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1.おっさん→美少女の場合―8

「……というと、なんだ。お前の言う“奴隷術”というのは、異世界で命を落とした人間をこちらの世界に転生させ、自らのしもべとして使役するということなのか」


「で、オレは女の子を召喚したつもりだったのに、中身がその親父と入れ替わっちまったってわけか!? なんだそりゃああああああああああ!?」


 絶叫するウォリに対し、タモンはそれはこっちのセリフだと言い返したくなる。

 異世界がどうとか、俄かには信じられない話だったが、自分の体に実際に起こっている現象を考えると、今は信じるしかないのだろう。


「おかしいと思ったんだ! 奴隷術商人から仕入れたこの禁術、説明では奴隷はあるじにラブラブな状態で召喚されてくるってはずだったのに! いきなりグーパンチするんだもん、タモンちゃん!」


「ちゃん付けはやめろ! ブン殴るぞ気持ち悪い!! で、どうすれば戻れるんだ!? この状況!?」


「戻る? ……いやいや、戻るって、その、あんまりこういうこと言いたくないんだけどさ」


 タモンの言葉を聞いて、ウォリは自身の髪の毛をくしゃくしゃと弄りながら、言いにくそうに話し始めた。


「タモンちゃ……さんは、元の世界では既に死んでるんだぜ? オレだって嫌がる女の子を無理やり襲おうとしたわけじゃねーよ。死んじまった子の魂を、こっちでもう一度転生させてやることが出来るって聞いたから、それならみんな幸せになれると思って“奴隷術”を使ったんだ」


「死ん……だ? いや……待ってくれよ。百歩譲って、俺が死んだのはまだ良い。それが、ルナの体もこっちに来てるってことは――」


「多分……一緒に死んだんじゃねーの。だから精神が混濁して、入れ替わった形でこっちの世界に来ちまった」


 ウォリが話した真実は、タモンを絶望させるのには十分過ぎるほどの力を持っていた。

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