2.おっさん→美少女の場合 その2―4
昼食を終えたウォリは、小屋の隣にある、納屋の中をガソゴソと漁り始めていた。
「……で、今度はなんだ? そこに怪しいグッズでもあるのか?」
「ちょ、酷いなー、師匠。オレのこと、マジで性にしか興味が無いお猿さんだと思ってない?」
思ってる、とタモンは心の中で大きく頷く。
「街から追放されて、オレは街の人と関わることも禁じられてるからさー。こうやって商売でもしないと、経済的に生きていけないわけ」
「商売? そんなこともしていたのか?」
「ああ、行商人だよ。この辺りを歩いてくる旅人とか冒険者に、アイテムを売って金を稼いでる」
納屋から取り出した謎の葉っぱや液体入りのビンを、ウォリは丁寧に荷車に乗せていく。
「なんだこれ。本当にこんなもの売れるのか?」
「そっちは薬草、銀貨三枚で売ってる。魔力を回復するエーテルは、ちょっと高価で金貨三枚なんだ」
「……なんか、小さい頃にやったゲームの世界そのままだな。ここは」
ちょっとした感動を覚えつつも、タモンは見ているだけなのも悪いので、ウォリの作業を手伝うことにした。
「え!? 一緒にやってくれるのか!? 師匠!!」
「ま、まあ……これからはお前に宿も貸してもらうことになるんだし。これくらいのことは、当然させてもらうさ」
「や、優しい……! 普段はバイオレンスなのに急に優しい! そんなツンデレされると、マジで師匠に惚れそうになるぜ!」
「惚・れ・る・な。というか、バイオレンスなのはお前の態度が原因だから」
そんな軽口を叩きつつ、二人はアイテムを詰め込んだ荷車を押して、小屋を囲む森の中へと、客を探しに出発したのだった。