1.おっさん→美少女の場合―2
「おお……ついに召喚に成功したのだな……」
闇の中、ロウソクを手に現れたのは、金髪碧眼の端正な顔の若い男だった。
映画にでも出てきそうなイケメンではあるが、室内だというのに黒いマントを身に付けており、胡散臭いことこの上ない。
外人さん? 誰? とタモンの目が点になった。
「ふふ、そう脅えるでない。すぐに理解するぞ……貴様は、もうオレ無しでは生きていけないという事実をな」
男は人差し指で、すーっとタモンの足をなぞる。
指は足裏からふくらはぎ、さらに太ももから下腹部へと移動していった。
体にビリビリと電撃のような感覚がはしり、くすぐったさにタモンは笑い転げてしまう。
「わは、わははは! な、何をするんだあんた、冗談のつもりか」
「……下品な笑い方だ。我、従属せし隷従に命令する。笑い方は、おしとやかに、だ」
男が呪文のようなものを唱えた瞬間、タモンの胸から白い光が放たれた。
その眩しさに、タモンは思わず目を閉じる。
室内が照らされた一瞬、幾何学的な模様が、自分の胸に描かれているのが見えていた。
いや、だが、タモンがそれ以上に気になったのは――
「お……おっぱい?」
四十年間、男として生きてきたはずの自分の体にあった、二つのふくよかな膨らみであった。