お試しのデートみたいなものと思ってください」


 うわー……デートって言っちゃった。だ……大丈夫だよね。


『そうですね! お試しデート、すごく楽しみです!』


「静江さんに楽しみにして貰えるなんて嬉しいです。それでは来週末を僕も楽しみにしています」


 よし! 乗り切った。良かった……デートできるなんて本当に嬉しいな。


『あ! あの……』


「は、はい。なんでしょうか?」


 え? なんか間違えた? まさかのお断り? 落ち着け僕……大丈夫のはず。


『おやすみなさい。稔さん』


「あ……はい。おやすみなさい。静江さん」


 うわー。おやすみなさいって言われたよ。なんか嬉しいな。ここはベットで悶てもいいよね?

 通話が終わった後、ゴロゴロとベットで悶ていたらピロリンとスマホのメッセージアプリが鳴ったよ。


『由美だよ! 稔お兄ちゃんも無事に着いた? 私も着いたよ』


 あれ? 由美ちゃんからだ。心配してくれたんだ。母さんに確認を頼まれたのかな? 由美ちゃんと母さんって仲良かったんだ……


『由美ちゃんも無事に着いてよかったよ。心配してくれてありがとうね』


 これで送信っと。由美ちゃんは女の子なんだから僕のほうが気に書けるべきだったかな? まあ、由美ちゃんなら彼氏もいるだろうし、お節介かな? って、あれ? またメッセージがきた。


『由美は稔お兄ちゃんの事大好きだよ! また、連絡するね!』


 ん? 昔、勉強を教えたお礼かな? そんな気にしなくていいのに……まあ、嬉しいけど、由美ちゃんの彼氏もこんなオジサンとメッセージのやり取りしてる事を知ったら困らないかな? 


『ありがとうね。でも彼氏に誤解されるといけないから、メッセージを見られたら説明しておいてね』


 これで大丈夫かな……って直ぐに返事がきた。最近の子はスマホの操作が速いね。


『彼氏なんていないよ。由美はお兄ちゃんにLOVEだよ!』


  うわ……由美ちゃん最近別れたのかな? 悪いこと聞いちゃったかな? まあ、由美ちゃんは可愛いし、直ぐに新しい彼氏はできるだろうし、あまり触れない方がいいよね。昔を思い出して甘えたいのかな? ここは素直にお兄ちゃんの立場で返信しておこう。


『うん。僕も由美ちゃんの事が大切だよ。大好きって言ってくれて、ありがとうね。おやすみなさい』


 よし、これで妹みたいに思っている事は伝わるよね? この後でハートマークだけがいっぱいのメッセージが届いたけど、やっぱり甘えたかったんだね。

実は恋愛に関して臆病になっているのでちょっと初々しい感じになっています。後半は恋愛唐変木が全開になっています。

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