2.おっさん→美少女の場合 その2―6
「気持ち良……じゃなくてイテェ!」
「途中まで本音が出てなかったか?」
何故か目をキラキラさせているウォリを見て、あまり不用意に手を出すのは止めようとタモンは心に誓うのだった。
「人の話は最後まで聞けよな、師匠! きっとこれは、師匠にとっても有益な情報なんだから!」
「その有益な情報を途中でぶった切ってまでブッ込んでくるのはお前の方だろ……」
「んでぇ! 当然“魔遺物”には、人智を遥かに超えた魔法の力が込められてるわけ! 振るだけで炎と氷を自在に生み出せる剣とか、飲むと透明になれる秘薬とか、触れるだけで相手を絶頂に導ける人の手を模したオブジェとか!」
「完全に途中からそっち系なんだが、わざと言ってるのかお前は?」
「そして、何故オレがこんな辺鄙なところに住み着いたかって話なんだけどな! オレはアイテム屋であるよりも先に、“魔遺物”のハンターでもあるってことだ!」
なるほど、とそこまで話を聞いてタモンはポンと手を打った。
「つまり、誰よりも異世界ダンジョンを先に攻略し、“魔遺物”を手に入れて売れば効率よく稼げると」
「お、その通りだぜ師匠! 師匠の割には賢いこと言うじゃんイタイイタイイタイ調子に乗りましたゆるしてください」
「異世界ダンジョンというのは頻繁に現れるのか?」
「まあ週一くらいのペースかな。何故か扉の森は、異世界ダンジョンの発生率が異常に高いんだ。そして当然、誰かが“魔遺物”を手に入れた瞬間に異世界ダンジョンは無くなるから、早いモン勝ちのレースになるってわけだ」
そこまで話を聞いた段階では、タモンは正直、自分には関係ない話かと思っていた。
ウォリが、その事実を言うまでは――
「そういや過去には、人の精神を入れ替える杖なんてのもあったって聞いてるぜ。師匠になんかピッタリのアイテムだと思うけどな」