4.潜入! 異世界ダンジョン!―5
「殺す!! お前、後で間違いなく殺すからな!!」
「お、怒るなって師匠! 逆に助けられなくなるだろう!? いいか、下手に剣や魔法でコイツを倒そうとすれば、オレまでターゲッティングされる上に師匠を傷つける可能性があるんだ。であれば、なるべくコイツを安全な方法で排除するしかない」
「そんな方法あるならさっさとやれ!!」
「だから怒るなって! その方法っていうのは、ズバリだな……」
触手の感触が、だんだんと素肌に伝わるようになってきた。
生温い肉の塊が、うねうねと肌を擦ったり、絞め付けたりしている。
そのくすぐったさに、タモンはヘンな声をあげてしまいそうになり、下唇を噛み締めた。
「……ゴゴゴゴゴゴゴゴ……」
「早く言え!! お前絶対この状況楽しんでるな!! 殺す!! 軽く三回は殺す!!」
「どういうことだよ!? 確かこの触手は、塩に弱いんだ! 塩をかければ、どんどん水分を失って縮んでいくはずだぜ!」
「いやナメクジか!? ……まあそんなものか」
自分でツッコんでから、改めて納得するタモン。
しかし問題は、
「塩なんてどこにも無いだろ!?」
「いやあっただろ。オレと師匠がここに来る最中、塩気の混ざった大量の水が」
そういえばと――ここに来る最中、湖のような大きな水溜りがあり、その水が非常に透き通っていて飲めそうだったので、チロッと舌で舐めたのを思い出した。
「というわけで、オレはその水を汲んでくる! 水筒なら、オレと師匠の分を合わせて三本はあるからな!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! その間、俺はどうなるんだ!?」
「しょうがないだろ、しばらくの間、耐えていてくれよ! 大丈夫だって、その触手は人に危害を加えるのが目的じゃなくて、その……やっぱいいや、怒られるからこの先は言わねー!!」
意味深な言葉を残して、ウォリはタモンの前から去っていく。
早くしろバカ、とタモンは精一杯の威厳を込めてその背中に言い放った。




