2.おっさん→美少女の場合 その2―1
ウォリは人里離れた森の中に暮らしていた。
太陽が空に昇った真昼間、タモンは小屋のキッチンを借り、採取したキノコや山菜類でソテーを作っている。
(っていうかアイツ、朝っぱらからおっぱじめようとしてたのかよ!?)
やっぱり盛りのついた犬のようなヤツだと、呆れながらも苦笑してしまうタモン。
タモンは完成した料理を皿に盛り付けると、ナイフとフォークを手に待ち構えているウォリのテーブルまで運んでやった。
「ごはん、ごはん、お嫁さんの手作りごはん」
「その言い方は止めろ。マジでチ○コが爆発する前にその首へし折るぞ」
「……はい……すみません師匠……」
首根っこを掴まれたウォリは、盛りの付いた犬ではなく捕らわれの野良猫の状態である。
二人は向かい合わせにテーブルにつくと、いただきます、と礼儀よく挨拶をしてから食事を始めた。
「う、うめえええぇぇぇぇぇ!! 師匠の料理うめえええぇぇぇぇぇっ!!」
「お、大袈裟だなお前は……。単身赴任が多かったから、焼いたり炒めたり、簡単な料理が作れるだけだよ。男の料理ってヤツだ」
謙遜しつつも口元がにやけてしまうタモン。
他人に料理を振舞うことが初めてだったので、言われて悪い気はしなかった。
「でもでもっ! オレも一人暮らし始めたばっかで、料理なんて失敗してばっかだし! 最近は全部水で洗って生で食ってたんだ!」
「劣悪な食生活すぎるだろ……体を悪くするぞ」
「だからだからっ! 師匠が料理を作ってくれるなんて、すげー嬉しい!!
そりゃ、奴隷として命令すれば作ってくれるんだろうけどさ……そういうのじゃないから、すげー嬉しいんだ!!」
素直に礼と感激の言葉を口にするウォリを見て、可愛いところがあるじゃないか、とついタモンの頬を緩んでいた。
「でも、あのヘンな魔法を使ったら、今度はマジで殺すからな?」
「……ふぁい……師匠……目が怖いです……」