2.おっさん→美少女の場合 その2―3
そんな理由で家を吹っ飛ばすとは、追放されて当然だろうとタモンは思った。
「というかお前、ヤること以外頭に無いのか?」
「ないッ!!」
「いや、断言するなよ……俺の学生の頃も大概だったが、お前ほど酷くはなかったぞ」
「えっ!? やっぱ師匠もそっちの方に興味あるんじゃん! だったら一回くらい、お情けでシてくれたって――」
ウォリが言い切るよりも、タモンのアイアンクローが炸裂する方が早かった。
「そういうことを言うと殺すって言わなかったか?」
「ぎゃあああああああああああ!? 許して!? 許して師匠!!」
半泣きになって謝るウォリを見て、タモンは呆れながら顔を掴む手を解放してやる。
膝をついてハァハァと荒く呼吸するウォリを見て、少しやり過ぎたかもしれないとタモンは反省したが。
(こ、こんな可愛い子に顔面を責められるなんて……っ!?)
ウォリがハァハァしていたのは別の意味だった。
「というかお前、俺の中身はおっさんなんだぞ? 気持ち悪いとか思わないのか?」
「思うわけないだろ!? あんた、見た目はそんじょそこらの女が束になっても敵わない、絶世の美少女なんだぞ!? それくらい自覚しろよ!!」
何故かキレられた……と落ち込むタモン。
だが目に入れても痛くないほどの娘のことを美少女と言ってもらえたのは、父親としてはちょっぴり誇らしい気分である。
「ん!? っていうか見た目が美少女なのに、中身は経験豊富な性豪って……!? や、やばっ、考えただけで鼻血出てきた……」
「お前……マジで俺に欲情するなら、その股間についてるクルミをぶっ潰してやるからな?」
「だ、だから自覚しろって……そんなことに言われると、オレ……うっ!?」
股間を押さえ前かがみになるウォリ。
どんどん妙な方向に目覚めていくだが、自分がそれを先導する元凶だとは露程も思っていないタモンだった。